というわけで、プロの文章家はこういう文章を書くのです

本日の読売「編集手帳」より。さすが文章のプロ、という出来上がりになっております。
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20050411ig15.htm

深海魚の体は大きな圧力に耐えられるようにできている。いきなり海面に引き上げられると水圧から解放され、内臓が口から出たり、眼球が飛び出したり、悲惨なことになるという(倉嶋厚「季節おもしろ事典」、東京堂出版)◆相手が魚でも気味が悪いが、海を隔てた隣人となればなおさらである。途上国から海面に急浮上した中国という深海魚の体内からは、「貧富の格差」などさまざまな矛盾が飛び出そうとしている◆苦痛の悲鳴が政治体制に向かわないよう、中国政府は「日本憎し」の反日教育によって国民の目をそらしてきた。反日デモの乱暴狼藉(ろうぜき)を黙認したのも、さして驚くにはあたらない◆日本人はどこぞの国とは違って、サッカーの試合でよその国の国歌を侮辱するようなまねはしない。国旗を燃やさない。大使館にも石を投げない。領海侵犯はしない◆過去の歴史を日本人が真剣に学んできた証しでもある。歴史に学ぶとはそういうことであって、「歴史の奴隷」として中国人の前で際限もなく頭を垂れつづけることとは別だろう◆差しあたり日本の側に、悔い改めるべき非は見あたらない。“官製”暴徒の取り締まりを官に促すのは少々むなしいが、再発防止を中国政府に厳しく求め、あとは深海魚の生態をじっと観察しているしか手はあるまい。静かに、冷たく。