遅ればせながら栗東市長選の話

先週日曜、栗東市長選挙であった。実は、選挙期間中、ちょうど妻が産後回復のために入院していた病院が、栗東駅前にあった。そのため、見舞いに行くたびに選挙カーが通っていた。
一つ考えたのは、日本の選挙というのは何故にあれほどに魅力的でないのか、ということである。選挙カーが閑静な住宅街を、大音量のスピーカーでがなりたてる。かと思えば、ママチャリで応援団と思しき連中が、旗を立てて走っている。方や街宣右翼、方やバイクに乗れば暴走族である。世間一般から、全く支持を受けていない手法が、なぜまかり通るのか、果てしなく不思議である。
街頭演説というのも、甚だ迷惑な話である。そういえば、先月の自民党総裁選挙でも、何故か街頭演説を候補者がやっていた。これも甚だおかしい。自民党は、あくまで私党である。その私的な集団の長を決めるのに、党員以外もウロウロしている街頭で演説をする。どう考えても筋が通らぬと思うのは、私だけか。
ともかく、そういう選挙戦は止めるべきである。それでは選挙戦が盛り上がらぬ。選挙は盛り上がらなければならないと誰が決めたのか。天皇陛下か。問題が対してなければ、選挙が盛り上がらぬのは当然であろう。静かに粛々と選挙をして、一体何の不都合があろうか。選挙期間中は、学校の体育館、公民館など、公的な施設はどんどん集会に貸し出せばよい。そういう施設の中で、演説をしろ。それならば、迷惑にならぬ。そういう地道な運動が面倒だから、選挙カーと街頭演説と練り歩きである。私はそう判断する。選挙機関が1週間では短いのなら、2週間やればよい。ともかく、日本の選挙はうるさい。安倍首相は「美しい国」を提唱しているが、私は「静かな国」の方がいい。民主党は、最後のカードだった小沢一郎が無能であることがバレてしまっているが、ここはもう一度考え直した方がいいと思う。私が利用する野洲駅の前でも、国政報告と称して、民主党出身議員が街頭演説し、ビラを配っているが、本当に「報告」したと思っているのか。本気でそう思っているなら、医者に行った方がよい。見ているとは思わないが、民主党選挙対策担当者に提案したい。本気で自民党に勝とうと思ったら、選挙期間中もそうでない時期も、街頭演説などは止めることである。そして、公民館などの小ホールから、そういう報告を始めると良い。自分が無理なら、秘書やスタッフを動員すればよい。そうすれば、まず、そういう場所に人が集まってくれないことが理解できるはずである。その現実から始めるべきである。街頭では手応えがあったのに結果は惨敗、ということから抜け出す一歩である。民主党は、まず三役のボケ老人を追い出した上で「静かな国」を提唱することが大事と思う。それなら、私は民主党に投票する気になるかも知れぬ。
以上は、私の選挙そのものに対する雑感。
さて、栗東市長には、新駅推進派が当選した。ところが、凍結・中止を主張した候補の合計よりも、得票が低い。市長は「民意は私を市長に選んだ。ゆえに新駅建設である」と主張し、反対派は「民意は新駅凍結・中止である」という。どっちも筋が通っているように思うが、市長の言い分はやや怪しい。市長の言い分は、小選挙区制の議会においては成り立つ話である。しかし、この言い分が行政責任者である市長に適用できるか、というとやや疑問も残る。ここは、私は議会の選挙を実施すべきだと思う。住民投票も良いが、住民投票の濫用は、議会の形骸化に繋がるので、できるだけ議会選挙が望ましいと、私は思う。
もう一つ奇怪なのは、反対派(凍結含む)の行動である。何故、共産系と民主・社民系が候補を統一しなかったのか。市民としては、そこが一番理解に苦しむところであろう。もし、統一候補を立てていたら、多少相互嫌悪で票流れしたところで、反対・凍結派が勝っていたであろうと思う。その点では、民意を誰よりも裏切ったのは、民主・共産・社民であるとも言えなくはない。
正直なところ、すでに私は別のことを考えている。隣町ということで、栗東市からカネをせびられると思うからである。これをいかに断るか。何故なら、私は絶対に、栗東にできる新幹線新駅を使うことがないからである。実は、個人的にはJR草津線に快速電車なり、新快速電車なりが1時間に1本程度、延伸する方が栗東市甲賀地方の振興になると考える。滋賀県の方はご存知と思うが、JR栗東駅は住宅街に忽然と駅があるだけで、駅前には特段何もない(スーパーと文化会館はある)。しかし、栗東市の中心部は、草津線手原駅なのである。栗東に作られる新駅は、手原駅栗東駅の中間に置かれ、そのどちらとも接続しない計画になっている。やっぱりヘンですよね。新駅建設で揉めている間に、新快速電車は1時間に1本、敦賀まで延伸することになった。特急券なく、京都から1時間半、大阪から2時間である。通勤圏とまで行かないが、日帰りで観光するのには、ちょうど良い距離である。つまり、栗東がゴタゴタしている間に、敦賀は実を取ったのである。
まあ、栗東市長もそこまで言うなら、新駅作ってみてもいいような気がする。でも、それは明らかに「愚政のモニュメント」になるだけだと思いますけどね。私は広島にも済んでいたから、ほとんど使われない新幹線の駅がどんなに悲惨なものか、知ってますんでね。