拉致問題解決のために必要なこと

先日、北朝鮮への経済制裁を求める「国民大集会」が行われておりました。各所のblogさんでレポートを読ませていただきました。この問題に対する、北朝鮮や政府に対する怒りはヒシヒシと伝わってきますし、正論でしょう。私もその方針には激しく同意いたします。
しかし、一つだけ、この問題解決のために抜け落ちている視点があるように思うのです。
それは、憲法改正の問題。
以前も申し上げたように、北朝鮮に本当の意味で有効な経済制裁を実施したとします。国連の支援も得たと仮定しましょう。そして、これまでのリビアイラクのような抜け道もないように、完全な経済制裁ができたとしましょう。無論、経済制裁を実施するなら、ポーズだけじゃない完全なものを実施しなくては意味がありません。
北朝鮮経済は疲弊するでしょう。庶民階級に餓死者が出ている程度の間は、軍や労働党幹部などの支配階層はまだ動揺しないでしょう。しかし、経済制裁が本当に効き始めると、飢えた庶民階級が暴動を起こしたりするかも知れません。それを支配階級が未然に防ごうと思えば、やることは一つです。
日本と戦争をすることです。
他に選択肢はありますまい。すでに日本を射程に押さえているミサイルすら持っていますね。核兵器までひょっとすると持っているかも知れない。可能性は今のところ低いかもしれませんが、経済制裁を実施すれば、その可能性はいくらかは高くなると思われます。
そのとき、日本は法体系や行政体系として、戦争に対応できる国でしょうか。
実力としては、十分対応できるかも知れません。でも、それは持っている武力装備の面だけですね。それを運用するためのルールや運用形態が全く整っていないわけです。何よりも、戦争行為(こちらから仕掛けるにしろ仕掛けないにしろ、戦争は戦争)に対して憲法9条が著しい足かせになっているのです。戦争に対応した法体系を作ろうとすれば、憲法9条に反する。そもそも自衛隊の存在自体、憲法9条を読む限りは違憲であるわけです。
もちろん、私は自衛隊を廃止しろ、なんて言いません。憲法9条を改正して、自衛隊を軍隊として明記しろ、と主張しているのです。そして、きちんと戦争状態に耐えられるように、ルール(法)とマニュアル(行政の運用方法)を作るべきです。そもそも、憲法戒厳令や非常事態宣言に関する条項がない。これでは、非常時に備えることはできません。
ですから、北朝鮮憎し(当たり前です。自国民を不当に拉致する連中が憎くないわけがない)で経済制裁を実施するためには、国内もそれ相当の準備をしておく必要がある、ということなのです。是非、拉致被害者救う会の方々には、憲法改正を主張して頂きたいと思います。これまで、護憲派は「ありもしない危機を作り出して憲法を変えようとしている」と改憲派を糾弾してきました。しかし、危機は現実にここにある。その解決のためには「平和憲法」が邪魔になっているのです。だから、現実に対応できるように憲法を改正すべきと、拉致被害者の支援者の方々からも是非主張して頂きたいと思います。