理想論を一席ぶってみる

先日のマッコイ博士との「党議拘束」についての続きのようなお話です。
そもそもマッコイ博士のエントリーは、党議拘束を問題視されているというよりは、お互い寄り合い所帯の自民・民主の状況を問題視されていたわけで、議題の材料にするにはやや不適格でした。すんません、マッコイ博士。
さて、それを知った上で、党議拘束云々について理想論を一席ぶってみようと思います。
現在、日本の立法のあり方は、おおむね次のような格好だと思います。
選挙日程が決まる → 選挙公約を公示する(マニフェストという政党もある) → 政策論争はほとんどせず、選挙相手を批判する(特に民主党) → 投開票で議席が決まる → 選挙公約に関する法案を党内で審議する(特に自民党) → 党内の総務会とか何とかで「一任取り付け」とか「全会一致」とかで法案提出するかどうか決まる → 法案が委員会審議に入る → 通過して、本会議に入る → 晴れて法案通過 → 選挙公約1個達成
何が問題やねん、という気もしますが、実は問題ありありです。何が問題かというと、法案の作成が選挙の後になっているという点です。つまり、選挙公約は空手形に等しいわけです。上記はめでたく通過する場合を想定しましたが、郵政民営化法案のように、自民党内での法案審議で揉めると、与党の「選挙公約」であるにもかかわらず、与党が潰しかねないという、かなり意味不明な状態が起こり得るわけです。
で、私が考える理想的な立法のあり方は、次のような形です。
選挙公約を作る → その際、法案作成が必要なものについては原案を党内で議論し、集約する → 選挙日程が決まる → 党内議論で集約できたものを、選挙公約として公示する → 選挙公約の内容で選挙戦を行う → 投開票で議席が決まる → 基本的に多数派政党の選挙公約が実行される
これなら空手形にはならないと思います。立法府の議員は、本会議開催中でもそうでないときでも、次の選挙公約に必要な法案を常に議論していなければならないわけですが、それくらいの仕事はしてもらいましょう。また、上記は単独政党による過半数獲得を想定していますが、これが連立政権になったときは、いろんな交渉が必要になります。当然、選挙前に議論した内容を簡単に覆すわけには行きませんから、水と油の政党同士の連立もあり得ないし、また水と油の議員同士が同じ政党に所属するわけにもいかなくなるはずです。
政策論争と言っても、現状では「やります」項目リストだけが、選挙公約とかマニフェストに載っているだけです。それはやっぱり空手形たと思うんです。そうじゃなくて、いつでも国会で議論できるような法案を準備して、準備できたものだけを選挙公約とする。集約できなかったものは、公約にしない。集約できない政党は、何も出来ない政党として淘汰される。それが私は、立法府と政党のあるべき姿だと思います。これなら、党議拘束もへったくれもありませんでしょ?