朝日は今日も

正常運転って書かれるところなんでしょうね。本日の社説より。
自衛隊撤退 結果オーライとはいかぬ」
http://www.asahi.com/paper/editorial20060620.html

いつテロ攻撃を受けるかわからない緊張の日々。炎暑と砂嵐。イラクのそんな厳しい環境に耐えてきた陸上自衛隊に、ようやく撤収命令が下った。

2年半も同一の部隊が続けてきたような書き方ですが、実際には数ヶ月の単位で部隊を入れ替えているんですけどね。この辺にも巧妙な印象操作が隠されています。

イラクの全体状況はといえば、治安はいっこうに良くならず、宗派対立は厳しさを増すばかりだ。それでも、曲がりなりにも新政府の発足にこぎつけた。

曲がりなりですか。こりゃイラクの人に失礼な話じゃありませんか。宗派対立を抑え込んできたフセイン独裁政権がよいとでも言うんですかね。イスラム教における「信教の自由」という課題をどう克服するか、それが試されているんですよ。キリスト教は、基本的に宗派内の対立には、お互い干渉しない、という結論を出した。日本における仏教世界では、信長が宗教団体の武装解除、秀吉の刀狩、家康の檀家制度の確立という大まかには三段階のステップで、宗派対立が治安悪化に繋がらないようにした。もし、朝日がこの問題を取り上げるなら、西欧や日本でかつてどのようにして宗派間対立を克服したのかを示し、それをイラクの人々に提案することじゃないですか。あるいは、朝日の大好きな毛沢東主義を提案するのも一つの手ではありますが。

ブッシュ政権が評価するのは当然だ。しかし、開戦理由とされた大量破壊兵器は存在せず、戦争の大義は大きく揺らいだ。そんな戦争を支持し、占領の一端を担ったことで、アラブ世界では日本への失望を招いた面も忘れてはならぬ。

そんな話は、聞いたことがないんですが。朝日がニュースにした記憶もありません。そもそも、民主主義を第一の価値として標榜する朝日なら、米軍によるイラク占領に反対するのは結構として、ならば、民主主義を徹底的に否定しているアラブ世界を批判する方が先なんじゃないですかね。
そして、朝日の真骨頂がこの文章です。

そうした事態が今までなかったのは幸いだが、もしもの場合にどうなっていたか。既成事実の後追いで憲法を考えることがあってはならないはずだ。

朝日の中の人は、神かw。あのね、法律ってのは残念ながら、事実の後追いなんですよ。日本が戦争をしなかったら、誰も戦争をしない、と思ってたら、隣の国は不法占拠するし、ミサイルを飛ばそうとしてくるし、拉致もするし、潜水艦で領海侵犯したりするじゃないですか。ってことは、憲法の前文とか9条ってのは、はっきり言って「役に立っていない」んですよ。で、本来、ルールは現実に即して変えるのが当たり前なんで、9条なんてとっくの前に改正されてなくちゃならんのですわ。でも、朝日みたいな勢力が96条の改正条項を無視して、憲法を「不磨の大典」にしちゃった。だから、自衛隊イラク派遣が憲法問題になっちゃってるんですよ。
つまり、既成事実の後追いで憲法を考えなくちゃならない羽目になったのは、朝日とそのシンパのせいであって、自業自得なんですよ。そこが全然わかってないんですね。
で、もう一つ、朝日の矛盾を指摘しておきましょうか。
朝日はこの社説全体で「自衛隊イラク派遣は、日米同盟のためにだけに行われた。それゆえケシカラン」と言ってるんですね。では、ちょっと冷静に考えてみましょうか。
今の日本の国防って、どこに依存してましたっけ? ちょうど良い折にテポドン騒動ですが、情報のほとんどはアメリカから入ってきてるんですよ。日本自国単独では、北朝鮮という世界最貧国の軍事力にすら対応できる体制じゃない。だから、どう考えたってある意味では、アメリカの言うなりにならざるを得ないとも言える。もし、アメリカの言うなりになりたくないのであれば、9条を破棄して、自国で国防を賄える体制を作るか、アメリカに代わって抑止力を持ってくれる国を探すしかありません。でも、朝日はそのどちらも主張しません。例えば、自国で国防を賄うとなると、普段の「護憲」「9条護持」と矛盾する。日米同盟を破棄して、シナ共産党政府と同盟するとなると、社是の「民主主義」と矛盾するし、そもそも軍事力の存在を否定する平和主義にすら矛盾する。こんな矛盾だらけの論陣を張って、自分でおかしいと思わないところが、朝日クオリティなんですけどね。
では、私はどう考えるのか。
まず、日米同盟の代償で考えれば、ようやく日本がアメリカ側に貸しを作れた、という意味では良かったと思います。また、犠牲者が出なかったことは、幸運だとは思いますが、地元の聖職者の方々に「日本への攻撃は、自分たちへの攻撃と見なす」と言ってもらえるほどの信頼を得たなど、地道に努力をした結果があったと思います。ここはもっと高く評価されていい。日本に9条がなく、もっと大規模に自衛隊の展開ができていたら、イラクの復興はもっと穏健なものになっていた可能性もあると私は考えています。この点も含めて、如何に9条が日本の足かせになっているかを考えるべきだと思います。
最後に、岩手が誇る正論・東海新報のコラムでお口直しを。(ちなみにこの東海新報のコラムは、拙日記ではおなじみの件のオジサマのコラムで知りましたw)
「世迷言」(東海新報コラム)6.21付
http://www.tohkaishimpo.com/scripts/column.cgi

イラクサマワに派遣されていた陸上自衛隊の撤退が決まった。まずはご苦労さまでしたと敬意を表したい。派遣から二年半。交代はあったからといって、隊員たちの苦労は想像を絶するものがあったろう。その重大任務から開放されて、ようやく故国の土を踏むことができる▼派遣時にそれこそ賛否両論が渦巻いたのは、危険地域であること、最小限の武器しか持ち込めないことなど、平和になれたわが国ならではの戸惑いがあまりにも強かったためだ。戦争を経験したことのない軍隊(ここでは自衛隊のことだが)が、はたして死傷者も出さずに無事任務を完遂できるかどうか、という疑問は反対派ならずもまずは抱く▼しかし多くの自衛官は武人の本務として潔く任地に赴いた。派遣反対の論調を掲げるメディアの中には、本人や家族から「行きたくない、行かせたくない」という本音を引き出そうとしたが、徒労に終わった。自衛隊とは、国を守るという崇高な使命を帯びた集団であり、ノブレス・オブリージュ(犠牲的使命感)という意識がなければ務まらない職務である鉛筆一本でおまんまを食える人間とははなから覚悟が違うの から、「こわい、行きたくない」などという答えを期待する方が無理なのである。武士道は健在であった。サマワでは、彼らに対する信頼が大変厚いことを派遣隊長の一人のインタビューで知ったが、さもありなんと思った▼復興支援に危険も省みず来てくれて、インフラ整備や給水活動にあたり、しかも規律正しく、礼儀正しい彼らが「嫁を世話するから残ってくれ」というもてようだったのはその証拠だろう。帰国するまではまだ安心できないが、隊員たちが汗を流した重みがいつか必ず結実する日が来る。

最近のマスコミの中では、「世迷言」がダントツに秀逸ですね。