もう一度冷静に考えてみよう

皇室典範の改正案提出見送り、閣僚から評価の発言」
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060210i103.htm

小泉首相は10日昼、秋篠宮紀子さまのご懐妊を受けた皇室典範改正問題の考え方について、「現実にこのようなおめでたが目の前に表れると、多くの人たちの反応が違う」と述べ、ご懐妊により、女性・女系天皇を容認する改正を急ぐべきではなくなったとする見解を示した。
首相官邸で記者団の質問に答えた。
これに関連し、同日午前の閣僚の記者会見では、政府・与党が改正案の今国会提出を見送る方針を固めたことを評価する声が出た。
安倍官房長官は「国民の多くや自民党内でも、今回の慶事をことほぎ、静かに見守るべきだという思いが共有されている。政府としては、党内の勉強会の議論を静かに見守ることで一致している」と述べた。小泉首相が1月の施政方針演説で、改正案の今国会提出を明言していたことについては、「演説の時とは違う、極めて重要な要素が加わった」と説明した。
麻生外相は「ご懐妊されようとされまいと、この種の議論は慎重であるべきだ」と改めて強調した。
谷垣財務相も「決まるときはすんなり決まることが望ましいので、ご懐妊との関係だけでなく、よく考えていくことだ」と語った。
また、杉浦法相は「男のお子さまが誕生されることを期待している」としたうえで、「結果いかんでは、皇室典範を変える必要はないという議論も出てくるのではないか」と指摘した。

とりあえず、事なきを得たと言いますか。もし法案提出強行だったら、安倍・麻生・中川他数名の閣僚は辞任してたかも知れませんしね。小泉内閣のここまでの高支持率の背景には、小泉首相個人の魅力だけじゃなく、その人事に対する評価もあったと思うんです。特に、安倍・麻生・中川の三氏は、その役割が大きかったわけですしね。そのあたりも、首相の側近が判断してのことかも知れません。
何がともあれ、これでよしと。
で、もう一度、冷静に考えてみましょうよ。
確かに天皇陛下や皇室の存在は、日本国の象徴ではあります。しかし、そうだからといって皇位継承について、国民が誰にするか、どうするかを議論するのはおかしいと私は思います。皇室が「我が家のルールです」と公開されることは決しておかしくはない。しかし、その内容を国民がとやかく言うのはおかしいのではないでしょうか。自分の家の相続に、他人がとやかく言ってきたら嫌でしょう。それと同じことだと私は思う。
皇室典範の改正(あるいは廃止)については、まず皇室会議を開き、皇室の方々のご意見を拝聴する。その上で、改正後に必要になる予算を考え、それが国民の理解を得られるかどうかを議論すればよろしいのではないでしょうか。男系継承か女系継承か、という議論は我々がすべきではない。継承ルールや皇室の範囲の変更があれば、宮内庁が必要とする予算が変わります。我々は、その予算が国税から支出して問題のない範囲かどうか、過不足はないかを議論するだけです。皇室のご意見が「女系継承」であれば、それに従うべきですし、また男系継承は天皇家が守るべき重大なルールなので「旧宮家の皇族復帰」や「絶家となった宮家の養子相続」を認めて欲しい、とのことであれば、それに従うべきであろうと思います。民間におられた方を皇族と認められない、ということであれば、皇室を離脱せざるを得なかった理由をきちんと説明して、理解を得られるように尽力しなければならないと思います。
どちらにせよ、何にもまして大事なことは、皇室のご意思です。もし、ご意思が割れているとすれば、それは皇室のお家騒動であり、ますます我々が首を突っ込むとややこしいことになる。お家騒動があったとしても、恐らく答えは受け継いでこられた伝統の中から見つけられることと思います。
紀子様のご出産と同じく、お世継ぎのお話も、我々は皇室のご意見をじっくりお待ちしていればよいと思います。