ドイツと日本 誠実な対応はどっち?

何かと私の日記にコメントを下さる、この方の日記から。
「■ ナチスの蛮行への反省と平和への決意新た」
http://d.hatena.ne.jp/katchan/20050510
引用先でお読み下さいまし。ご本人がドイツに行って取材されたようではないので、恐らくエントリー中の写真はどこかからの引用かと思われますが、それに関する記載が一切ありません。などという、野暮なことはやめときましょうか。ちょっと盗用って最近のキーワードですから、気になっただけです。
で、結論でこの方、次のように仰っています。

和解と歴史認識への積極的な行動を目の当たりにすると、ついついある国の現状と比べたくなるがどうだろう。

この「ある国」とはもちろん、日本のことでありましょう。どうも、ドイツに比べると日本は謝罪も賠償もなっとらんと仰りたい様子です。
しかし、最近では大戦後の謝罪と賠償問題でのドイツと日本の比較は、朝日新聞ですら軽々に用いなくなっていて、辛うじて耄碌寸前の筑紫哲也くらいが主要メディアで発言しているくらいではないかと思います。
※ 筑紫センセイのドイツ日本比較の「多事争論http://www.tbs.co.jp/news23/onair/taji/s050510.html
さて、このkatchanさんや筑紫センセイのお話(奇しくも同じ日なんですなw)は果たして正しい理解なのでしょうか。katchanさんにしろ、筑紫センセイにしろ、客観的な比較対象を提示されていないので、蒙昧な我々は困ってしまいます。そこで、両方を客観的に比較した文献を探してみました。
「国際派日本人養成講座  戦後補償の日独比較〜ワイツゼッカーの苦衷〜」
http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogbd_h11_2/jog118.html
ここで、日本とドイツの「犯罪」の質の違いについて、まとめてあります。内容は引用先でお読み頂くことにしましょう。私はとりあえず以下を引用させて頂くことにします。

ナチス犯罪は戦争行為の逸脱ではなく、特定の人種の抹殺や奴隷化を目的として、戦力を阻害してまでも、計画的、合理的に実行された国家犯罪なのである。
(中略)
わが国も、当然、戦争犯罪を犯している。しかしナチスのように、一民族を根絶すること自体を目的として、国家犯罪を犯したことはない。

つまり、ドイツが謝罪しているのは、ナチス犯罪に対してであって、日本がシナから求められている戦争犯罪に対するものではないわけのですね。では、ドイツの戦争犯罪への対処はどうなっているかというと

実はドイツの戦時賠償は、ドイツ統一まで棚上げにされてきており、近年ようやく東欧諸国の請求交渉が始まった段階である。たとえば、96年にはポーランドとの支払協定が完了したが、強制労働に従事し、現在も生存している100万人に対して、一人あたりわずか4万円の一時金が支払われることになった。
対戦国に対しては53年のロンドン会議で、約200億ドルの賠償債務協定が結ばれたが、ユダヤ人への補償実施と引き換えに、ドイツはこれまた補償請求を棚上げしてきた。

ということだそうです。では、日本はどうだったかというと、

これに対し、わが国はどうか。日本は昭和26年のサンフランシスコ条約において、米、英、仏、オーストラリアなど45カ国との間で平和条約を締結した。ここでは連合国の請求権について次のように規定されている。

連合国は、連合国のすべての賠償請求権、戦争の遂行中に日本国及びその国民がとった行動から生じた連合国及びその国民の他の請求権・・・を放棄する。

この代償として、わが国は海外で保有していた在外資産をすべて放棄した。たとえば、満州、朝鮮の鉄道、工場から、はては中国大陸やアメリカで、日本の企業や個人の保有していた建物、設備、預金など、すべてがそれぞれの国に没収された。その総額は終戦直後の日銀の大まかな試算では、1,111億ドルとされている。1ドル10円換算で、1兆1千億円。現在価値では、その数十倍にあたろう。
さらに中華民国、フィリピン、インドネシアベトナムなど、アジア各国に対し、一国ごとに日本は賠償を支払い、相手国は請求権を放棄するという形で、正式な協定をもって解決してきた。現在、この処理が終わっていないのは、北朝鮮だけである。

な〜んだ、賠償はきちんと終わっているじゃありませんか。ドイツよりもしっかりきっちりやってきてたんですね。何だ、我々日本人はもっと胸を張って良いんじゃないですか。
と、私なんかは思うわけです。で、アジア諸国の信頼が得られていない、と筑紫センセイとかは仰るけれど、日本に国家レベルで未だに謝罪と賠償を、なんて言ってるのは、シナと南朝鮮だけなんですよね。何でだろ?
で、私は考えてみた。
東南アジア諸国は、日本に対してだけではなく、自国を植民地にしたかつての宗主国に対しても謝罪や賠償を公式に求めていませんよね。何でだろうと。
それは彼らの国民・国家としての矜持があるからですよ。プライドね。独立を宣言しておいて、宗主国に「賠償しろ」と言うのは、結果的に宗主国に経済的に依存しなくちゃならないことになるわけです。これほど自らのプライドに傷を付けることはありませんよね。自らの矜持にかけても、旧宗主国には世話にならない。これが彼らのプライドなのでしょう。例えば、イギリスの植民地から脱したアメリカ合衆国も同じですね。独立を勝ち取って、イギリスに謝罪や賠償を求めていませんですね。当たり前なんです。それが独立ということなんですから。また、国際条約を誠実に履行することも、独立国としての最低限のモラルであるわけです。
ところが、未だに謝罪と賠償を求める、シナ共産党政府や南朝鮮はこの矜持もモラルも持ち合わせていないのだと。ただ単にそういうことじゃないのかなと思います。まあ、シナも南朝鮮もかつては、日本にこんな理不尽なことを行って来なかったんですよ。独裁政権は打倒すべきだと思いますが、当時の独裁者には独裁者なりのプライドはあったんでしょうかね。ドイツが幸運だったのは、周囲をフランス、イギリス、オランダなど、国際社会の常識を高度に持ち合わせた国に囲まれていたことかと思いますね。そこも、本質的な日本との違いかも知れません。
ま、こうしてドイツと日本の戦後補償問題を丁寧に比較すると、解釈はともあれ、このような事実が出てくるわけです。まあ、一bloggerのkatchanさんがご存知なかったというのはあり得ることだと思いますが、まさか筑紫センセイがご存知ないとは思えない。つまり、筑紫センセイはこうした事実を意図的に隠蔽しているわけで、ジャーナリスト失格ではないかと思います。もし、本当にご存知なかったら、筑紫センセイは無能の極みということですね。ま、katchanさんもネット環境にあることですから、もっと豊富なソースに当たられることをオススメ申し上げます。そうすれば「もう議論は出来ません」なんて台詞を使わなくて済むと思いますよ。