拉致問題と「従軍」慰安婦問題

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関係ないような話だが、実は密接に関係があると私は考える。
日本は、その憲法の建前上、軍事力を持たないことになっている。自衛隊という誰がどう見ても軍事力である組織を持ち、かつ、防衛省という国家機関を持つ。言葉遊びはともかく、古来、国防に従事する組織を「軍」と表現してきたのだから、事実上、日本は軍事力を持つ。しかし、憲法では持たないことになっている。憲法違反ではない最後の拠り所は、外国と戦闘行為を行わない、という一点である。イラクへの自衛隊派遣についても、ここが最終的な「合憲」判断であったはずである。私は改憲どころか、廃憲論者である。憲法など不要である。日本と世界が歴史的に積み上げてきた、人間社会の常識、信義に照らし合わせれば、憲法に代わることは可能であると判断する。憲法が廃止されれば、みな、自分の持つ常識、信義について常に考える必要がある。つまり、判断を他人に任せないことになるからである。そこは置く。
この軍事力を行使できない以上、拉致問題の解決は北朝鮮への直接的な武力行使は不可能である。私は、一つには改憲・廃憲議論をする(核武装議論は、本来、改憲議論が先にあるはずである)だけでも、十分な解決への圧力になると考えるが、しかし、現状では北朝鮮側に「日本は絶対に武力行使をしない」という自信を持たれている。
日本が直接的に軍事行使による問題解決ができない以上、日本は経済的な圧力を諸外国に求めるか、あるいは軍事的な圧力を求めるか、という選択肢を取るしかない。日本にとって、最も頼りになるとされる外国は、アメリカ合衆国であろう。
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そのアメリカの下院で、「従軍」慰安婦問題で日本に謝罪を迫るような法案の審議がされているそうである。また、(朝日新聞東京本社内に支局を構える)ニューヨークタイムス東京支局発信の記事で、この問題に関する日本の非を鳴らすような報道がアメリカ向けに発信されたとのことである。これに、アメリカのいわゆる「リベラル」系メディアが反応し、アメリカの権力要路の面々にあれこれ波及しているらしい。
そもそも、この「従軍」慰安婦問題は、朝日新聞お得意の捏造から始まった。その点については、各所のブログに書かれているし、ネット上にこの問題を検証した様々なテキストがあるので、そちらを参照されたい。また、本日付産経新聞朝刊の「正論」には、歴史家・秦郁彦氏によるアメリカ軍のベトナム戦争時における「従軍慰安婦」の話が掲載されている。新聞は、販売店に依頼すれば、過去の日付のものを購入できるので、ぜひ、確認頂きたい。
ともかく、日本人はこういう問題は、日本人しか起こしていない、と教え込まれている。そうではない。かつては、世界のどこでもこういう問題があったのである。そういう問題があったから、今も女性の人権向上に関する議論があるのである。もともとなければ、そういう議論をしなくて済む。
また、朝日新聞は3.10付の社説で、自民党がこの問題を再調査することについて、信義の問題である、として批判した。しかし、特にネット上でこの問題について調べたことのある人間であれば、朝日の本音が、自分たちの捏造に至る経緯を暴露するものだから阻止したい、ということはわかる。そこで今は、NYT東京支局に日本の非を鳴らす記事を書かせ、日本の友邦アメリカでもこんな報道がされている、という形式に切り替えているのである。ちなみに、この手の記事を書くNYTの下衆は、ノリミツ・オオニシという。
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この「従軍」慰安婦問題については、日本人はあまりに世界的な現実を知らない。日本人は性欲に溢れた悪魔である、と自らが思い込んでいる。あるいは、そのように教育(洗脳)されている。それを北朝鮮側は利用している。私はそう判断する。
この「慰安婦決議」なる怪しげな法案を提出したのは、マイク・ホンダという日系人らしい議員である。そして、この法案に関する公聴会では、出席議員は委員長以下、ホンダ氏一名のみ。傍聴者のほとんどは朝鮮人系であったことが明らかになっている。要するに、ホンダ氏の背景にいるのが、朝鮮半島の勢力であるということである。今の、南朝鮮政府の大統領であるノムヒョン氏が、実情、北の傀儡であることは、周知の通りである。
要するに、対日という点では、南北とも朝鮮半島は同じなのである。拉致問題北朝鮮を糾弾することは、同じ民族である南朝鮮にとっても許せないということなのであろう。
(冷静に考えると、北朝鮮社会主義独裁体制で、拉致問題の責任は金王朝以下わずかの支配層にのみ責任がある。普通選挙を行っていない国だから、国民に責任はない。もちろん、南朝鮮国民に責任もない。だから、国際的な信義に基づいて、同じく拉致された自国民と同じように考えればよい。しかし、朝鮮半島の人々には、こういう問題を「冷静に」考えるというのは、きわめて難しいらしい。これは、司馬遼太郎氏や井沢元彦氏ら、多くの歴史研究家が指摘していることである)
日本は、拉致問題の解決に対し、その憲法の制約上、アメリカの後ろ盾が欠かせない。それを見込んで、アメリカに「従軍」慰安婦問題を送り込む。アメリカと日本を離反させることが目的であろうと私は判断する。ホンダ氏が日系であり、朝鮮系ではない、という向きもあろうが、日本の中には日本人でありながら、朝鮮半島の利益を主張する人たちが、国会議員という職にゴロゴロいるのだから、それがアメリカ議会の日系人議員であっても、驚きには値しない。
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だから、私は、ここで日本は引き下がらなくよいと判断する。とにかく、日本の「従軍」慰安婦の実態を再調査する。その時点で、日本に非があれば認めればよい。ただし、これまでに朝日新聞が報道してきた内容で間違っている点があれば、それは指摘すればよい。朝日新聞は政府与党の調査が正しいかどうかを検証するために、対抗調査をすればいい。それが正しい言論機関のあり方で、それは朝日新聞の名声と権威を高めることに繋がる。政府与党が調査することは許されない、という姿勢は、言論機関として間違っている。さらには、世界の「慰安婦」の実態も調べればよい。そこと照らし合わせ、日本は世界に信義として悖る行動をとってきたのか、を明らかにする。これは、世界の人権団体にとっても望ましい姿勢であるはずである。もし、世界の人権団体が、日本の調査活動を非難、妨害するようなことがあれば、それは人権団体のいう「人権」が如何わしいモノであることの証左になろう。
拉致問題と昨今の「従軍」慰安婦問題は、明らかに連動している。拉致問題では、政府は今の姿勢のままでいい。アメリカがどう言おうが、マスコミが「世界から孤立している」と報道しようが、北朝鮮拉致被害者を返すまでは、援助の一つもしなくていい。そして、慰安婦の実態を徹底的に調査する。さらには、日本でアメリカに頼れない場合のことを想定して、改憲議論・核武装論を真剣に議論すべきである。
拉致問題を解決するには、実は国内の議論充実で可能な面が多いのである。それをせずに、外国に依存するのは、実は北朝鮮やそれに同調する勢力の思う壺である。
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