自分は責任を負わぬということか

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20040822ia21.htm
民主党小沢一郎・前代表代行は22日、都内で開いた「小沢一郎政治塾」で講演し、自らが提唱する、自衛隊とは別組織の「国連待機部隊」創設構想について、「自衛隊が(武力行使を伴う)国連の平和活動に参加することは、憲法9条に抵触しない。しかし、自衛隊の海外派遣には、国内外でアレルギーが残っている。待機部隊として派遣する方が納得されやすい」と述べ、必要性を強調した」
民主党内で意見が整っていないとか、選挙中に言っていたことと違うとか、そういうことを言っても仕方ありませんし、期待もしてません。だけれど、この小沢氏の発言は政治家としての発言とは思えない。自衛隊の存在・活動は憲法9条に抵触しないとしている。昨日テレビのニュース映像で見た際には、憲法前文の理念を果たすためにも必要と言っていた。これは正論であって、何も問題ではない。しかし、自衛隊には国内外(国外って中国と朝鮮半島だけだが)でアレルギーが残っているから、指揮権・発動権を国連に委ねた部隊を作ろう、という。小沢氏の発言には、少なくとも以下の点で看過できない。

  1. 少なくとも自衛隊に対する国内のアレルギーに関しては、政治家がその存在が問題ではないことを国民(有権者)に説明する必要がある。その説明責任を放棄している。小沢氏が自衛隊の存在を違憲であると考えているならまだしも。
  2. 国連待機部隊は、国連の要請があればいつでも動くものである、と解釈できる。でなければ、自衛隊との区別ができない。となると、国連待機部隊の発動および指揮権は国連が持つわけであり、自衛隊のように日本国首相が持つのではない。自衛隊の行動に対する最終責任者は首相であるが、国連待機部隊の活動の責任は日本国首相は負わないということである。これは、日本人の生死(武力行使を伴うからには、隊員の生死も関わる)に対する責任を首相以下が負わないことを意味している。

小沢氏にとって大事なのは2番目の方。日本が武力行使を伴う国連の平和維持活動に参加するという名誉を得ながら、部隊員の生命に関する政治的な責任は負わずにすむ。こんな無責任なことを言う政治家が民主党の方針を左右するなんていうのは、愚の骨頂ですな。というか、火中の栗は拾わない、いつも一つ下がった場所から、文句だけ言う、という超無責任体質の小沢氏らしい考え方ではありますね。
私は、首相が最終的な政治的責任を負う自衛隊が参加するのが一番自然であると思います。小沢氏の考え方では、民意すら届きませんよ。極論すると、日本が国連から何らかの形で武力制裁を受ける羽目になった場合、日本人による国連待機部隊が自衛隊と戦火を交えるという状況も理論的には考えられるわけでしょ。そんなアホなことありますかいな。