寛仁さま、公式にご発言

皇位継承問題については、私は当事者であられるご皇族の皆様のご意向を最優先すべき、と申し上げてきました。その「当事者」のお一方である、寛仁さまが正式にコメントされたようです。
本日付の産経新聞朝刊に、次のような記事が掲載されています。
寛仁親王殿下「短期間で結論、拙速」 女系天皇容認改めて批判」
http://www.sankei.co.jp/news/060109/sha028.htm
(WEB版に記事がありましたので、こちらをリンクしておきます)

皇室典範に関する有識者会議」が女性・女系天皇を容認したことに関連し、寛仁殿下親王が十日発売の月刊「文藝春秋」二月号で、現在の男系維持のための旧皇族の復帰など「さまざまな選択肢があることを認識し、今すぐ決める必要はない」として同会議の結論を拙速と批判されていることが八日、分かった。同会議の議論では皇族からの意見を求めておらず、今回のご発言は、次期国会での典範改正審議に微妙な影響を与える可能性もある。

で、記事によりますと、このご発言は「ジャーナリストの桜井よし子さんと対談され」た中でのものだそうです。紙面には、殿下のご発言の要旨が掲載されておりますので、全文ご紹介いたします。

天皇さまというご存在は、神代の神武天皇から百二十五代、万世一系で続いてきた日本最古のファミリーであり、神道の祭官長とでも言うべき伝統、さらには和歌などの文化的なものなど、さまざまなものが天皇さまを通じて継承されてきました。世界に類を見ない日本固有の伝統、それがまさに天皇の存在です。
その最大の意味は国にとっての振り子の原点のようなものだと私は考えています。国の形が右へ左へ、さまざまに揺れ動く、しかし、いつもその原点に天子様がいてくださるから国が崩壊せずにここまで続いたのではないか。
有識者)会議の構成に私が口を挟むわけにはいきませんが、わずか十七回、三十数時間の会議でこれほどの歴史と伝統を大改革してしまうことが果たして認められるのでしょうか、あまりに拙速に過ぎませんかと強く申し上げたい。
たとえばかつで十代八方の女帝がいらした。これが女帝論議に火をつけていますが、そのほとんどが皇女、つまりお父様が天皇でいらした男系の女子です。また、もともと皇后でいらして天皇がなくなられたために即位された方も多い。御家系で適齢期の方が即位されるまでのピンチヒッターとしての即位で、独身で即位された方は終生、結婚なさいませんでした。
今認められようとしている女系天皇は、全く意味が違う。二千六百六十五年間連綿と男系による血のつながりで続いてきた天皇家系図を吹き飛ばしてしまうという事実を国民にきちんと認識してもらいたい。
畏れ多いたとえですが、愛子様が男性と結婚されて、お子様が生まれれば、その方が次の天皇さまになられる。こうしたことを繰り返せば、百年も経たないうちに天皇家の家系というものは一般の家と変わらなくなってしまいます。
そのとき国民の多くが天皇というものを尊崇の念でみてくれるのでしょうか。日本の歴史に根ざしているこの天皇制度が崩れたら、日本は四分五裂してしまうかもしれない。この女系天皇容認という方向は、日本という国の終わりの始まりではないかと私は深く心配するのです。
今の典範のままではいずれ先細りで皇位継承者がいなくなる可能性はありますから、陛下がご自分の御世で確かな方法を考えて欲しいというくらいのことをおっしゃった可能性はあるかもしれません。しかし、具体的に女系を容認せよ、とか長子優先とか、そうおっしゃる可能性は間違ってもない。陛下はそういうことをおっしゃる立場ではないし、非常に真面目な性格からしてもそのような不規則発言をなさることはあり得ないでしょう。私が国民にお願いしたいのは愛子様が即位されるにしても、少なくとも三十年から四十年先であり、その間にこれまで皇統を維持するために先人がどんな方策を取ってきたかという事実をよく考え、さまざまな選択肢があると認識し、物事を決めて欲しいということです。

(太字は引用者による)