だから、ソースを提示して下さいと申し上げてるんです。

http://d.hatena.ne.jp/katchan/20050413
http://d.hatena.ne.jp/katchan/20050414
拙日記の昨日付コメント欄に、URLだけ書き残して下さっていたので、恐らくコメント寄越せ、と言うことだろうと思いますので、コメントさせて頂きます。もちろん、日記を逐一引用させて頂きます。まず、最初に一言。私が提示した、産経の社説をお読みになっての感想はございませんか。少なくとも、私に調査の手を煩わせたことに対して、謝意の一つもありませんか。そうですか。
では、まず、4/13付から。(太字引用者、以下同)

NHK・朝日問題が報道されてから三ヶ月を経過。当事者の証言が真っ向から食い違っていて、どちらが真偽なのか、なかなか判り難い。でも、丁寧に分析すると、このなぞを解くカギが見えてくる。筆者はこのブログ上でも激しい論戦を行なった。論点は「自立なきNHKの体質」か「朝日の虚偽報道か」だった。大変重要な問題なので、論点を冷静に見つめ直してみた。

いきなり論点がずれまくっています。「自立なきNHKの体質」か「朝日の虚偽報道か」ではありません。「自立なきNHKの体質」と「朝日の虚偽報道」です。どちらかではない。別個の問題なのであって、私は「朝日の虚偽報道」を問題として取り上げたのです。私は、この問題を「自立なきNHKの体質」か「朝日の虚偽報道か」に持っていく姿勢を批判したのですが、未だにご理解頂けていない。

表面的には三者の水掛け論が続いているように見えるが、内実は、「番組改変事件」に見るNHK自民党の腐敗体質は根深いことが「事実」であったことは明白。当時の松尾NHK放送総局長が「放送前の番組を議員に説明をするのは通常業務の範囲であり・・」と証言。その時点で、事実上「朝日の勝ち、NHKの負け」がはっきりした。

これが「朝日の勝ち」になるという論理がさっぱり理解できません。NHKの考え方としては、スポンサーである国民の代表者である国会議員に説明する(民意の代表である与党に説明する)ことは、当然であると認識していただけでしょう。ここを朝日が批判することは、別に構いません。ただ、私はここに重大な誤報があったことに問題があると申し上げているのですがね。まず、問題の発端になった1/12付の朝日の記事は、次のように書いています。(すでに記事はリンク切れ)

「NHK番組に中川昭・安倍氏「内容偏り」 幹部呼び指摘」
 01年1月、旧日本軍慰安婦制度の責任者を裁く民衆法廷を扱ったNHKの特集番組で、中川昭一・現経産相安倍晋三・現自民党幹事長代理が放送前日にNHK幹部を呼んで「偏った内容だ」などと指摘していたことが分かった。NHKはその後、番組内容を変えて放送していた。番組制作にあたった現場責任者が昨年末、NHKの内部告発窓口である「コンプライアンス(法令順守)推進委員会」に「政治介入を許した」と訴え、調査を求めている。
 今回の事態は、番組編集についての外部からの干渉を排した放送法上、問題となる可能性がある。
 この番組は「戦争をどう裁くか」4回シリーズの第2回として、01年1月30日夜に教育テレビで放送された「問われる戦時性暴力」。00年12月に東京で市民団体が開いた「女性国際戦犯法廷」を素材に企画された。
 ところが01年1月半ば以降、番組内容の一部を知った右翼団体などがNHKに放送中止を求め始めた。番組関係者によると、局内では「より客観的な内容にする作業」が進められた。放送2日前の1月28日夜には44分の番組が完成、教養番組部長が承認したという。
 翌29日午後、当時の松尾武・放送総局長(現NHK出版社長)、国会対策担当の野島直樹・担当局長(現理事)らNHK幹部が、中川、安倍両氏に呼ばれ、議員会館などでそれぞれ面会した。
 中川氏は当時、慰安婦問題などの教科書記述を調べる研究会「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」代表、官房副長官でもあった安倍氏は同会元事務局長だった。

