2プラス2で、社説対決

日米の外務・防衛担当閣僚による日米安保協議委員会(2プラス2)の共同声明を受けて、朝日と読売がそれぞれ社説を出してました。まずは、読売を読んでみます。
日米安保協議]「同盟の強化と深化を確認した」
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20050220ig90.htm
タイトルからして、政府およびアメリカの犬まっしぐら。小泉首相以上のポチですねw。
それはともかく、日本に関わる重要事項、すなわち東アジア情勢については、

アジア太平洋地域では、中国と北朝鮮が焦点だ。とりわけ、地域の安全保障にとって、軍事大国化しつつある中国の動向が決定的に重要だ。
中国は軍事や経済権益での太平洋進出戦略を推進している。台湾問題では、武力解決の可能性を否定していない。
戦略目標の一環として、日米が中国に対し、台湾問題の平和的な解決を促し、軍事分野における透明性を高めるなど、地域や世界の安定に「責任ある建設的な役割」を求めたのは当然だ。

と、正確に東アジアの情勢を把握しています。
さて、肝心要の日本としては、どうすればいいのか。読売新聞の提言は、次のように結ばれています。

だが、インド洋やイラクへの自衛隊派遣などのように、個々の時限立法で対応していては、迅速かつ効率的な日米協力ができない。自衛隊の海外派遣に関する恒久法の整備や、自衛隊の国際平和協力活動を本来任務とするための自衛隊法改正が急務だ。
在日米軍自衛隊が効率よく、円滑に協力活動を展開する上で、役割・任務分担をどうすればいいのか。日本有事や日本の安全を脅かす周辺事態の際、中国や北朝鮮にどう具体的に対処するのか。
同盟強化へ、日米安保協議を加速させなければならない。

まあ、現実的すぎて面白くもない結びですが、強いて言えば、憲法改正まで踏み込んで書いて欲しかったですね。
さて、一方朝日の社説。
「■戦略目標 -- さあ、中国とどうする」
http://www.asahi.com/paper/editorial20050221.html
タイトルだけ見ると、これが2プラス2ネタなのかどうかもよくわかりません。そもそも、北京政府「と」どうする、のが2プラス2の共同声明の内容ではなくて、北京政府「を」どうする、という内容なんですけどね。すでにタイトルだけでここまでツッコめるのも朝日クオリティ。
では、本文より。

軍事力の強化を急ぐ中国はいずれ米国の覇権を脅かす。米国内にはそうした警戒感が強い。台湾の独立志向もしずまらない。台湾問題が大きな火種になりかねないというブッシュ政権の危機感が反映されたということだろう。

これを読むと、アメリカの覇権主義(そもそも覇権という言葉を使うところがいやらしい)がすべての問題の根源になっていると朝日が考えていることがわかります。

台湾海峡が緊張した場合、日米が軍事的にどう協力するのか。直接触れられていないが、いずれ論議になるだろう。
日本にとっては厄介な問題だ。

何故厄介なのでしょうか。朝日の社是は「民主主義、反戦平和主義、不偏不党、公正中立」ですよね。その民主主義から言えば、一党独裁国家と民主国家のどちらを応援すべきか、立場は鮮明なんじゃないですかね。この社説子は、自社の社是を知らぬようですね。

中国の軍備増強に神経をとがらすことでは日米は同じだが、中国は隣国だ。米中が緊張すれば、政治的、経済的にきわめて大きな悪影響を受ける。
むしろ、日本が米国の同盟国としてすべきなのは、中国の軍拡や軍事行動に自制や透明性を求め、緊張をいたずらに高めないように働きかけることだろう。

私は、米中の緊張関係は政治的、経済的に日本にとってプラスだと思いますけどね。まあ、それは社説子との見解の相違でしょうけどね。後段の「働きかけ」を無視しているのが北京政府のありようだと思いますよ。
そして、ここが朝日クオリティの真骨頂。

小泉首相靖国参拝問題で首脳の相互訪問さえできない現状は、そうした安全保障の面からも、マイナスと言わざるを得ない。

朝日はやはり社是の「民主主義」は嘘ってことですね。民主主義の原則を理解できていれば、靖国参拝が「問題」にならないことは簡単に理解できることです。北京政府が靖国神道を認めないのは、北京政府の「教義」に反しているからです。北京政府は、自分たちの教義に反するものは、すべて排斥していますね。日本は、公共の福祉に反しない限り、すなわち「異教徒抹殺」を考えたり、国家乗っ取りを企てたりしない限り(これを実行しようとしたのがオウム真理教だし、現在進行形なのが創価学会公明党)、信教の自由が認められています。それが民主社会の原則である、政教分離ということです。北京政府が靖国参拝に反対する時点で、北京政府に民主主義がないことを示している。なのに、北京政府の立場を支持しているということは、朝日の社是の「民主主義」は嘘ということの証。
ということで、やはり朝日クオリティ=一党独裁主義礼賛という構図がよくわかった次第です。経済面を考慮して、民主国家よりも一党独裁国家とお付き合い。ですから、朝日新聞の社是は次のように変更されるべきですね。
「拝金主義、反戦平和主義、不偏不党、公正中立」
これなら、今日の社説にまずまずマッチングしてます。まあ、社説というものを書く時点で、不偏不党と公正中立が成り立たないことには、目をつぶってあげますので。