もうボロを出すんですかね

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テロ対策の特措法への反対などですでに怪しげな行動を取り始めている民主党ですが、こういうことまでやっているそうです。
「民主、郵政民営化凍結法案を了承 国民新党の求めに応じる」
http://www.sankei.co.jp/seiji/seikyoku/070808/skk070808004.htm

民主党は8日の「次の内閣」で、国民新党が求めていた郵政民営化実施を凍結する法案を了承した。国民新党と国会へ提出する方針だが、提出時期は党執行部が検討する。年金保険料を年金支払い以外に支出することを禁止する年金流用禁止法案も了承し、今国会中に参院へ提出する。

後者もよく吟味しないといけませんが、とりあえず前者の方。
これは多くのマスコミが全然取り上げないし、多くの評論家も話さないことで、唯一、屋山太郎氏が指摘していることなんですが、郵政民営化の本質は何か、ということについて、全く最近触れられてないように思います。地方の郵便局閉鎖だのを取り上げて、小泉改革による都市と地方の格差だ、という報道ばかりをしている。
実は、この郵政民営化は「役人に無駄な金を渡さない」というところが一番大事なんです。国会の予算審議にかからない郵貯という莫大な資金を背景に、財政投融資を行ってきたわけですが、この郵政資金に多くの族議員が群がる。財投によって地元に資金還元を行うことで、議員は票を得ることになります。したがって、総務省という行政機関が、カネによって立法府までコントロールするという構造が出来上がっていました。小泉氏による郵政改革は、こうした行政が立法にカネを使って介入する構造を壊すことにあったわけです。
そこをマスコミや、また彼らによって出演させてもらう国会議員がこぞって郵政民営化は誤りであり、小泉改革は間違っていた、という理由は何か。何のことはありません。マスコミに対する許認可行政を行っているのは、総務省でしょ。総務省は、こうしてマスコミをも牛耳ってるんですね。
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郵政民営化が行われない方が、総務省にとっては権力保持に繋がるから、当然、好都合です。マスコミにしてみれば、あれだけ偏向報道だのやらせだの誤報だのやってながら、何のお咎めもなし、という状況を作るには、総務省役人によろしくしておいた方がいい。一番総務省が喜ぶことで、かつ、自分たちに何の痛痒も感じないもの。それが郵政民営化に反対することなんですよ。
そもそも、衆院で与党に2/3以上の議席を与えたという結果は、郵政民営化を推進するという政策を掲げたことによるものでしょ。その根本方針は、役人に無駄な金を渡さないことでした。それは、地方であってもそうだとしなければ、2/3なんていう議席にならないでしょ。その選挙から2年経って、郵政民営化止めますわ、という民意じゃないんです。
地方と都市の格差がここまで広がっているのは、小泉改革路線の弊害だ。確かに、そういう側面はあるでしょう。そのとき、マスコミはどういう報道をしたんですかね。都市の大会社は放っておいていい。日本は、農業立国に戻るべし、なんて社説を書いた新聞があるんですかね。どこもかしこも、市場の信頼を取り戻すべきと書いたんでしょ。小泉氏は5年で辞めると明言してた。その5年で、彼はとりあえず日本市場の信頼性回復に努めたんですよ。その結果は、当たり前ですが、都会が元気になって然るべきですわ。だって、証券市場なんて都会のモノで、田舎者には関係がない。
じゃ、安倍さんは何をすべきだったか、というと、確かに選挙のキャッチフレーズにもなってました。数字に現れた成長を実感に変える、ということだったんですよ。その方策を示せなかったことが、今回の参院選の結果を生んだ要因の一つでしょ。確かに、目立ったことは何もやってない。
その上に、社保庁問題では明らかな役人のミスをかばおうとしてしまった。結果的にそうなっただけだとは思いますけれど、これは大きいと思いますよ。何だ、安倍さんは小泉路線を変更するって言うけど、役人を守るってことか。そう思われちゃったんですよ。
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だから、別に今回の参院選の結果は、国民は郵政民営化に反対している、と総括したらダメなんです。小泉改革には反対している。だからその旗印だった郵政民営化にも反対している。民主党はそう考えてるようですね。マスコミがそう報道してるからかも知れません。今回、マスコミが大喜びしてるのは、郵政選挙のときは必死になって、反小泉キャンペーンを張ったのに大敗した。それが今度は、マスコミの思い通りの結果になったからです。やっぱりオレたちには力がある。そう思ってる。それに民主党も乗っかっちゃってる。
はっきり言って、こんなことやってるからいつまで経っても政権が取れないんだと思いますよ。見る人が見たら、郵政民営化反対ってのは、マスコミと総務省の癒着を認めてるんだってことはわかります。それに、今回の法案は国民新党の要請だというじゃないですか。その国民新党の領袖は、綿貫さん。綿貫さんと言えば、トナミ運輸トナミ運輸と言えば、郵政事業の請負をやってるんですよ。民営化されたら、随意契約できなくなって、今の自分の会社の仕事が減るとかなくなるとか、そういう心配をしなくちゃならんわけですよ。だから、国民新党郵政民営化に反対なんでしょ。わかりやす過ぎて笑えてしまいますわ。
まあ、トナミ運輸ってのは、郵政請負事業よりももっと有名な話もありますから、googleで検索してみて下さい。
とりあえず、郵政民営化反対論をマスコミが言ってるときは、総務省との関係を考えておく必要があるってことです。自分たちの癒着には、全く触れないのも、マスコミの常套手段ですからね。
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