朝日は確かに「1/29に中川、安倍両氏が議員会館などでNHK幹部と面会した」と書いています。ところが、この事実は議員会館面会記録では、中川氏との面会が2/2であったことが明らかになっています。となると、少なくとも中川氏とNHK幹部が1/29に、議員会館ではない場所で、面会した、という証拠を提示しなければ、朝日の記事は信憑性が著しく低下することになるわけですが。
katchanさんからの引用続けます。

松尾前局長は「朝日の記事は証言を歪曲し・・・」と述べたが、彼も人間。切羽詰れば嘘もつくという見本。「朝日の虚偽報道」を印象づけ、NHKニュースはそれを繰り返し流した。安倍、中川両氏が「朝日の捏造報道」を叫び始めたことに調子を合わせて「朝日攻撃」に出たつもりだったのだろうが、これが逆に朝日の反転攻勢を許すきっかけになった。

katchanさんへ質問その1。松尾前局長が嘘を吐いているという証拠を提示して下さい。ちなみに、このバウネットなる極左団体を取り上げた番組については、実は4年前にも国会で質疑の対象になっています。その際、次のような答弁を松尾前局長は行っています。

衆議院 総務委員会 8号 平成13年3月16日」
○大出委員 ありがとうございます。
 その関連でまたお聞きをしたいのですが、ただいま、報道の自由あるいは編集権が侵害されていないのだという認識だったと思います。そこで一つお聞きいたしますが、報道によりますと、番組制作局長が大物議員に呼び出されたという報道が実は出ているんですね。こういう事実があったかどうかお答えください。
○松尾参考人 番制局長がこの件で呼び出されたという事実はございません。

つまり、松尾氏の姿勢は4年前から一貫しています。私はこの国会答弁をもって、松尾氏の一連の発言は十分信用に足るものであると考えています。ですので、katchanさんは松尾氏が嘘を吐いていることを示す証拠を、ソース付きで提示して頂きたい。

朝日はNHKに対し、訂正と謝罪を求め、場合によっては「法的措置」を取ることを通告。世論もNHKに対して厳しさを増した。これを契機にNHK幹部と自民党の意気が上がらなくなった。松尾氏は、朝日記者が取材の際に「録音」している可能性を忘れていたのだ。朝日は録音テープを持っているかどうか、いまだに明らかにしていない。しかし「裁判になればテープも明らかにしますよ」という態度がありあり。切り札は使わないほど価値がある。

朝日だけしか読んでないからでしょうか。全く現実を認識できていませんね。この問題を扱っているブログなど山ほどあるのですから、時系列くらい簡単に終えるはずです。
(引用URL)http://www.wafu.ne.jp/~gori/diary3/000445.html#main

2005年1月21日 朝日新聞「法廷で争う可能性がある」
2005年2月9日  自民党の「朝日新聞報道に関する調査チーム」は安倍晋三幹事長代理と中川経済産業相がNHKに政治圧力をかけたとする朝日新聞の記事について「朝日新聞は虚偽報道を率直に認め、責任ある公の報道機関として国民に釈明すべきだ」とする見解をまとめた。以後、自民党調査チームは朝日新聞と何度かやり取りを行ったが朝日新聞の態度は一向に改まらず、「取材方法に問題は無い」「記事は根拠がある」の一点張り。
2005年2月28日 自民党朝日新聞に対して書面にて、朝日新聞社内の「報道と人権委員会」で報道内容の調査検証を行ったかどうかなどを明らかにし、1月12日の記事のWEB版のタイトルが変更されている事について説明を要求した。
2005年3月2日 朝日新聞自民党が主催する公開討論会に担当記者らの出席を要請していることについて文書で回答し、「紙面並びに回答書で可能な限り説明しており、出席は遠慮する」と説明責任も果たしていないのにあたかも説明済みのような舐めた言い訳と共に出席拒否を伝えた。また2月28日に指摘されたWEB掲載記事の見出し改変については「媒体の特性によって異なる見出しが付けられるのは通常のことだ」と開き直り。

むしろ意気軒昂なのは自民党側と思われますが、どうですか。司法で争う、と言っていたはずの朝日からは全く音沙汰がありませんがね。まあ、恐らく2/9、2/28、3/2の内容は朝日には記事になっていないと思いますよ。
そして本日付に移ります。ここから驚異的な暴論に発展するとは。

