東アジア会議 興味深いテキスト二つ

一つは、真っ向正論という感じ。本日付の産経新聞朝刊の「正論」。私が大好きな屋山太郎氏の論文です。
「中国の「東アジア共同体策謀」に乗るな 日本が学ぶべきはEUの発展土壌」

中国はASEAN東南アジア諸国連合)プラス3(日中韓)の十三カ国で、「東アジア共同体」を発足させる思惑だった。この構想に積極的に関わってきた日本外交のお粗末さ、親中派政治家の無知には呆れるほかない。中国は二千年このかた、外縁の地域を南蛮、西戎、北てき(けものへんに火)、東夷と一段低く見て、次々と勢力圏に取り込んできた。これが中華思想というもので、征服されなかったのは東夷に当たる日本だけである。
日本が中国の征服を免れたのは、まず七世紀に聖徳太子が対等外交を目指し、のちに中華圏から離脱したからだ。今、中国はASEANと日本をそっくり支配下に置く絶好のチャンスを迎えている。韓国はもともと中華圏の一員だ。日本文明は中華圏から離脱したからこそ熟成できた。それを忘れて日中友好を唱える官僚や政治家がいる。他国と仲良くするのも外交だが、距離をとる判断をするのも外交である。

ちなみに司馬遼太郎さんは、多くの著作の中で「日本はアジアではない」と述べておられますね。

SARSの情報や化学工場の爆発を隠蔽したり、他国の内政に干渉する国が参加して共同体ができると思うほうがおかしい。コキントー(原文は漢字)氏ら戦後世代は宗教もお祭りも禁じられて知らないはずなのに(sahnao_82註:宗教に関することは知らないという意味かと)、他国の祭祀をやめろという。靖国参拝をする小泉純一郎首相とも会わないという。首相も「犬を食う人種とは会いたくない」と言い返せばよい。

これは、額面どおり受け取っちゃダメですよ。屋山氏が言いたいのは、犬を食うのは民族固有の文化。靖国神社ってのも日本民族の文化。どっちも口出ししちゃいけない問題でしょ、ということを言ってるわけね。

民主党前原誠司代表は「A級戦犯が合祀されている間は靖国に参拝しない」といっていたが、「中国は軍事的脅威である」と言明したため、中国首脳は会わないという。靖国にさえ行かなければ、すべて円満に行くはずではなかったのか。

ある意味では、今年の日本政界の最大の功労者は前原氏かも知れません。これまで、靖国参拝にすべての原因がある。参拝を止めれば問題解決する、という主張が、これほどまでに鮮やかに覆されたわけですから。

中国人はこうやって相手を選別し、逆らうものを排除し、媚びるものだけを優遇し、いつの間にか相手国の政治に干渉するようになった。河野洋平衆院議長や歴代総理五人までもが、小泉首相に「靖国に参拝するな」という様は、完全に政権中枢部に中国の毒が回っていることを物語る。このままいけば、日本は間違いなく冊封国家、朝貢国家に成り下がるだろう。中国にとってその総仕上げの仕掛けが「東アジア共同体」構想だったわけだ。

ホント、冷静に振り返ってみると、非常に恐ろしい話ですね。まだまだ油断できませんが。

中国は市場として巨大だから見逃せないという意見があるが、インドには十億の民がいる。彼らの「もっとも好きな国」は日本である。昭和天皇崩御のさい、日本人は二日間の喪に服したが、インド人は三日間喪に服してくれた。
独立の父といわれたチャンドラボーズが日本でかくまわれたことに、彼らは恩義を感じていたのだ。インドは民主主義国であり、法治国家だ。対して、中国は人治国家だ。人治というのは人が代われば約束は捨て去られることである。

こういう「歴史」や「現実」は学校では教えられていませんよね。

中国を加えた共同体など夢想すべきではない。中国人も反日教育によって日本人を嫌っているようだ。その反日教育は「日本軍国主義の復活」をでっち上げ、共産津尾独裁を正当化するためだ。こういう国となぜ、無理やり付き合わなければならないのか。その不可解さを分からせてくれたのが、小泉首相靖国神社参拝だった。

で、これはまさに「正論」という話でございました。屋山氏の論文は、いつも読んでいて気分がスッキリします。
さて、もう一本は、今週号の週刊新潮より。高山正之氏による連載コラム「変見自在」をご紹介します。その前に、実は私もショックだったんですが、オーストラリアで起きたこの事件が枕になっています。
「人種間衝突の豪州で差別反対デモ、1000人が気勢」
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20051218id22.htm
もともとオーストラリアは、南アも真っ青な「白豪政策」を取っていたんですが、根っこは深そうです。
で、これを受けて、最後は東アジア共同体まで話が進む「変見自在」。どうぞ。
「毒をもって」

英国は米国を犯罪者の流刑地にしていたが、その米国が勝手に独立したので今度はオーストラリアを犯罪者の流刑地にした。
住んでみると気候がいい、地味もいい。それで普通の市民も移住していった。
もっとも市民といっても、多くは食い詰め者、厄介者で、これがオーストラリアを一世紀余にわたって血まみれの地獄に変えた。
ここには約六百万の先住民アボリジニがいた。彼らは移住者が欲しがる水場や牧羊に適した肥沃な地に住んでいた。

