シナや朝日へのFA
何故か8.15が近いわけでもないのに、靖国問題がバタバタとやかましくなっている状況なのですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
昨日から今朝にかけてのニュースもこんな感じです。
「奥田経団連会長「A級戦犯の分祀検討を」」
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20050526ia21.htm
日本経団連の奥田碩会長は26日、経団連の定時総会後の記者会見で、小泉首相の靖国神社参拝について、「小泉首相は、A級戦犯を参るために靖国神社に行っているわけではない。A級戦犯が入っているか、いないかは、改めて日本として考える必要がある」と述べ、A級戦犯の分祀(ぶんし)を検討すべきだとする考えを示唆した。
ってのもありました。日本を代表する大企業の経営者にしては、無知極まりない認識ですね。で、政府もしっかりして欲しいもんです。例えば、政府のスタッフが正しい見解を発言すると、スタッフの長が否定する、という事態。
「A級戦犯、国内では罪人でない…森岡厚労政務官発言」
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20050526i314.htm
この発言について、細田官房長官は同日午後の記者会見で、「政府の一員として話したということはあり得ない」と述べた。その上で「事実関係には種々誤りも含まれ、論評する必要はない。(東京裁判の結果については)日本として受諾したという事実がある」と指摘した。
とりあえず、細田官房長官は「誤り」についてきちんと指摘して欲しいものです。森岡政務官の発言内容に誤りがあるとは、私には全く思えないのです。
で、本日は、あっち系の方々が妙に拘っておられるA級戦犯なるものについて調べてみました。
朝日は社説でこんなことを書いておりました。
「日中関係 ああ、なんと不毛な」
http://www.asahi.com/paper/editorial20050525.html#syasetu1
ましてA級戦犯の戦争責任は、日本がサンフランシスコ講和条約で東京裁判の判決を受け入れたことで、国際的に決着のついたことである。その責任をあいまいにする靖国参拝に、当事者でもある中国が不信を表明するのを「干渉」とはねつけるわけにはいかない。
と、朝日はサンフランシスコ条約を盾に取って論理を組み立てています。一言言っておきますと、朝日はサンフランシスコ講和条約に対して、全面講和を主張していて、単独講和には反対して、未だに「全面講和論は誤りだった」と公的に認めたこともないんですけどね。
さて、サンフランシスコ講和条約の締結国を見てみましょう。ウィキペディアによると、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%82%B3%E8%AC%9B%E5%92%8C%E6%9D%A1%E7%B4%84
アルゼンチン、オーストラリア、ベルギー、ボリビア、ブラジル、カンボジア、カナダ、セイロン(→スリランカ)、チリ、コロンビア(※)、コスタリカ、キューバ、ドミニカ共和国、エクアドル、エジプト、エルサルバドル、エチオピア、フランス、ギリシャ、グアテマラ、ハイチ、ホンジュラス、インドネシア(※)、イラン、イラク、ラオス、レバノン、リベリア、ルクセンブルク(※)、メキシコ、オランダ、ニュージーランド、ニカラグア、ノルウェー、パキスタン、パナマ、パラグアイ、ペルー、フィリピン、サウジアラビア、シリア、トルコ、南アフリカ連邦(→南アフリカ共和国)、イギリス、アメリカ合衆国、ウルグアイ、ベネズエラ、ベトナム、日本
あのさ、シナが含まれてないんですよ。中華人民共和国どころか、中華民国すら含まれてないんですよ。だから、シナがA級戦犯がどうたらこうたらなんて、講和条約の相手国でもないくせに言う権利はないんだってば。逆に言うと、A級戦犯を祀るのはやめろ、と言った後には、必ず「日中戦争の戦没者は全員祀るのを止めろ」と言ってくるのは必定。これ、シナ共産党政府だけじゃなくて、朝日も言いそうですけどね。
と、一番厳しい現実をご紹介してみました。次に、東京裁判の結果の受け入れ方。
さて、毎度お世話になっている「国際派日本人養成講座」から引用します。このシリーズの優れている点は、伝聞部分にすべて発言当事者や引用先が提示されていることなんです。つまりソースとしての真偽を問い、検証することができるという点で、私は信頼しています。この中で、ズバリ題名が「サンフランシスコ講和条約」というものがあります。