「虚偽」報道と言われるのになぜ、朝日はテープを公開しないのか。実は朝日は昨年、無断で録音したテープを外部に流した記者を退社処分にする事件があり、「録音は相手の了解をとる」との「報道倫理」を確認したばかり。事前了解を得ていないテープの存在を安易には認めたくない。取材方法の原点でもあるが、最後の「切り札」として「温存」の構えを見せておくことが得策と考えているのであろう。つまり朝日は、安倍氏や中川氏の「圧力」がどうであったかに関わりなく、NHK幹部が放送前の番組について事前に説明し、その後、番組制作者に対して「自民党の圧力」を口にしながら番組を改変させたという事実を報道したのであって、そのことを立証する正当で十分な取材データをもっているという態度なのだ。

これを書いているご本人の意図がわからん。録音テープがあれば、朝日には「報道倫理」が存在しないことになる。だから、録音テープはあっても出せるわけがない。もし出せば、朝日の「報道倫理」が完全に崩壊し、報道機関として存在することが出来なくなるんです。それが司法の場で出ようが、同じことです。そして、朝日擁護派は「安倍氏や中川氏の「圧力」がどうであったかに関わりなく、NHK幹部が放送前の番組について事前に説明し、その後、番組制作者に対して「自民党の圧力」を口にしながら番組を改変させたという事実を報道した」という形で、自らの虚報問題から逃げようとしています。なにがおかしいってここですよ。「安倍氏や中川氏の「圧力」がどうであったかに関わりなく」とか、あり得ないでしょ。朝日の元々の報道は「安倍氏や中川氏が圧力をかけて番組を改変した」だったでしょ。それがこの時点で「圧力がどうであったかに関わりなく」と問題をすり替えている。巧妙とも思えませんが、卑劣な手段ですね。

朝日の記事を「捏造」と決めつける根拠はない。番組内容について政治家への事前説明を当然視しており、中川氏に事前に会わなくても「連絡」は可能だった。NHKは「自民党のための放送局」を認めたに等しい。「朝日攻撃」の思惑とは逆に、むしろ朝日の報道を補強する材料になった。裁判になれば、間違いなく朝日が勝つだろう。

katchanさんへの質問その2。1/29に中川氏とNHK幹部が議員会館以外で面会、あるいは「連絡」したことを示すソースはどこにありますか? それを提示頂きたい。裁判になれば、間違いなく朝日が勝つだろう、というのは、録音テープの存在があり、かつ朝日の主張通りだった場合のことですね。しかし、録音テープの存在は朝日の「報道倫理」に反することで、これを明らかにすることで朝日新聞が報道機関としての信用を失うことにもなるわけです。朝日にそこまでの勇気があるか、というと、私はないと思いますが。

「朝日の捏造報道」をアピールするチャンスと勢い込んだ自民党は、NHK幹部の不用意さと朝日の巧妙さに当てが外れた形だ。海老沢会長の退陣、顧問で院政を敷こうとした悪巧みも失敗に終わった。自民党が後継体制に口出しできなかったことを考えると、朝日新聞の「番組改変報道」は大きな意義があったと見るべきだろう。

もともと、NHKの会長辞任問題は、朝日問題が勃発する前から起こっていたこと。朝日問題でNHKに追い風か?と海老沢氏が考えたのは大いに甘かった。私も朝日新聞の「番組改編報道」には大きな意義があったと思っています。つまり、極左団体が公共放送の内部にまで浸透していたという事実が明らかになったからです。しかも、その極左団体は朝日新聞OBが主催していたということで、公共放送のある時間枠を朝日が乗っ取ろうとしていたことが明らかになった。これは実に大きな意義があったと思われます。

受信料支払い拒否が増加している。万が一にも司法の場でNHKの「体質」が明白になれば、取り返しのつかない事態になりかねない。日本のメディアの両雄だけに、ここは丸く収めた方がためになるのではないかと思う。

で、これだけ問題提起しておいて、最後は「丸く収めろ」ですか。脱力ですわ・・・。