ベイヒル招待観戦記

3日目終了時点で世界ランク1位入替わりが確定していたこともあって、最終日の興味はシンが逆転優勝するかどうかという点に絞ってました。
相手はK・ペリー。あまり馴染みのない名前かも知れませんが、2003年には3勝を上げるなど、実はメジャークラスの実力の持ち主。お世辞にも滑らかとは言えないスイングですが、フック打ちはなぜか強い、という系譜(ワトソン、ウーズナム、レーマンなど)を引き継ぐ者と、私は勝手に見ております。
ペリーとシンの中年対決は、実に見ごたえがありました。
前半、思うようにスコアを伸ばせなかったシンですが、後半ジリジリとペリーを追い詰めていきます。しかし、ペリーもさすがベテラン。そう簡単に崩れない。しかし、ついに17番で痛恨のボギーでシンに並ばれてしまいます。
18番は平均4.3以上の難ホール。シンはティショットでフェアウェイをしっかりキープ。ペリーのティショットはさぞかしプレッシャーがかかったはずです。しかし、左サイドのフェアウェイを何とかキープ。この時点では五分五分。いや、流れはシンに向いていたように思いました。
先にセカンドを打ったのはシン。シン、ピンを真っ直ぐ狙ってました。残り160Yそこそこのショットは、ピンに真っ直ぐ向かってました。しかし、あと2Yだけ、いや1Yキャリーが足りませんでした。あと、1Yキャリーがあれば、間違いなくベタピンだったはず。シンのショットは池ポチャになり、結局優勝は逃しました。後でセカンドを打ったペリーは、もちろんグリーン中央狙いで良いわけですから。
シンが勝つためには、グリーン中央狙いでも良かったかも知れない。そして、プレーオフ狙いでも良かったのかも知れません。しかし、シンは敢えて18番、72ホール目で決着を着けに行きました。先週、短いパットを外してプレーオフで敗れたから? いや、私は違うと思います。彼は世界ランク1位のゴルフを見せ付けようと思ったのだと。平均スコア4.3を越える難ホールでバーディを奪って勝つ。相手のミスを待つのではなく、自分の力で優勝を取りに行こうとしたのだと。
160Y先のわずか1Y。ここを逃げないことが、シンがメジャーに勝てるゴルファーであり、世界ランク1位であることの証。負けたシンに、私は感動しました。久々にゴルフの中継を見て震えました。もちろん、そのシンの強烈な追い上げに簡単に屈しなかった、ペリーのゴルフも素晴らしかった。だから、18番までもつれた素晴らしい試合になったのだと言えます。
さあ、来週はプレーヤーズ選手権。そして、3週間後にはマスターズ。強豪たちの仕上がり具合を見ていると、やはりシンが一歩抜け出ているように思います。むしろ、一個歯車が狂うと大崩れするタイガーはかなり不安。エルスも欧州では勝ったものの、ゴルフの内容はチグハグ。二人ともあと3週間で調整できそうな感じがしないんですよね。
というわけで、私の早すぎるマスターズ予想は、◎シン、○ミケルソン、▲ハリントン、△タイガー、×P・ケーシーあたりかと。個人的にはポール・ケーシーは来そうな気がします。エルスはマスターズを取るとグランドスラム王手なので、マスターズを取って欲しいんです。そうすると、今シーズンはより興味深くなるんですが。ともかく、今年のマスターズは去年並みの面白い試合になって欲しいところです。