本日のメディア比較は党首討論の記事から

まず、読売。
党首討論、民主・岡田代表が補選に向け対決姿勢」
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20050420ia22.htm

民主党岡田代表は20日の党首討論で、初めて郵政民営化日中関係などアジア外交を取り上げ、小泉首相を激しく攻撃した。
 24日投開票の衆院統一補欠選挙を意識し、政府・与党との対決色を強めたものだ。
 「国民不在のどたばた劇だ。もっと重要なことはたくさんある」「公務員でなくするために民営化するのは本末転倒だ」「小泉郵政改革は偽物だ」
 岡田氏の郵政改革批判に対し、首相は「郵政改革をしなければ、ほかの大事な問題が進む訳ではない。改革の重要性には分かる人と分からない人がいる」と不快感をあらわにした。
 岡田氏は、中国、韓国などの反日運動は「小泉首相アジア外交を軽視したため」と断じ、日本の国連安保理常任理事国入りが遠のいたと主張した。岡田氏は「そう何度も巡ってくるチャンスではない。ぜひ実現しないといけない。韓国や中国にどんな戦略で対応してきたのか。日本外交の完全な失敗だ」と訴えた。
 ただ、靖国神社参拝問題には触れなかった。「首相に“逆切れ”されたら、日中関係は致命的になる」(民主党幹部)ためだという。
 岡田氏は前回の6日の党首討論で、「政権準備政党」の立場から「微妙な時期に外交問題に触れるのは国益を損ねる」と自己規制し、反日デモなどの質問も避けたが、党内からは不満の声が出ていた。

アジア外交を軽視していたのなら、東南アジアや西アジアでも反日デモが起こっているはずですが、まあいいです。読売らしく、当たり障りなく面白みのない記事で終わっています。
次に朝日。
小泉首相村山談話を共有」 対日批判、対策語らず」
http://www.asahi.com/politics/update/0420/011.html

小泉首相は20日、民主党岡田代表との党首討論で、対日批判を強める中国や韓国などとの外交について語った。中国で反日デモが広がってから首相がアジア外交について時間をかけて説明したのは初めてだが、95年の村山首相談話の考え方は「共有している」としたものの、自らの歴史認識や関係改善の手だては具体的には語らずじまい。一般論に終始し、岡田氏の質問に正面から答えていない場面も目立った。
討論で岡田氏は「日本の外交は完全な手詰まりだ。韓国や中国とは戦後60年、先輩がいろんな努力を重ねて関係改善に努めたが、先人の努力が水泡に帰してしまう」と追及。首相は「中国、韓国の最近の反日運動が今後の両国との友好発展に支障ないような対応が互いに必要と思う」。かつて戦争をしたが、その後、関係を修復した日米や独仏、米国とベトナムを例に挙げ、「大局的見地で対処していかなければならない」と語った。
 中国での動きについて岡田氏が「日本側にも原因を作ったことに反省が必要」と問うと、首相は「日本は戦争の経験を踏まえて戦後60年、一度も戦争したことがない。平和国家として発展してきた。中国にも多額の支援をし、友好関係を発展させてきた」と答えた。

首相には「具体的に語らずじまい」と批判しつつ、「大局的見地で対処していかなければならない」というジャスコ岡田の言葉には「具体性がない」という批判はしないのですか、そうですか。
最後に産経。
「岡田氏自沈 反日デモ、首相に反省促し/郵政は“返り討ち”」
http://www.sankei.co.jp/news/050421/sei030.htm

24日投開票の衆院統一補選を目前にした20日、党首討論に臨んだ民主党岡田克也代表は、対中外交や郵政民営化問題などで小泉純一郎首相を攻めたてることで、ポイントを稼ぐ戦略だった。しかし、焦点の日中問題では、日本の「反省」を首相に促したほか、郵政民営化問題でも、首相を追い込めずじまい。岡田氏が唱える「政権準備政党」の姿はかすむ一方だ。
 岡田氏は党首討論後、「批判のための批判はしない。永遠の野党ならそれでいいけど、政権を取ったときにできることを頭に描きながら議論している」と記者団に述べ、民主党は抵抗政党ではないとの姿勢を強調してみせた。
 しかし、党首討論で岡田氏は、反日デモで揺れる日中問題を取り上げたものの、「首相はアジア外交を軽視してきた。今の事態を招く原因のひとつになった」と指摘するなど、首相に「反省」を迫り、中国寄りの姿勢が見え隠れ。
 郵政民営化問題でも、党として明確な対案を持たないため、首相から「民主党はいかがなものか」と、切り返されて、あえなく自沈した。

産経はもしかしてイオングループから広告料をもらっていないのでしょうか(読売はテレビ欄の下にジャスコ特売の広告が出てますので、間違いなくもらってるでしょう)。それにしても、朝日とはずいぶん内容が違います。「中国より」と書かれ「返り討ち」とまで書かれた上、しかも「自沈」ですよ。産経はよほど民主党がお嫌いと見える。
さらに、党首討論と関係ないところまで書かれています。

岡田氏は党首討論に先立ち、来日中のハワード豪首相と都内で会談したが、ここでも「小泉首相の下で日中関係がうまくいかなくなったことは残念だ」と、反日デモ靖国神社参拝をやめない首相に責任があるとの認識を第三国の首脳に表明。
 さらに同首相が、自衛隊が駐留するイラク南部への部隊派遣を決めたことに「憲法上の理由から自衛隊派遣に反対しているが、オーストラリアの決断には感謝している」と述べるなど、外交センスのなさを露呈した。衆院統一補選の選挙期間中、唯一かつ最後となった党首討論だが、「減点要因ばかり目立ち、墓穴を掘った」(民主党中堅)格好だ。

最後の「民主党中堅」は、産経の脳内「民主党中堅」の可能性がありますので、信用しないことにします。それにしても、全く外交センスがない、というのは確かのようです。国内抗争の最中に外国勢力と手を組むと、その後の政権は後援した外国の言うなりになる、というのが歴史の必定です。地理的にも至近な例としては、初めて朝鮮半島を統一した新羅がそうです。半島統一のために唐を手を結んだことで、唐中心の儒教体制化に入らざるを得なくなり、その後の朝鮮半島国家はそれを踏襲した(せざるを得なかった)わけです。日本でも戊辰戦争時に、官軍はイギリス、幕軍にはフランスが資金協力を名目に手を結ぼうとしていましたが、両方の指導者がそれを拒否してきたために、日本が特定国の属国になることがなかったわけです。ジャスコ岡田がやろうとしてるのは、国内の政治問題について外国の圧力を要求しているようなもので、ジャスコ政権誕生の暁には、日本は全く自主的な外交ができない国になるということです。それくらいわかってるんですかね、ジャスコ岡田って人は。
ということで、同じ事実でも解釈は全然異なるのだ、ということの証ですね。どっちが正しいか、読み手各々が考えることで。(無論、私は産経が○、朝日が×と思いますが)