イラクでは刀狩が終わってない

イラクで日本人拘束か 武装勢力が犯行声明」
http://www.sankei.co.jp/news/050510/kok006.htm

イラク武装勢力「アンサール・スンナ軍」を名乗るグループが9日、イラク西部ヒート近くで日本人を拘束したとする犯行声明をウェブサイト上で出した。ウェブに掲載された旅券の映像によると、この日本人の名前は「斎藤昭彦」さん。キプロスの警備会社は齋藤さんとみられる日本人が同社で働いており、イラクで連絡が取れなくなっていることを確認。米軍関連の民間警備関係者とみられ、重傷を負っているもようだ。

またかよ!と思ったけど、ちょっと実情が違うようです。というのは、この武装勢力の犯行声明を読んでみると

一、西側情報機関員や契約雇員を乗せた何台かの車が、米軍基地を出たとの情報を得た後、聖戦士はヒート近くで待ち伏せた。
 一、彼らが到着した時、聖戦士は彼らを攻撃。(車には)12人のイラク人背教者に加え、武装した5人の外国人がいた。背教者と外国人が米軍の応援を要請している間、激しい戦闘が起きた。
 一、即座に応援部隊が送られてきたが、聖戦士は大規模な攻撃を実行、彼らの多くに重傷を負わせ、投降させた。
 一、米国のヘリコプターが到着したが、聖戦士は彼らを拘束。日本人である1人を除き、即座に殺害した。聖戦士が彼を捕らえており、重傷。
 一、われわれは彼の映像を撮影し、近く公表するだろう。殺害した者の証拠書類や写真も公表するだろう。
 一、聖戦士の誰もけがをしていない。米ヘリコプターは遺体を持ち帰った。

となっています。お仕事(ボランティアやバッグパッカーじゃない)で現地に入っていた日本人が、武装勢力の襲撃にあった、という状況のようです。もともと日本人狙いではないようですね。
しかし、これでイラクにまだ米軍を中心とする多国籍軍が駐留しなければならない理由がよくわかります。イラクではまだ「刀狩」が完了していないんです。日本では、突然武装した集団から襲われる危険性を感じることなく、日々の生活ができるのも、民間人の武装が禁止されて、公権力以外が武装することが違法であり、それを適切に取り締まっているからですね。まあ、昨今はそれも怪しげなところがありますが、それでも日本が世界一治安がいいことは確かです。しかし、イラクでは公然と武装集団が闊歩しているというわけです。武装集団に対しては、丸腰で話し合いをすることなんてできません。武装集団の武装解除のためには、より強大な武力で相手を抑え付ける以外に方法はありません。話し合いの場合でも、より強大な武力が担保になるわけですから。そのためにも、多国籍軍の駐留をイラク政府自体が望んでいるのも、現実的には当然ですね。