自衛隊の皆様、頑張って下さい

ローマ帝国の軍隊は、駐留した先々で主に上下水道整備を主とした大規模な土木工事を行っていました。ローマ文明とは土木のことである、とは司馬遼太郎さんがローマを評するときに使っておられた言葉ですが、ローマは軍事力による抑圧的な治安維持だけではなく、こうしたインフラ整備による人心安定を図って、治安維持活動を楽にしていたのです。
確かに自衛隊の活動は地味ですが、水という生活になくてはならないものを供給することは、人々の心を穏やかにすることに大いに役立つと思います。日本人は、水の豊富なところに住んでいるから、水の有難さが災害にならないとわからないんです。乾燥地帯のイラクでの給水活動が、どれだけサマワの人たちにとって支えになっているか、日本人の感覚だけでは理解できないでしょうね。
それから、国益国益と言いますが、本当の国益というのは、信頼関係です。日本にはお世話になった、と思っていただけること。それを相互に持ち合うことが、まずは国益形成の第一歩。その典型的な例を出します。トルコと日本の友好の発端です。
http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogbd_h11_2/jog102.html
自衛隊の皆様、頑張って下さい。活躍とご無事をお祈りしています。
で、トルコと日本の友好を理解できなかった朝日の今日のバカ社説。
「■派遣延長――大きな不安を残しつつ」
http://www.asahi.com/paper/editorial20041210.html
サマワでの実績は評価するが、自衛隊にできることの限界が見えた。米国を支えるより、イラクの再建策を国際社会とともに作り直し、日本も出直した方がいい。そう考えるからだった。」
具体的にはどうすればいいのかをいつものことながら、朝日は提案しませんね。
「「日の丸の旗をつけた車に乗ると、住民が手を振って歓迎してくれる」とも首相は言った。サマワ周辺ではそうかも知れない。だが、イラク全体を見なければ本当に意味のある役割は果たせない。」
すごいこと言いますな。all or nothingの精神をここで持ち出しますか。
イラクの混迷の大きな原因は、実質的な占領状態に対するイラクの人々の反感と、亀裂が入ったままの国際社会の無力さにある。それが来月の国民議会選挙を危ぶませてもいる。首相の説明は、この現実からあえて目を背けている。」
果たして、武装勢力の正体は「イラクの人々」だろうかね。現実から目をそむけているのは、朝日の方です。そもそも武力は権力が一元的に管理しなければ、治安維持などできないのです。混乱が起きているのは、この武力の一元管理がまだイラクでは達成できていないからです。国際社会が無力だろうが、この原則には変わりがない。今、多国籍軍が治安維持のための軍事活動を放棄したら、どうなる? 武装勢力武装解除すると思いますか? 暫定政府に武装勢力武装解除を要求できるだけの力があると思いますか? ないでしょう。話し合いをすれば、武装解除すると思いますか? そういうのを「話し合い信仰」というのです。朝日の社説子は、信長と本願寺の戦いの本質を理解されよ。状況は同じことです。
「延長決定の直前、防衛庁長官と自公両党の幹事長がサマワを視察した。たった5、6時間の滞在だった。延長のアリバイづくりにしか見えなかった。」
反対しながら、視察にすら行かなかった党首に贈る言葉はありませんか? その党首は、本日から外遊にご出発あそばしますが。
「みずから区切りをつけて、いったん退く。その勇気と賢さを政治が持てなかったことが残念でならない。」
みずからここが区切りではないと判断し、退かない。その勇気と賢さを政治が持っていたということに、私は安堵を覚えます。