民主党の勘違い

民主党、この選挙を「二大政党制」による政権選択選挙である、と言ってきました。ここが実は大きな勘違いだったと思うんですね。実は一番大事なのは、今回の選挙が「小選挙区制」の選挙だったことなんですね。いや、それなら前から小選挙区だったじゃないかと。確かにそうですね。
で、実は民主党がこの総選挙前まで党勢を上げてきた大きな理由が、小選挙区制にあったわけです。つまり「二大政党制」というのは、小選挙区制がもたらしたものなんですね。
ところが「二大政党制」というものも、実は存在しないものなんですね。つまり、虚構なんです。世界で二大政党制によって国政が動いている国は、恐らくアメリカくらいじゃないかと思います。ヨーロッパ諸国では、ほとんどの場合が連立政権を構成しています。マスコミが二大政党制の総本山と報道していたイギリスも、実は第3、第4の政党が現れています。
「【「二大政党制」イギリスの第3・第4政党とは?】」
http://allabout.co.jp/career/politicsabc/closeup/CU20050502A/index3.htm

50以上の議席をもつ第3党、自由民主党とは?
自由民主党(LDP)は、自由党が、労働党から離脱した右派との連合から1980年代後半に生まれたものです。1997年選挙で議席を倍増させ、2001年選挙でも議席を増やした、勢いのある政党です。

イギリス下院は総定数が650強ですから、50程度の議席数は、日本の衆院に直すと40程度になるわけで、政党の大きさとしては公明党くらいの存在ですね。しかし、この英・自由民主党の前回の下院総選挙での得票率は20%強程度です。しかし、獲得議席は1割に満たない。それに対し、与党・労働党の得票率は36%。それでも過半数を大きく超える議席を獲得しているわけですね。
今回の衆院選挙では、新聞報道では自民党の得票率は47.8%、民主党の得票率は36.4%。そして議席数は、296と113。
つまり、今回の選挙は「政権選択選挙」であることは間違いないわけですが、二大政党制という点については、民主党は大きな勘違いをしていたのではないかと。要するに、負けた方は大きく議席を失い、「大政党」ではなくなる可能性がある、ということを民主党はあまり認識できていなかったのではないかと思うんですね。確かに、得票率では10%程度しか負けていない。だから、彼らが選挙戦終盤になって「手応えはある」と言っていたのは、支持率について実感していたということだったんじゃないでしょうか。
今回の選挙は、小選挙区制に自分勝手な「二大政党制」という幻想を重ねた民主党の誤算が、これだけの議席数差になって現れたと、私は考えています。そして、このような(つまり一方が極端に大敗する)という結果が出たことは、日本の政治にとって良かったと思います。今まで日本の政界は、政党の離合集散によって再編が行われてきました。しかし、これからは衆院総選挙一撃で政権交代が可能なシステムであることが示されたわけです。民主党も、この結果に凹んでばかりいずに、逆の結果を生むような努力をして欲しいものです。カナダの例にあるように、150議席が2議席に減った与党の例もあるんですから。