新幹線脱線に対する二つの見方

新潟県中越地震(何故、新潟県中部とか中越じゃないんだろうか。まあいいや)では、新幹線が偶然震源地近くを走行していた。そして車両は脱線した。しかし、横転せず、負傷者もいなかったと聞く。では、この二つの意見はどちらが的を射ているのだろう。
「新幹線「直下型」に限界 感知システム対応しきれず」(読売)
http://www.yomiuri.co.jp/features/niigata_quake/200410/nq20041025_10.htm
「脱線が大惨事につながらなかった理由について、永瀬教授は「高架や線路など地上の構造物に被害が少なかったことが大きい」と説明する。永瀬教授によると、新幹線は安定性が高く、構造物に大きな被害がなければ、脱線してもただ惰性で走るだけで、簡単には横転しないという。」
「社説:新潟県中越地震 新幹線の安全神話も揺れた」(毎日)
http://www.mainichi-msn.co.jp/column/shasetsu/news/20041025k0000m070140000c.html
「衝撃的だったのは、上越新幹線脱線事故だ。時速200キロ前後で走行していながら転覆を免れ、人的被害も出さずに済んだのは奇跡的と言えるが、脱線しただけでも深刻な問題だ。初期微動を感知して送電をストップ、列車を停止させるから大地震でも安全……と国鉄時代から言い継がれてきた新幹線の“安全神話”が大きく揺らいだことを真摯(しんし)に受け止めねばならない。」
どちらの意見もそれぞれに事実に即しているとは言えると思う。確かに脱線した瞬間がすれ違う瞬間だったと想像するだけで、背筋が寒くなる思いではある。その点では、毎日の言いたいことも分からぬではない。しかし、毎日の書き方では、新幹線はその設計上「脱線すること」すら前提に設計されていることがわからない。つまり、新幹線はその「安全神話」に胡坐をかくことなく、神話崩壊でも被害を最小限に食い止めることに対する努力をしていたのだ。だから、毎日のタイトルの付け方は、どちらかというと悪質であると言ってよいと思う。こういう書き方は、技術者に対して極めて失礼であると私は思うのだけれども、いかが?