よし! まずは成功!

H2A9号機、打ち上げ成功 ひまわり6号の後継機搭載」
http://www.sankei.co.jp/news/060218/sha068.htm

運輸多目的衛星2号機は、国土交通省気象庁が運用する静止衛星で、昨年打ち上げた1号機「ひまわり6号」の予備、後継機。赤道上東経145度の静止軌道で、気象観測と航空管制を担う。順調なら打ち上げから約5日半で、高度約3万6000キロの静止軌道まで上昇。搭載機器の機能確認を経て、「ひまわり7号」と命名される予定。
気象観測業務では、1号機が不調な場合に代わって観測に当たるほか、2010年予定の1号機の運用終了後には後継機となる。また、航空管制では東経140度の1号機と2機体制で洋上の航空機の位置確認などに活用される。

短期間での連続打ち上げということで、だいぶ欧米露に技術的には追い付いてきたというところでしょう。永田&民主党の自爆事件やトリノ五輪でこのニュースがちょっと吹っ飛んだ感じになっていて、新聞ではあまり詳しい解説が載っていません。そこで、例によって、こういうときは「泥酔論説委員の日経の読み方」さんにお願いしましょう。
H2A、連続で成功」
http://www3.diary.ne.jp/logdisp.cgi?user=329372&log=20060219

今回の打ち上げは、固体補助ロケット(SSB)を4本装着した2024タイプのH2Aロケットを使用し、総重量約4.65トンの多目的衛星を静止軌道に乗せるミッションでした。
これは、日本で打ち上げたロケットにおいて最大重量の衛星で、アメリカのアトラス・タイタン、ロシアのプロトンESAのアリアンと比肩し得る世界トップレベルのクラスです。

ということで、これまで「日本衛星史上最重量」ということはよく報道されていましたが、世界との比較についてはあまり書かれていなかったと思います。
しかし、これで日本の宇宙産業が商業ベースに乗るかというと、そんなに甘くないようです。引用を続けます。

ではこれで日本のロケットが商業ベースに乗るのかと言うと、これは相当難しいのではないでしょうか。
というのも、現在の種子島宇宙センターでは漁業補償の面から打ち上げには様々な制限があり、他国のようにシーズン通してのミッションが可能ではないのです。
宇宙に行くのにも関わらず、実際は地上のしがらみがそれを制約しているという皮肉な結果になっているということです。
やはり打ち上げコストを下げるには、ミッションの回数を多くするしかなく、それには国内の射場では実現できないわけです。
ESAも人口密集度が希薄な南アメリカの仏領ギアナで打ち上げており、ここが赤道に近いためにロケット搭載燃料も少ないというメリットを享受しています。
その意味で、今まで実験機や衛星追跡で協力関係にある太平洋上のキリバスやオーストラリアに射場を持ってくるのはどうでしょうか。
ここならば時差も少ないですし、港や飛行場の整備をすればロケットや衛星を日本から輸送することも容易い話です。
どこかに射場を移すのか、それとも種子島のままで良いのか、これがこれからの課題なんですね。

こうして見ると、まだまだ日本の宇宙開発というのは、ハンデが大きいのですね。その辺りを、政治関係者ももっと理解して欲しいところなんですが。