謎の朝日スクープ 自衛隊イラク撤退のニュース

昨日(11/11)付では、1面を飾っていたというこのニュース。しかし、asahi.comをざっと見ると見つからない。1面のトップニュースなのに、何故?
と思っていたら、「イラク情勢」特集の中に入っていました。
陸自、来年9月までにイラク撤退へ 空自は活動継続」
http://www2.asahi.com/special/iraq/TKY200511100370.html

政府は、イラク南部サマワに駐留する陸上自衛隊について来年前半にも撤退を開始し、来年9月までに完了させる方向で検討に入った。同月の自民党総裁としての任期切れまでに区切りをつけたい小泉首相の意向を受けた。イラク駐留の多国籍軍は現時点で、今年末に予定される新政府発足から約3カ月間に限り駐留継続を要請されており、その後の撤退開始は可能と判断した。政府は陸自の撤退後も航空自衛隊による輸送支援は継続する方針で、輸送拠点の拡大も検討する。

よく見ると、撤退なのではなくて、任務を陸自の給水活動支援から、空自による輸送支援に切り替えようという話であって、記事中にある「自民党総裁としての任期切れまでに区切りをつけたい小泉首相の意向」というのは、全然関係のない話であることがわかります。
しかも、この記事に登場する人物を挙げてみますと、
防衛庁幹部・政府関係者・ある政府関係者・外相経験者
誰一人として、実名が挙がっていません。一体、これでは記者が創作したと判断してもやむを得ない話ではないでしょうか。しかも「権力の監視」を標榜している新聞社の筆頭である朝日新聞であれば、権力者である政府や官公庁の関係者や、外相経験者という有力者に媚びる必要はないと思われます。
さて、他紙がこの報道を一切、後追いしていないところが、実は真実をよく表していると思います。自衛隊をどのように運用するかは、少なくともイラク特措法の範囲内であれば、行政府の専任事項。つまり、自衛隊の運用方法をどのように変更するかは、政府の判断によりますから、政府が公式に判断を示したときに報道すればいいだけのことです。内容も、それほどセンセーショナルではないわけですから。
ところが、朝日の紙面を写真に撮って掲載して下さっている、あるブログ(どこかは、拙日記の読者ならお分かりだと思いますので、あえてリンクなしでw)を見ると、見事に大見出しに「イラク陸自 撤退へ」と書いています。ある意味、予想通りであって、例えばキヨスクに並んでいる朝日を見た人には「自衛隊は撤退するのか」と思わせるのに十分な構成になっている。
ある意味で、非常に朝日新聞らしい見出し・記事構成になっていた、そんな昨日の朝刊だったなと思う次第です。