堀江さんの出馬 ちょっとマジメに考えてみる

亀ちゃんの選挙区に出馬するした堀江さん(こう書くと冒険家のヨットマンになっちゃいそうですが)。いや、みんなからすごく批判を集めているようです。その理由は、単純に「嫌い」ってのが多いみたいなんですが、それだけじゃいかんと思うのか、曰くこんな理由を出してる人がちらほらと。
「自分の会社の利益のためじゃないか。国のことなんか考えていない」
なるほどね。そう来たかw。
私も堀江さん、はっきり言って嫌いなんです。フジテレビ騒動の時、自分がどう書いてたかというと
http://d.hatena.ne.jp/sanhao_82/searchdiary?word=%A5%E9%A5%A4%A5%D6%A5%C9%A5%A2
をご覧頂くとして、あれ? 自分で思ったほど堀江さんの悪口を書いてないな。まあ、それはともかくとして、私は上記の理由を出す人はちょっと冷静になりなさい、と申し上げたい。
選挙で自分が支持する候補者を選ぶのは、どういう理由なんですか? 国のためになることを考えているかどうかって? そんなんじゃないんですって。っていうか、そんなことを考えて投票するから、政治は難しいとか言っちゃうわけです。
何のことはない。自分に利益をもたらしてくれるのは誰ですかってことだけで判断すればよろしいんですよ。正義だの理念だの綺麗事はどうだっていいんです。
私はサラリーマンだから、一番嬉しいのは減税をしてくれることですよ。でも、財政が厳しいことも知ってるんで、それを言うだけの勇気や展望を持つ政党はないだろうと。なら、これ以上、増税にしなさそうな政策を打ち出す政党が好ましいわけです。民主党は郵政事業は民営化しない方向になったみたいで、かつネットワークの維持に税金を投入するかどうかは、有権者が判断しろというエラく無責任な(またそのときに総選挙しろってことかな)ことを言ってるわけで、でも民営化するにしても赤字会社の民営化には、国費を相当投入しなくちゃならんことは、国鉄道路公団で経験済み。ってことは、黒字をだしてるうちに民営化しておく方が、国費投入が少なくて済むはず。それならその方が望ましいねと。赤字補填という、いわば非生産的な、やらでもがななお金を使わずに済めば、それだけ社会保障費にも使える額が増えるよね。で、郵政事業が民営化されたら、今までのように政府担保じゃなくなるから、市場で資金運用をしなくちゃいけなくなる。これは民間企業にとっては市場が活性化されるから、株価の上昇にもつながる。株主が儲かるだけじゃなくて、企業勤めのサラリーマンにとっても株価の上昇は好ましいわけです。何故なら、企業年金や退職金というのは、企業が株式などの証券に投資して、資金運用してるわけですからね。外交でも、何か日本の製品を真似してばかりの南朝鮮とか、特許とかまったく無視のシナとかと仲良くして欲しくないし、そもそもシナへの投資分を日本に戻せば失業率だって良くなるんじゃないのか、と思うわけです。それよりは、同じ経済構造を持ち、お互いを対等な(経済上の)ケンカ相手と見てくれる欧米諸国や、日本を尊敬し、日本との連携を心から望んでいる環太平洋・中東諸国なんかと仲良くする方が、サラリーマンにとっては好ましいわけです。
また、神道を信仰する自分の宗教的立場から言えば、首相になったら靖国参拝はしちゃいけない、と他人にも強要するような人を党首に担ぐ政党は支持できませんしね。個人が行かないのは勝手だと思いますが、それを他人に強要するのは、その相手が首相・大臣であっても信教の自由を認めないってことじゃないですか。そんなの私としては困る。
私は、こうした自分自身の利害の問題から、選挙を考えているわけです。確かに拙日記ではもっとでかいことを書いてますが、基本的には一サラリーマンの利害関係から書いていると解釈頂いて良い。
で、当然、選挙に出る立場の人だって、自分自身の利害関係を持ち込んだって良い。というよりも、それが本来正しい。
堀江さんから見れば、今の放送法だとか電波法とか、いわゆる総務省管轄の事業の中には、自分の商売を邪魔するルールが多いと。で、これまでは誰かが変えてくれるかもな、とか、思っていたんだけど、誰もやってくれんと。それなら、いっちょ自分がそのルールを変えたろか、と思っていい。実に正当な理由じゃないですか。他のことは、とりあえずオレは興味はない。オレの仕事を邪魔するようなルールは廃止して、新しいルールに変えてやる。そう主張することは実に正しい。
