中国原潜騒動続き

台湾当局が日本に「中国原潜が日本海域に向かっている」という連絡をしてきていたそうです。
「国籍不明潜水艦領海侵犯 3日に台湾当局が中国潜水艦が日本方面に向かったことを通報」
http://www.fnn-news.com/headlines/CONN00060383.html
これ一つ見ても、日本はどこと友好関係を強めるべきか、判断が付こうってモノです。台湾が中国から戦争を仕掛けられたとき、日本は憲法を遵守して台湾を見捨てるつもりなんでしょうか。私は集団的自衛権の行使を憲法で認めておかないと、台湾が中国から武力侵攻されたときに、法的制約から助けることができないと思います。自由と民主主義の仲間を守ることすらできない現状の日本はまともな世界から見て、まともな国なんでしょうか。今朝の読売紙面には衆院憲法調査会公聴会の内容が出ておりましたが、武村正義元蔵相が「憲法9条は日本の顔」として改正反対の立場を申しておられました。確かに憲法は国の顔かも知れませんが、なら世界各国は憲法9条からの日本の印象をどう考えているのか。平和を守る良い国家だな、とは思ってないでしょう。仲間を見捨てる国か、やりたい放題できる国だ、と思ってるでしょうね。
ちなみに、この逆はあり得るのか。つまり、中国に台湾や日本が侵攻する、という事態ですが、はっきり言ってあり得ないです。台湾や日本の経済力では、とてもじゃないけど、10億人以上の人口を養うことはできないから。しかも、陸続きの国境を持つことによる防衛コストもかかるわけで、日本や台湾が中国に侵攻するメリットは皆無ですから。
で、これが事実なら北京政府は政府としての体をなしてない。
「潜水艦の領海侵犯、中国「調査中」」
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20041111i113.htm
「潜水艦侵犯、「報道で初めて知った」と中国軍幹部」
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20041110ia23.htm
全然シビリアンコントロールできてないじゃん。しかも軍幹部すら知らないとか。全く、旧儒教国家はろくな言い訳をしないなぁ。この辺、先日の韓国の核疑惑と同じ構図。朝日さん、中国はこんなこと言ってますよ。朝日といえばシビリアンコントロールに人一倍思い入れがあると思いますので、ここは一つ、中国のシビリアンコントロールについて、ガツンと言ってやって下さいよ。無理だろうけど。
で、次。同じ記者会見だと思うのだけれど、二つの新聞で全く異なる受け取り方。
「潜水艦追尾を続行、政府が中国へ照会・抗議も」(日経)
http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20041112AT1E1100Q11112004.html
「「安全保障上の問題もある。あまりはっきり言わない方がいいという場合もある」――。小泉純一郎首相は同日夕、首相官邸で記者団に潜水艦の国籍の特定は慎重に進める考えを示した。」
これを見ると、小泉首相はずいぶん軟弱な発言をしているように思います。しかし、これが読売の手にかかると、こんな感じ。
「領海侵犯、中国に抗議へ…原潜は防空識別圏に接近」
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20041111it14.htm
小泉首相は同日夜、記者団に「(相手国が判明すれば)しかるべき対応を取る」と述べ、中国国籍と断定した段階で、中国政府に抗議し、謝罪や原因究明を求める考えを示した。」
おや、首相はずいぶん強気の姿勢じゃありませんか。一体どっちが正しいの?
結論から言えば、首相は両方とも言ったのですよ。「安全保障上の問題もある。あまりはっきり言わない方がいいという場合もある。(相手国が判明すれば)しかるべき対応を取る」とね。首相発言の細部だけを摘み取って、自説に有利な方に「記事」として導く。この点では、日経も読売もダメですな。
安全保障上の問題というのは、ちょっとわかりにくいと思ったのですが、今回の中国原潜の行動は、日本の哨戒能力を見極めるためではないか、という見方がありますね。となると、あまり詳細な内容を公表できないということもあるみたいですね。ま、今後は行動で示しましょう。言い訳は「哨戒能力がないので、どこの国か確認できません。仕方ないので、日本は領海侵犯には実力行使することになりましたもので」とすればよろしいかと。
ちなみに「領海侵犯なんてたいした問題じゃないか。そんな領海を通過されたって、減るもんじゃないし。穏便に済ませようや」と理屈は、痴漢行為をする男性の理屈と同じ。それが女性に対してどれだけの苦痛を与えているか。相手が気の強い女性なら、その場で取り押さえられて、ビンタの一つくらい食らわせられるかも知れない。しかし、気の弱い女性だとその場で反抗することもできず、泣き寝入り。今の日本は、中国・韓国・北朝鮮から後者だと思われてるわけ。しかし、台湾は、気の弱い女性(日本)に「アイツ(中国)は痴漢だから気を付けて」と言ってくれてるわけですよ。こんなことでガタガタ騒ぐな、とかいう人は、痴漢に襲われても黙って耐えてりゃ良いんだよとか、乗る電車を代えたら良いんだよとか、言うんでしょうかね。
ちなみにイギリスという「女性」は、痴漢行為をされたときにスカートを翻して、その男性をコテンパンにぶん殴っちゃいましたけどね。ええ、フォークランド紛争のことですよ。