自衛隊員に対する差別ではないか

「民主「イラク自衛隊、死傷者出たら内閣総辞職を」」
http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20041111AT3K1100K11112004.html
民主党ってば確か「政権交代」を掲げている政党ですよね。ということは、内閣総辞職というのは政権交代にまた一歩近づくと考えているわけでしょう。この議論が、全く国内だけにクローズされるモノであれば、まだいい。首相の責任問題についての一基準であることを示したつもりなのかも知れないけれど、それならば民主党内だけで共有しておけばいい。これが記者会見という場で公にされたことは、実に重大です。
恐らく、この報道はイラクで暗躍するテロリストや武装勢力たちにも伝わるでしょう。彼らはどう考えるか? 民主党イラクへの自衛隊派遣に反対している党であることも、また泡沫政党ではなく、日本の第二党であることも伝わっているでしょう。となると、イラクから自衛隊を追い出したいと考えている武装勢力はどうするか。自衛隊の駐留地を攻撃目標にし、自衛隊員の死傷者を出させれば、日本の現政権は退陣する可能性があり、それに代わる民主党政権自衛隊を撤退させる、というシナリオを考えるでしょう。
つまり、民主党という政党は、政権交代のためには自衛隊員をさらなる危険にさらしてもよい、と考えているわけで、これは明らかに自衛隊員に対する差別的感情のなせる業。自衛隊員の命を軽んじているということです。
確かにイラクに派遣されている段階で、日本国内にいるよりは相当生命の危険はある。その生命の危険を顧みず、イラクで復興支援にあたる自衛隊員を尊敬し、できるだけ危険がないように努力することが、政治の役割であろうと思うのです。だから、民主党が「自衛隊員の安全保障ができないから、撤退すべきである」ということは、賛否両論あれども、それは正当な主張ではあるわけです。しかし、返す刀で民間人を復興支援に派遣するというのは、明らかに矛盾しているわけで、しかも今回の発言でイラク駐留の自衛隊員をさらに危険にさらしているというこの姿勢。明らかに自衛隊員に対する差別です。民間人なら良いけれど、自衛隊員ではダメ、というのは明らかに差別です。しかも、民間人は日本で都合6人の拉致され、一人は殺害までされているわけで、復興支援にあたる場合に、自衛隊員の方が明らかに適しているにも関わらず、民間人なら良し、自衛隊員はダメ、というのは、論理的に理由がないわけで、こういう論理的理由のない区別は明らかに差別です。
こうしたいわゆる「自衛隊アレルギー」とか「軍隊アレルギー」の方々にだって、冷静に考えたら、治安維持能力としての軍事力・警察力が必要であることは、理解しているはずです。必要であり、かつその恩恵を受けているにも関わらず、自衛隊憲法上の存在として認めないとか、あまつさえ国の恥であるかのように発言するというのは、明らかに自衛隊員に対する差別です。
私が、もし自衛隊の派遣延長に反対の立場であれば、このように主張します。
自衛隊員の安全確保は、もはや難しい。サマワはすてに特措法に記載されている戦闘地域であると認識すべきである。復興支援の必要性以上に、わが国の国民である自衛隊員の生命の安全を最優先すべきである。ゆえに、派遣を延長すべきではない」
これ以上のことを言う必要は全くない。ただ、これが受け入れられるかどうかは知りませんけどね。まず、戦闘地域に対する認識でわかれるだろうし、復興支援の必要性についても意見が分かれるでしょうけどね。