http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogbd_h13/jog206.html
この中で、あっち系の主張が次のように紹介されています。
たとえば、「講和条約で日本は東京裁判を受諾している以上、首相はA級戦犯を合祀している靖国神社に参拝すべきでない」という意見がある。条約第11条には東京裁判や連合国での「戦争犯罪法廷の裁判を受諾し、・・・これらの法廷が課した刑を執行するものとする」とあり、A級戦犯を合祀した靖国参拝は「裁判受諾」に違反する行為だという。
おお、まさに朝日の5/25付の社説じゃありませんか。こう見ると、反論のしようもないように思えます。しかし、次のように反論できるそうです。
しかしこの「裁判を受諾し」というのは日本語原文のみの表現であり、英語原文では受諾したのは"Judgements"、すなわち「判決」である。仏語、スペイン語原文でも同様の表現になっている。これは日本政府が判決にしたがって、刑の執行を継続することであり、「裁判」全体、すなわちそのプロセスや判決理由についてまで同意したという意味ではない。佐藤和男・青山学院大学名誉教授は昭和61年の国際法学会でこの点を当代一流の国際法学者たちと議論したが、すべての外国人学者がこの見解に同意したという。
ということは、すでに判決を受け入れ、刑執行を行った時点で、サンフランシスコ講和条約に対する東京裁判の義務は履行を完了した、ということですね。さらには、これが判決理由やプロセスについてまで同意した、という意味ではないことは、国際法学会における公論と考えられています。
確かに東京裁判には、中華民国代表も選ばれています(ちなみに、東京裁判の判事の中で、国際法学において学位を有していたのは、かのパール判事のみ)。ですから、その後継国を自認するシナ共産党政府が文句を言う権利があるだろう、とあっち系の方々は仰るかも知れません。しかし、サンフランシスコ講和条約には次のような規約がありました。
講和条約条文はその後、赦免、減刑などは判決を下した国(東京裁判の場合は、判決に加わった国の過半数)が決定すると定めている。我が政府はこの11条を誠実に順守して、国民4千万人にものぼる釈放請願署名と、社会党を含めた圧倒的多数による国会決議をもとに各国と交渉し、服役中の同胞救出を実現したのである。
もう少し事実関係をはっきりさせるために、またまたウィキペディアに頼りましょう。A級戦犯の名誉回復に関したこちらの記載。
http://ja.wikipedia.org/wiki/A%E7%B4%9A%E6%88%A6%E7%8A%AF#.E5.90.8D.E8.AA.89.E3.81.AE.E5.9B.9E.E5.BE.A9.E3.81.AB.E3.81.A4.E3.81.84.E3.81.A6
1952年(昭和27年)6月9日「戦犯在所者の釈放等に関する決議」、1952年(昭和27年)12月9日「戦争犯罪による受刑者の釈放等に関する決議」、そして戦犯赦免釈放を求める国民運動は加熱し署名数は4,000万を数えたと言われる。これを受けて1953年(昭和28年)8月3日「戦争犯罪による受刑者の赦免に関する決議」が全会一致で可決された。、そして「恩給改正法」では受刑者本人の恩給支給期間に拘禁期間を通算すると規定され、1955年(昭和30年)には「戦争受刑者の即時釈放要請に関する決議」がされた。そして国際的にも、サンフランシスコ講和条約第11条の手続きにもとづき関係11ヶ国の同意を得て、A級戦犯は昭和31年に、BC級戦犯は昭和33年までに赦免し釈放された。
つまり、朝日の言うとおり、サンフランシスコ講和条約によって、東京裁判に関する問題はすべて解決している、ということなんです。ただ、朝日の理解がおかしいだけですね。
ということで、長くなりましたが、こういうこと。
- A級戦犯合祀を問題にするシナ → サンフランシスコ講和条約を調印していないシナや南朝鮮には、東京裁判判決の履行について文句を言う資格・権利はない。サンフランシスコ講和条約以外に東京裁判における戦犯の処遇を決めた国際条約は存在しない。
- サンフランシスコ講和条約で戦犯は確定している → 同時にサンフランシスコ講和条約では、赦免・減刑には判決国の過半数の同意が必要とも記載されている。その規約に従って、日本は国民の多数の合意の下、国際交渉を行い、戦犯とされた方々の赦免・減刑を行った。したがって、現在、国内にはABCの各級を問わず戦犯とされる「犯罪人」は存在していない。これは国際的同意に基づいている。
ってことで、サンフランシスコ講和条約を持ち出せば、自らの首を絞めるだけだってことは、よく理解しておいた方がいいと思います。