私も違和感はあるんだよ

堀江貴文社長:『天皇は日本の象徴』に違和感、大統領制に」
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/senkyo/news/20050907k0000m010016000c.html

衆院選広島6区に無所属で立候補しているライブドア堀江貴文社長は6日、東京都内の日本外国特派員協会で講演し、天皇制について「憲法が『天皇は日本の象徴である』というところから始まるのには違和感がある。歴代の首相や内閣が(象徴天皇制を)何も変えようとしないのは多分、右翼の人たちが怖いから」などと指摘した。
そのうえで日本の国家体制について「大統領制にした方がいい。特にインターネットが普及して世の中の変化のスピードが速くなっている。リーダーが強力な権力を持っていないと対応していけない」と語った。【谷川貴史】

実は私も違和感があるんですよ。「天皇は日本の象徴である」っていうところから始まるのには。何で「天皇は日本の国家元首である」って書かないのかってね。立憲君主制の国家では、みな王様(女王様)が国家元首でしょ? で、君主を立てない国では、大統領が国家元首になると。歴代の内閣が変えようとしないのは、それが改憲論に直結する話だからですよ。
また、神話の時代から続く王家の存在を、我々は誇りに思っていいんじゃないですか。あまりにも天皇家の存在を、我々は当たり前のものだと思っていますけど、他の民族の歴史の中で、神話時代から続く家系が残っている民族って、特に先進諸国にはないわけですよ。例えば、今のギリシャギリシャ神話時代の神々の系譜を、伝承でもいいから、受け継いでいる家系はあるか?とか、キリスト教以前にあったゲルマン神話に出てくる神々の子孫は今もいるの?と考えてみればわかると思います。それだけ、天皇家は世界史的に見ても稀有の存在なんです。これは日本が世界に誇れる文化・文明的な大きな財産だと思います。
それから、大統領制にした方が変化に対応しやすい、と考えておられるようですが、そんなことはありませんね。例えば、お隣の国の大統領閣下は、議会で多数派を得られていないために、自身の考える法案が議会を通らない。だから、変化に対応しようにも対応できないわけです。もちろん、大統領制でも議会の多数派と同じ党派から大統領が出れば、対応も速くできますけどね。その例は現在のアメリカですが。本来は、小選挙区のみの議院内閣制が一番変化に対応しやすいんです。
で、実際、大統領がそのまま行政府の長として、行政権を執行している国は、先進民主国家ではアメリカの他には、台湾とロシア、フランスくらいじゃないでしょうか。特にヨーロッパ諸国では、大統領は象徴的な国家元首(要するに国王の代わり)として存在し、実際には議会多数派によって構成される内閣が行政権を行使しているのが現実です。これも、行政府は立法府の定めた法律によって運営されることを基本に考えると、立法府の多数派が行政府を構成する議院内閣制を取る方が、民意を素早く吸収できるからだろうと思います。
堀江さんも世界で一番の企業家を目指すんであれば、もうちょっと日本の歴史を勉強し、日本人のアイデンティティを持った方がいいと思います。ビートたけしは、当時、ラグビーの日本代表監督を務めていた平尾誠司と対談した際に、次のような意味のことを述べていました。これは、私が非常に印象に残っている言葉で、外国に行く際、また外国人と国内で接する際に、心がけていることでもあります。
「外国に行ったときに、自分が国際派だと思っている多くの日本人は、無国籍人みたいな振る舞い方をしている。でも、外国人はこういう無国籍人を相手にしない。不気味なヤツだと思う。外国に出て大事なのは、自分が日本人であることを自覚し、日本人として振舞うこと。そうでないと、外国人は相手にしてくれない。」
(参考までに補足しますと、当時の日本ラグビーは、その方向性をどのように求めるかで大いに悩んでいました。どの強国を真似するか、という点で。そこでビートたけしは、日本人には日本人の丈にあったスタイルがあるはず、それは平尾なら見つけられる、という意味で上記の発言であったと記憶しています。ちなみに日本ラグビーは、未だに漂流してますけどね)