ケダモノより愛をこめて

で、ここの方から私は「ケダモノ」であると認定されました。
http://d.hatena.ne.jp/amegriff/20040615
では、多少反論を、と思ったのですが「日本を愛していない」とおっしゃっておられる。こりゃ、どうも議論が噛み合いそうにありません。愛国は偏狭だともおっしゃられているしなぁ。私は日本を愛しているし、日本人であることにも誇りを持っています。ですから、180°違う考え方を持っている人と議論が成り立つと思えません。自由民主主義国家・日本においては、このように180°異なる意見を持つ人がいることは、極めて自然な状態でもあります。ですので、amegriff殿にアドバイスを贈りたいと思います。
民主主義とは51対49でも51を民意というシステム。憲法にもそのように規定されております。決して少数派の意見が通るようにはなっておりません。それは最大数の公共の福祉を実現するためであり、49人よりは51人が多数であるからですね。そのシステムの手続きを踏んだ上で、国旗・国歌が法律で定められているわけです。法律自体不要というのも反対理由になるわけですから、51%以上の人が「法律で定めることおよびその内容に賛成」ということになります。過去にも、日の丸・君が代を巡って、教育関係者の自殺事件が相次いだ経緯から、より多数(51%以上)の日本国民が法律で規定し、混乱しないように、と望んだ結果です。
さて、高橋さんの発言内容は、ざっくり言ってしまえば「国旗・国歌法」を認めず、履行するのをやめましょう、とおっしゃっているわけです。しかも、入学式の祝辞という場所でね。これが国旗・国歌ではなくて、交通法規についてだったらどうでしょう。「赤信号を待っているのは、もどかしい。自分の判断で赤信号でも渡れるような判断力を身に付けさせましょう」とPTA会長が入学式の祝辞で述べたら大問題ですよね。それと法律的レベルで考えれば同じことです。
さらにPTA会長という「保護者代表」という立場で発言されているわけですから、他の役員から「PTA全体(実際は51%以上)の考えと違う。そのような発言をする人は会長にいてもらっては困る」となることもあり得ます。今回はそういう状況だったわけで、他の役員6人(これが全員だったのかどうか記事では不明瞭ですが)から引導を渡されたと考えられます。極めて民主主義的なルールに則っていると思いますが。
無論、国旗・国歌法に反対する立場の方がおられることに私は何の異論もありません。国旗や国歌など必要ない、とお考えの方もおられることでしょうし、別の国旗・国歌が必要だとお考えの方もおられると思います。そういう方々は、ぜひ、皆さんの主張を掲げて運動をして下さい。「日本には国旗・国歌は不要です」「私たちが考える国旗・国歌はこれです」と主張して下さい。あるいは「学校での国旗の掲揚、国歌の斉唱は反対である。よろしく国旗・国歌法は改正すべきである」と主張してください。あなた方の主張がより多くの人を魅了するものであれば、現有の「国旗・国歌法」は廃案もしくは改正となりましょう。しかし、現在の「国旗・国歌法」では学校の公式行事での斉唱・掲揚は義務化されているので、これは遵守して下さい。法律を守ることは、民主主義の一番のルールですから。
今、日本の中のどこを見ればファシズムに走る土壌があるでしょうか。マスコミの発達やインターネットの普及で思想統制なんかできないし(反対派からの罵詈雑言は、民主主義社会では当然のことです)、他国に侵略するような戦争をやってペイできると考えている人なんてほとんどいません。テレビで堂々と首相に「0点」採点しても、身柄を拘束されるわけでもない。非常に住みやすい国だと思います。言いたいことが言える、この国を嫌いにならないで頂きたい。
自分の主張が正しいと思っても、それを多数派にしない限り、世の中に通用しないのが民主主義です。逆に言えば、51%さえ確保すれば、自分の主張通りに世の中を変えることもできる極めて迅速なシステムが民主主義です。独裁体制を崩壊させるのには骨が折れますが(歴史が証明してますね)、民主主義国家の法律を変えるのは、実にスピーディーです。ぜひ、貴兄には貴兄と違う考え方を持つ人を上手に説得し、貴兄の味方に引き入れることをお勧めします。そのためには、考え方の違う人を「ケダモノ」とお呼びになっているようでは、心許ない。そのあたり、お心掛け頂き、ご自愛下さいませ。

amergiff殿へ私信:貴兄の反論、逐一読みました。なるほど、反論ごもっともでございます。
http://d.hatena.ne.jp/amegriff/20040616
ルールが悪ければ従わない、という革新的な手法、感銘を受けました。私は、ルールが悪ければ変えよう、と考えておりましたので。大変、勉強になりました。