こればかりはアメリカは良い国だと思う

「米メディア、イチローに「歴史塗り替えた」と最大賛辞」
http://www.yomiuri.co.jp/sports/news/20041002i111.htm
まずはイチローの快挙に乾杯! それ以外に言葉はありません。
アメリカはやはり懐の広い国なのだなぁと思ってしまいます。シーズン途中、イチローが敬遠されていることに対して、ワイドショーのコメンテーターが「ひどい!」みたいなことを言ってましたが、マリナーズは今年最下位まっしぐら。イチロー以外はボンクラ揃いというチーム状況では、勝負所で敬遠されて当然なわけで、別に記録を塗り替えられたくないから敬遠していたわけではないのですがね。84年前の記録が残り、そのご子孫の方がいらっしゃって、球場に招かれる。そして達成の瞬間に立ち会う、なんてのはアメリカは出来星の国だけに「歴史」を大事にしてるんだなぁと思うわけです。今後、イチローの記録が破られるとき、老イチローかあるいはイチローの子供か孫が同じように、その場に立ち会うことを想像するだけで、何か嬉しくなってしまいます。
その点、日本のプロ野球は「記録」という「歴史」を大事にしてるのかと。シーズン終盤になると醜いタイトル争いが数年ごとに発生します。以前、中日と巨人が優勝争いをし、最終戦まで持ち込まれたことがありました。中日は最終戦の大洋に勝ったら優勝、そして首位打者争いは、大洋の長崎がわずかの差で、中日・田尾をリードしているという状況でした。この試合で、大洋は首位打者であるチームで最も力のある打者である長崎を出場させず、かつ田尾を全打席敬遠するという行動に出ました。結果、田尾の四球を足掛かりに中日が勝利し、優勝。長崎もめでたく首位打者を獲得する、という「記録」が優勝争いよりも優先されるということが起きています。さらに最近では当時近鉄にいたローズのホームラン記録を阻止するために、選手が「自主的に」敬遠したり、わざとタイミングを外した投球をしたりして妨害するという事態も起きている。それから、パリーグ盗塁王争いで相手チームの選手に取らせないためにわざとボークをしたり、わざとワイルドピッチをしたりして、盗塁を妨害。また走者の方もワイルドピッチだったのに進塁しないとかという醜い争いがあった。また、ペタジーニ(当時ヤクルト)と松井(当時巨人)がホームラン王争いをしているときに、上原がペタジーニを敬遠するように指示され、涙を流したなんて事件もあった。これって野球なんですか?
確か、このペタ・松井騒動のときだったかと思いますが、日テレ系の解説だった山本浩二と掛布が趣旨から言えばこんな発言をしてました。
「連盟表彰のタイトルの重みは選手でないとわからない。それを取らせるのも首脳陣の仕事の一つで、こうした行動が行われるのも、優勝争いと違うところであれば仕方ない」
ショックだったのは、球界を代表する屈指の強打者として記憶される二人の名選手から、このような発言があったこと。こうして産まれる記録って「捏造」に近いモノがあるんじゃないかと思うし、そうした詐欺的行為が行われるまでに積み重ねてきた部分のすべてが否定されかねない。何よりファンをバカにしてるしね。
プロ野球も改革期であります。巨人頼みから脱却、地方分散、交流戦の実施などいろいろありますけれど、やはり全試合で「真剣勝負」をしなくちゃならんです。真剣勝負の中で産まれているからこそ、記録には価値がある。また、王さんの記録だからって永遠に残すべきものじゃない。記録が破られるとき、それまで記録を持っていた人を褒め称える気持ちがあればいい。それはファンは持っているんです。問題は野球関係者(選手ももちろん)の気持ちの問題。そこんとこよろしくお願いしますよ、日本プロ野球