それはあいまいな態度ではない

安倍首相が訪シナしたそうである。そう新聞が書いている。相変わらずテレビの報道関連の番組は見ないので、その勢いでシナの首府でやっていた首相の記者会見も見ていない。だから新聞の報道をとりあえず拠り所にするしかない。
「日中首脳会談、相互訪問再開で一致」
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20061008it13.htm
正直なところ、残念である。もっとシナ共産党政府が頑なな態度に出てくれることを期待していたが、意外に常識的な対応であった。マスコミ報道ではほとんど出てこないが、五輪や万博の開催が極めて危うい状況のシナ共産党政府にしてみれば、日本の援助・協力が不可欠であると判断したのであろう。
「万博の予行演習」(from 「東亜観察日記」さんより)
http://blog.livedoor.jp/sanchez7/archives/50565532.html
そういうことに関係付けたくないのが、どうもマスコミの本性のようである。しかし、シナの伝統というのは「面子を重んじる」という思考であり、自然という「得体の知れないもの」を嫌い、人間が徹底的に管理することを第一とする思考である。上記の「万博の予行演習」のニュースを聞けば、孔子論語の内容を話さなければならなかった理由が良くわかる気がする。
本題はそちらではない。上記の読売の記事によると、靖国参拝に関して次のようなやり取りがあったそうである。

靖国問題について、胡主席は「日本の一部の指導者がA級戦犯の祀(まつ)られた靖国神社参拝を続け、中日関係が困難な局面に直面した。(首相の参拝は)中日双方が見たくないものだ」として、首相に参拝の自粛を求めた。また、温首相は「政治的障害を除去して欲しい」とも語った。
首相は小泉前首相や自らの靖国参拝に関して「恒久平和を祈るためで、A級戦犯を賛美するものではない。(自らが参拝に)行くか行かないか言及しない。政治的困難を克服し、両国の健全な発展を促進させる観点から適切に対処したい」とした。会談後の内外記者会見で首相は「先方の理解は得られたものと思う」と述べた。

太字にしたところが、安倍はあいまいである、とか態度をはっきりさせないのは卑怯である、と批判されているようである。民主党の鳩山もそう言っていると、どこかのニュースで聞いた。
結論から言おう。これが「あいまい」だと思う人は、日本国憲法の信教の自由に関する条項を理解していない。小泉はこの件に関して「心の問題」と述べた。そして安倍は「行くか行かないか言わない」である。これが二つセットになっているのである。まさに靖国参拝とは、公私は無関係に個人の「心の問題」であり「行くか行かないか言わない」で済む問題なのである。首相2名が揃って言葉足らずな気もするが、小学校時代から大学まで日本国憲法を習ってきた人間にとっては、首相2名の言っていることが正しい。首相になったら神社に行くかどうか、いちいちマスコミに報告しなければならない。そんなことは日本国憲法には書かれていない。そもそも今年の4月に安倍という次期首相の筆頭候補が参拝したことすら掴めない無能な人間の集まりが、日本のマスコミである。その彼らが日本国憲法を理解していないことも、ある意味では驚きには値しないとも言えるか。結局、安倍にしろ小泉にしろ、日本国憲法を理解しているから、行政権の執行責任者として発言できるのが「心の問題」「行くか行かないか言わない」ということになっただけのことである。
シナ共産党政府が、この態度を許さないのは、彼らが儒教の人間だからである。前にも書いたが、儒教は自然を徹底的に排除する。その「自然」の中には、非儒教的人間も含まれる。儒教の概念の通用しない人間は、人間と見なさず、これを自然と見なし、忌み嫌う。その「自然」の中に、東夷の日本人が入っている。この日本人は、いるかどうかもわからぬ「霊」だの「神」だの、孔子様が忌み嫌った「怪力乱神」を「語る」。それがシナの知識人である共産党政府の幹部連中の気に召さないだけなのであろう。しかし、シナ人は世界から100年近く遅れた国家に住む。だから、彼らは信教の自由という概念を理解できない。儒教が通じない国なら放っておけばよい。毛沢東主義が通じない国は放っておけばよい。そうは思えないだけなのであろう。私はそう思う。
最後に。今回の安倍訪シナではっきりした政治的な効果がある。それは、靖国カードは完全に日本のモノになったということである。シナ共産党政府は、はっきりとカードを日本に預けた上で「切らないで下さい」と懇願している。新聞報道から記者の主観を抜き、政治家の美辞麗句を抜いて、事実だけから判断したら、そういう話である。シナに反日気分が高まったら、靖国参拝すればいいのである。これでシナ共産党政府は崩壊する。無論、そこまで日本が居丈高になる必要はない。その態度が安倍の「行くか行かないか言わない」であろう。それでいい。ここまでできたのも、小泉外交の成果であると私は判断する。どうせ、五輪が終わればシナ共産党政府は崩壊が始まるのである。あまり目くじらを立てて、対シナ外交をする必要はあるまい、と私は思うのだが。