で、アボリジニは移住者によって虐殺されるという歴史は、今では周知の事実です。

アボリジニ虐殺は二十世紀の半ばまで続いた。ニューサウスウェールズ州の図書館に残る一九二七年の日記には「週末、アボリジニ狩りに出かけた。収穫は十七匹」とある。六百万人いたアボリジニは今三十万人が生き残る。ナチスホロコーストを凌ぐ大虐殺を行った結果だ。

よくドイツは謝罪している、と言いますが、実態は違いますよね。あれは「ナチがやったこと」とし、自分たちも被害者だった。二度とナチズムが蔓延ることのないように、法で規制しています、というだけのことなんですけどね。戦後補償も、東西統一後、ようやく交渉が始まったくらいですから。
そして、このナチスを凌ぐ虐殺を行ったオーストラリアは、現在はどうかというと、

困ったことにこの国はその反省もない。
この前のシドニー五輪の開会式は白人とアボリジニの輪舞を披露した。過去に決別して友愛に生きるということらしいが、登場した「先住民」は肌を黒く塗った白人だった。
その翌年、アジアからの難民が豪州領クリスマス島に上陸しようとした。
ハワード首相は、「難民が赤ん坊を海に捨てた」という沿岸警備艇からの報告を根拠に「人間性を失った者を保護する気はない」と拒否、難民を追い返した。
しかし、後に「赤ん坊を海に捨てた」という報告はまったくの作り話を判明する。
ここは白人の国、有色人種を排除するためなら首相でも平気で嘘をつく。

これは私は全く知らない事実でした。かつては人種差別政策を取っていたことは知っていました。しかし、豪州で暮らした知り合いの日本人から、こういう話は聞いたことがありませんでした。
そして、今でもこういう白人優越感情が存在することを示す事件が起きます。

先週、シドニー近郊の海水浴場で中東系のチンピラ数人が白人のライフガードを殴った。

まあ、これは普通にチンピラが悪いんですが。

色つきの人間はここに住まわせてもらっているだけでも感謝しなければならないのに偉い白人を殴るとは何ごとだ、といっぺんに五千人もの白人が集まって色つき人間と見れば見さかいなく袋叩きにし始めた。
それに中東系が仕返しし、争いは続いている。ハワード首相は「この国に人種差別があるとは思わない」とまた嘘を重ねている。

こうなると、ハワード首相は「嘘つき」と断罪されても仕方ないですね。
さて、オーストラリアはアジア圏の隣に位置します。そのことを巧みに利用したのが、爽やかな笑顔の下に強烈な対欧コンプレックスと反日感情を持っていたクリントン政権だったというお話が続きます。

一九九〇年にマハティールがEAEC(東アジア経済会議)を提唱したときもそうだった。
これは日本を軸にASEAN諸国と台湾で、EUNAFTAに似た経済協力体を作る愛で出、アジアの将来は日本のリーダーシップの下にあるというマハティールの信念が生んだものだ。
クリントンがこれにピキンときた。アジアの国々が米国の影響力を排除し、それも日本を軸に団結するなど許せない。
何としてもEAECを空中分解させたい。
で、クリントンが思いついたのが当の日本に「アジア諸国だけでなく隣人のオーストラリアも入れたら」とマハティールに提案させることだった。
アジア諸国の中に白人至上主義の国を入れれば団結などありえない。
おまけにそんな馬鹿な考えを肝心の日本が言えばマハティールは幻滅し、やる気を失うという読みだ。
そして事実もそうなった。米国に言われるままに馬鹿な提案をしたのはあの愚かな河野洋平だ。

うわあああああ。ここでも日本に害悪を与えていたのか、紅の傭兵
そして、日本は代替わりし、曲がりなりにも自己主張をはっきり言う傾向が出てきました。

そのEAEC構想を今度は中国が言い出した。ASEAN日中韓東アジア共同体を作ろう、ただし盟主は中国で、と。
自国民の抑圧だけでなく周辺諸国も奴隷にしようというアジアの害毒・中国の陰謀をどう封ずるか。
日本はクアラルンプールでの会議で東アジア共同体にインドとオーストラリアを加えることを提案した。
白人には卑屈な中国はこれでくじけた。
毒を毒で制した。日本外交も結構やるもんだ。

結果としてそうなったのか、それとも外交担当者にこの意図があったのか、それはよくわかりませんが、結果としてシナ共産党政府の意図をくじくための手法として役に立つ、ということは分かりましたよね。私は民主国家としてのインド・豪州の参加がシナ共産党政府のお気に召さないのかと思ってましたが、なるほど、高山氏の分析の方が一理ありますね。
さて、明日は同じ週刊新潮から、シナ共産党政府は嘘つき、というお話を櫻井よし子女史のコラムからご紹介したいと思います。
え? 昔、シナ共産党政府は日本に軍備拡張を求めていた!?(ダダ、ダダ、ダーダーン! ← 火曜サスベンス風に)