現実を直視できない新聞に未来はあるか

もちろんのこと、私がこうして論うのは他でもない朝日新聞。本日の社説です。
「八方ふさがりの日本外交 小泉首相の責任は重い」
http://www.asahi.com/paper/editorial20050412.html
私は昨日の日記で、朝日がシナ北京政府の言論弾圧振りを糾弾してくれることを期待していましたが、虚しかったようです。普段は二つのテーマを取り上げる社説が、今回はこれ一つ。つまり、一つのテーマを2倍の分量で深堀りしたわけですが、結果的には「日本がすべてを譲れ」という論調に終始しています。
とりあえず、ツッコミどころ満載なので分量が多くなり過ぎないように注意しつつ。

中国との関係がここまで悪くなることを、少し前までだれが予想できただろうか。

北京政府の威信確保のために、江沢民が始めた反日教育を受けた世代が社会に出てくるようになってきただけ。十分予想の範囲内だと思いますが。そもそも「ご注進」勢力の朝日にとっては、自ら仕掛けて、ここまで大騒ぎにするつもりはなかった、という告白でしょうか。

首相は「戦没者に追悼の誠をささげ、不戦を誓う」と説明する。だが、中国侵略の責めを負うA級戦犯を合祀(ごうし)した靖国神社である。参拝をやめてほしい、という中国側のたび重なる要請を聞き入れず、なお参拝に意欲を見せるという姿勢が、どれほど中国の人々の気持ちを逆なでし、「過去を反省しない日本」という印象を広げてきたか。

朝日は自らの考えに反する組織、団体については、一切調べないという方針でもあるんでしょうか。靖国神社には、朝日的表現を借りれば「東南アジア侵略の責めを負う」方々も合祀されている。ところが、拙日記(http://d.hatena.ne.jp/sanhao_82/20050324)で紹介したように、その東南アジア各国からも参拝いただいています。これは、先刻、台湾で連立与党を組む台連の党首のご発言にもある
「自由、民主国家は、国のために犠牲となった人の追悼方法を自分で決めることができ、いかなる国も干渉できない」
という世界常識を、シナ北京政府と朝鮮半島の国が理解できていないだけのこと。そもそも、朝日はこの台連党首の靖国参拝を少なくともWEB版では記事にしていない。つまり、読者にこの事実を隠蔽しているんです。卑怯としか言いようがない。

首相は昨年9月の国連総会で、安保理常任理事国入りを目指す決意を表明した。だが、韓国は支持どころかはっきりと反対で動き始めた。中国ではこれが反日デモの火をつけてしまった。肝心のアジアの支持を得られないで、どういう戦略が描けるというのだろうか。

朝日新聞社の中にある世界地図はどんな格好をしているんだろう。アジア=シナ北京政府&朝鮮半島じゃあるまいよ。むしろ、アジアの中ではゴリゴリの儒教国家だったという点で、シナと朝鮮半島は他のアジアの国と大きく異なる。つまり、アジアで少数派なのはむしろシナと朝鮮半島。しかも、日本は国連安保理常任理事国入りに対して、約60ヶ国から支持を受けているんですがね。これも朝日にとっては無視すべき事実。朝日の読者は、世界から日本が「安全保障」の面でも期待されていることを知らないのでしょう。お気の毒です。

戦争に敗れたはずの日本が経済大国として発展し、国際社会の中で大きな存在感を持っていることに、近隣国の人々は複雑な思いを抱いている。だからこそ、謙虚な姿勢を見せることが、日本がこの地域で認められるために必要な外交のリアリズムである。

複雑な思いを抱いているのは、かつて日本を儒教イデオロギーによって後進国を蔑視していたシナと朝鮮半島だけでしょう。今は「反日」というイデオロギーによって現実を全く見ることができなくなっている。そして、朝日も同じイデオロギーによって記事を取捨選択し、読者洗脳に勤しんでいますね。イデオロギストが他者に「リアリズムを持て」など笑止千万な説教です。
そもそも、日本は自らの努力によって、今の地位を作り上げた。そして、東南アジア諸国も日本を見習って大きく発展してきたわけです。隣人を嫉んで「謝罪と賠償を!」と叫んだり、条約無視で不法占領したり領海侵犯したりするような人たちの方が、よっぽど謙虚さが足りないと思いますが。

しかし、首相には大きな国益を考えてもらいたい。靖国神社に参拝し続けることに、どのような国益がかかっているのか。譲るものを持たずに、どうして相手にだけ誠意ある対応を求めることができようか。

国益のために信教の自由を捨てろ、とは朝日にしか言えない台詞です。せめて「自らが靖国参拝する意思を、真剣に北京政府首脳に訴えるべきだ」くらいが言える限界です。さすが、言論統制機関への昇格を狙う朝日新聞の真骨頂です。

首相はことあるごとに「世界の中の日米同盟」を強調する。だが、アジアでの足元が定まらないままでは、結局、米国の力にすがるだけの国になってしまいかねない。

何度も言います。アジアはシナと朝鮮半島だけではない。むしろ、外交には「遠交近攻」という言葉が古くから(これ、シナの言葉ですが)あります。日本は、そういう意味で全然八方塞がりの外交ではないと思いますよ。