勝つだけが全てじゃない

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中島みゆきさんの名曲に「ひとり上手」ってのがありますね。
http://jp.youtube.com/watch?v=iOy1do6XSw0

心が街角で泣いている ひとりはキライだとすねる ひとり上手と呼ばないで 心だけ連れてゆかないで 私を置いてゆかないで ひとり好きなわけじゃないのよ

まあ、学生時代、まだカミサンと知り合う前までは、この歌が支えでしたな。こうは言いながら、一人で時間をうっちゃることのできる人間であることを、僻みつつも誇りにしていた時代がありました。男は一人で飯を食える、酒を飲める店をいくつか持っておくべきだ、と思ってましたからね。これは、結婚した今でも思ってます。「ひとり上手」になっておくと、いろいろ人生、耐性が付くんじゃなかろうかとね。
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で、無理やりな前振りなんですが、サッカー日本代表のニュースね。
「打ち砕かれた「プライド」W杯アジア3次予選 日本代表対バーレーン代表」
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/soccer/japan/text/200806230004-spnavi.html

「僕はバーレーンでの屈辱(アウエーで0−1で敗れたこと)は、一生忘れないでしょう。そういう意味で、この試合は自分の、そして日本サッカーのプライドを懸けた試合になると思っています。どんなことがあっても勝つ、勝たねばならないと思っています」
14日のアウエーでのタイ戦(3−0で勝利)を終えての会見で、岡田監督はこのように語っている。

う〜ん、これ、どうなんだろうって思ったんですよ。実は中継も見てなくて、新聞の朝刊で結果を知ったくらいです。裏で、EURO2008という下手したらW杯以上のイベントをやってる状況ですからね、こういう発言する価値があるのかどうか。
別にね、すでに3次予選は突破してて、1位通過しても次のラウンドでのアドバンテージってないわけじゃないですか。その中で、この試合を「プライド」のために戦う必要があるのかな、という木がするんです。確かに、アウェーで負けはした。でも、結果的には最大の目標である3次予選は突破したわけですから、ここは別にプライドも減った暮れも無い。観客の皆さんには申し訳ないけど、下手したら最近強化が上手く言ってない五輪代表にカツを入れるためにも、半分くらい五輪代表組混ぜます、くらいでも問題ないと思うくらいです。
で、思うのは、相変わらず日本のスポーツ選手とかその関係者ってのは、負けるのが下手だなってこと。
負けるのが下手というか、負けることが思考の中に入ってないんですよね。例えば、この3次予選はリーグ戦で、2位通過で目的達成なんだから、上手に負けていい。その負けを上手にこなしていく。そこが大事だと思うのですよ。
何事も勝つ、勝つ、勝つ。これじゃ勝つべきところで勝てないことになる。
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その点、プロ野球っていろいろ言われてるけど、すでに北京五輪じゃ優勝候補筆頭でしょ。WBCのときなんか、結果論かもしれないけど、上手く負けたと思う。予選で韓国に負けたけど、肝心要の準決勝では圧倒した。これがいわゆる「負け上手」だと思うんです。プロ野球って、年間150試合近く戦っていくでしょ。優勝チーム、まあ、例えば阪神タイガースであっても、最下位候補の広島カープと26試合戦って、18試合も勝ったら御の字左近ですよ。8試合は、相手が弱小であっても負けるわけ。プロ野球の指導者ってのは、その辺がしっかりしてるんですよ。星野さん、僕は個人的には好きな人じゃないけど、やっぱりプロの野球人として、負け上手なんだと思うね。
しかし、サッカーってのは、Jリーグも出来て10年以上経つんだけど、どうも負け上手な人がいない。ジーコさんは、僕は個人的には評価してるんだけど、あのブラジルであっても、南米予選って結構苦しいんですよ。だって、主力のいい選手はヨーロッパにいて予選に帰ってこない。帰ってきても、コンディションはイマイチ。しかも、ブラジルってW杯優勝が目標のチームだから、南米予選にベストを尽くすこともない。その分、他のチームでW杯に出場することを目的としてるチームに足元すくわれたりもする。でも、結果的には必ずW杯に出て、優勝するか、近いところまでいくわけですよ。これも、負け上手なんです。要するに、負け上手ってことは強いことの証なんじゃないですかね。
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で、こう考えると、サッカー日本代表の岡田監督のこの発言ってのは、どうもトンチンカンだな、と思うわけです。むしろ、思い切って負けちゃってもいいくらいですよ。まあ、裏には日本サッカー協会とかスポンサー筋の「カネ」も絡んでるとは思うけど。
でね、正直言うと、私は岡田監督就任以降、日本代表は応援してないんですよ。何せ、あのフランスW杯でカズを外したでしょ。あれが、私にはどう考えても納得できない。使いたくないなら、ベンチでも良かった。あの大会で、日本が予選を突破する確率なんて万に一つもなかったでしょ。あそこは、カズをメンバーに入れ、日本サッカーがここまで来たことに対する最大の功労者を顕彰すべきだったと、今でも私は思っている。あの、岡田監督の采配は、サッカーをやっている選手に、どうせ日本人の上層部は、最後は自分を裏切るんだ、という悪しき先例でしかないように、私には思えるんですよ。だから、あそこはカズで負けてよかったんです。それが、負け上手への第一歩だったと思うんですよね。
そして、日曜の凡戦でしょ。それに、W杯ベスト4とか言ってる。あんたは、大本営かと。
太平洋戦争とか大東亜戦争とかいう戦争に負けたのも、結局、負け下手だからでしょ。そこは、実は日本人のメンタリティかも知れません。でも、ことわざに「肉を切らせて骨を断つ」ってのもありますよね。これも、負け上手になれってことじゃないんでしょうかね。
そろそろ、北京五輪ですが、ま、無事に開催されたとしてですよ、負け下手な日本がどういう結果になるか、ちょっと気になっています。一番、怪しいのは男女のバレーボールでしょうな。そういう視点で見ると、去年の世界選手権でメダルを取った後、イマイチ結果が出てない、バドミントンのオグシオなんかは、むしろ期待して良いんじゃないのかな、と思ったりしてます。まあ、ばれてると思いますが、ルックスが私の好みってだけなんですけどね。
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