王さん、それはないですよ

私は、小さいころから王貞治さんを尊敬しています。私が物心付いた頃は、すでに王さんは選手としては晩年を迎えておられました。それでも、私が覚えている初めての野球観戦(広島市民球場)のとき、2本のホームランを私の頭上に打った人として、私にとっての野球の神様でもあるのです。
だからこそ、批判させて下さい。プロ野球人として、このセリフだけは言っちゃいけません。
「岡田、世界の王にプッツン! 金本は大人の対応」
http://www.zakzak.co.jp/spo/2006_05/s2006051502.html

怒りの矛先をむけられた王監督は、「当てたのは投手のコントロールがないから」と故意ではないことを強調。一夜明けたこの日も、徹底した内角中心の配球だった。

王さんも現役時代、死球の多い選手だったと思います(球界歴代8位)。だから、自分と同じように金本も受けたって構わない、と思うのなら大間違いだと思います。
コントロールのない投手には、内角攻めをさせてはいけません。それで打たれるようなら、二軍に落とすか解雇すべきです。
何故なら、硬球は明らかに「石」です。しかも、プロの投手は、この石を140km/hで投げる能力を持っています。これを当てられた選手は、何らかの怪我をするに決まっています。だからこそ、野球のルールでは「死球」として、ワンベースが与えられるのです。
かつて、江川卓氏は彼の持ち番組の中で、次のように発言していたと私は記憶しています。
「内角攻めは絶対に死球を出さないコントロールに自信のある投手しかやってはいけない。内角攻めをされて打者が怒ったら、オレは絶対に当てない、貴様はビビッているのか、と言い返せる投手以外はやってはいけない」
まさに、これが正論です。
王さん、このコメントだけは撤回して欲しい。野球は格闘技ではありません。いや、格闘技にだってルールがあります。相手を怪我させること(ボクシングのように目を狙うのは、ある程度仕方ないし、それはルール上認められている)を認めた競技はありますまい。野球における死球のルールもそういうことです。野球道を極められた王さんだからこそ、もう一度、野球の美しさを広めて欲しいと思います。
王さんを心から尊敬する一人の野球ファンとして。