ご批判ごもっともではあるが

拉致問題に詳しくないこともあって、拙日記ではあまり扱ってこなかったのですが、さすがにこれには。
「「遺骨」は別人、食糧支援は凍結」
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20041208it12.htm
予想通りの結果が出ましたね。食糧支援の凍結も当然のこと。というか、北朝鮮にとってここまで嘘を吐き続けるメリットは一体何なのか。例えば、経済支援・食糧支援が絶対不可欠であるなら、こうはならないはず。日本政府が経済制裁しても、少なくとも政権幹部たちが困らない(自分たちが飢えないということよりも、クーデターが起きる可能性はまずないということ)という自信があるのではないかと思います。
「首相、北朝鮮と「交渉続ける」…経済制裁には消極姿勢」
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20041208ia21.htm
小泉マンセーかよって、思われるかも知れませんが、経済制裁が全くの抜け穴になる可能性が高い、と政府は踏んでいるような気がする。対外交戦権を否定している日本としては、経済制裁は一枚だけの切り札。日本政府が経済制裁を発動しても、北朝鮮が交渉のテーブルに戻る可能性は、私はどうも限りなく低いような気がする。日本国内世論には、経済制裁を、という意見が大多数でしょう。私も個人的な心情から言えば、制裁を正式に発動すべきだと思うし、世論はそうあるべきだと思います。
私は、北朝鮮がこれだけ強硬な姿勢を取り続けられる理由を考える必要はあると思うのですね。一つは、北朝鮮独裁国家であること。民意を代表する政体ではないので、民衆が餓死したところで政治的な影響はまずない。民主国家なら国民を飢えさせるような政権は、選挙によって交代させられますが、独裁国家ならそれがまずあり得ませんね。これが、もし中世の時代なら、国民を飢えさせるような独裁者は、隣の国によって滅ぼされる(国力が弱いから征服できますからね)ことで、排除される。その繰り返しが歴史と言っていいと思うんですが、今は下手に戦争すると国際的にうるさい状況になっている。北朝鮮もこうした国際情勢を上手く利用して、遊泳しているというわけ。少なくとも北朝鮮は、アメリカにさえ気を使っておけば、日韓中露から戦争を仕掛けられる危険性がない。だから、民衆を飢えさせることに何のためらいもない。まず、北朝鮮政権が日本他の民主国家のように「国民を食わせる」ことを目的とした政権でないことを理解しなくてはならないと思います。
それでも、極端な国力低下は北朝鮮という国体のメンツに関わることです。政権幹部が国際的舞台に出たときにみすぼらしくなく、かつ逆に北朝鮮に各国要人が来た場合に、それなりのもてなしができるようでなくてはならない。彼らが経済支援や食糧支援でやたら「コメ」にこだわるのも、そういうところから来ているんでしょう。では、日本が経済制裁すれば、少なくともこの「国家のメンツ」を潰すことはできるのではないか、と思えないことはない。しかし、それでもなお、強硬姿勢に出る理由は何か。陸続きの二国が何かと支援をするだろうと考えられますね。韓国のノムヒョン大統領は、あからさまに北支援政策を取っています。これでも十分抜け穴になっている。日本が経済制裁しても、政権幹部は何ら困らない状況にあるのはないかと考えられるわけです。
となると、日本は拉致問題を解決するための方法が少し見えてくるように思います。政府は経済制裁はやるともやらないとも言わない。世論は経済制裁すべきと言う。そして、北朝鮮にその矛先を向けるのではなくて、韓国と中国に向けるのです。日本は経済制裁を行いたいが、お宅らの国がどうも抜け道になっているぞ、とね。韓国に対しては「同じ民主国家として独裁国家を支援するのか」と言えばいい。それも大声で世界全体に聞こえるように言えばいい。韓国だって非民主国家だと世界に宣伝されることは辛いでしょうから。北朝鮮と同じ独裁国家の中国には同じ手は通じない。しかし、ここにODAといういい材料があります。今や、対中ODAは風前の灯火。中国は焦りに焦って、いつもの恫喝外交に出始めている。ODA、削減廃止されたくなかったら、北朝鮮への支援を止めることですな、と言えばいい。ここまでしないと経済制裁の効果は出てこないでしょうし、こういう交渉を日本がどんどん進めることが大事です。交渉の成否は、差し当たりどちらでもいい。
日本政府も、正直なところ、手の内を国民に明かした方がよい。なぜ、対話路線を捨てられないのか。それは首相以下、政府がどういう情報を元に、どういう判断をしたのかを明らかにして欲しい。この「情報」が我々には伝わっていない。上記も私の勝手な推測に過ぎませんからね。この問題ほど首相に「説明責任」が求められているものはないと思います。与野党各派やマスコミも、この政府が判断材料にしている「情報」の公開をなぜ求めないのか。ただ単に政府を批判したいだけちゃうんかと。何故、政府が経済制裁に踏み切らないか、その根拠となる情報の提示を私は求めます。批判するのは、その後です。
で、最終的な解決策は、やはり憲法改正ですよね。日本に他の国と同様の交戦権があれば、この問題の交渉も早く進むはずです。相手が絶対に戦争をしてこない、とわかっている状況なら適当にあしらうのも簡単ですよね。もし、これが北朝鮮アメリカの直接の問題だったら、北朝鮮はこんな態度に出ないことは、容易に想像できますよね。