ただね、普通はこう思っても、なかなか「そうだ、選挙に出よう」なんか思えないんです。京都に行くんじゃないんだから。お金もないし、生活もあるし、だいたい自分の利益を主張してみんなに受け入れられるほどの弁は立たないし。
で、同じような利害関係を持つ人たちと協力する。その中に、何かルールに詳しくて弁が立つ人が入ってくる。そして、その人を自分たちの「党」の候補者に立てる。あるいは、弁が立つ人を自分たちで持ち寄ったお金で雇って、候補者に立てる。これが民主政治であり、政党政治なんですね。だから、堀江さんの出馬の仕方ってのは、ある意味、民主政治の原則に則っているんです。だから、私は堀江さんの出馬には大賛成します。
国のことを考えれば、自分たちが少々不便なことは我慢しよう。
美しいね。日本人らしいね。でもね、このメンタリティが60年前に終わった戦争に突進したメンタリティでもあるわけです。お国のため精神ですよ。自分よりも国。自分よりも見ず知らずの他人。美しいことは美しいけど、そうやって我慢しちゃう国民性ってのが、すごく危険だと私は思うんです。
でもね、他人を陥れてまで自分の利益を優先しろって言ってるんじゃないんです。自分と同じような利害関係を持っている人はいる。また、違う利害関係でも、凸凹が一致するケースだってある。例えば、(橋本尚幸氏風に言えば)「ヒャクショウ」は農作物を売りたい。で、都会の人が持っているような電化製品やらインターネットやらを持ちたい。で、都会の人は国内産の安心できる食べ物が食べたい。この両者が手を組めば、例えば高速道路は緑ナンバーには無料開放すべきだという話が出てくるわけです。都会の工業製品と農村の農作物の流通経費を安くしろと。こうなると利害構造は違えども、利害関係が一致するわけです。そうすると、この両者は仲間になれる。仲間になれるということは、仲間が増えると言うこと。多数決を旨とする民主主義では、仲間が多いということが一番大事なわけです。こうして、利害関係の一致する人たちの輪ができていく。他人を陥れることで利益を得るんじゃなくて、他人と協力してお互いの利害関係を補い合うことで利益を高めていく。
自分に利益をもたらしてくれる国なら、その国のことが好きになるでしょ。好きだから、その国を守ろうと思うでしょ。それがごくごく普通の愛国心なんです。
利益利益ってカネのことばかり言いやがって。日本が代々受け継いできた文化を守ろうってのは、愛国心じゃないのかと。
いやいや、文化を維持できるのも、経済的な余裕あればこそですって。今の日本の生活様式は、室町時代にベースがありますね。その室町時代、政治ははっきりいってボロボロの時代です。でも、室町から戦国にかけて、農業生産高が多いに向上し、経済的に余裕が出来た。その経済的余裕に乗っかって、非生産民、つまり芸術・文化を生業にする人たちが現れ、室町から戦国末期にかけてきらびやかな文化が花開きましたね。江戸時代の有名な三大改革は、すべて失敗しています。経済的に締め付けると、文化が開かない。当たり前ですね。文化の担い手は、非生産者でしょ。非生産者に金銭を与えられるだけの経済力がないと、文化は花開かないし、維持も出来ないんです。より文化的な生活を望むのであれば、民主主義を採用する現在の日本であれば、自分に、自分たちにより多くの利益をもたらしてくれる政党を選べばいいし、また自ら立ち上げれば良いんです。
だから、国のことを真剣に考えるんじゃなくて、まずは自分の利益はどうなるのってところから考えればいいんです。堀江さんの行動は、その原則形(しかも堀江さんは選挙自体を自分の会社の利益につなげようとしている。これはこれですごいこと)であるということです。
ジョン・F・ケネディは「国があなたに何をしてくれるかではなく、あなたが国のために何をするのかを考えて欲しい」と言いました。でも、これは私はあまり好きじゃない。私ならこう言い換えたい。
「あなたが国のために何をするのかを考えるのではなく、あなたにとって国はどのようにすれば望ましいのかを考えて欲しい」