土地バブルが転落の始まりだったのでは

ダイエーの創業者・中内功氏がお亡くなりになりました。
ダイエー創業者、中内功氏が死去 83歳」
http://www.sankei.co.jp/news/050919/sha052.htm
学生時代6年間、神戸に住んでおりました。神戸はダイエー系列の大変強いところでして、下宿に一番近いコンビニはローソン。バイクで15分圏内にダイエーが4、5軒はあったように記憶しています。後に、その商法が世の支持を失うとはいえ、貧乏学生にとってダイエーで売られていた安手の輸入牛肉にどれほど助けられたことか。私の神戸時代は、身の回りをほとんどをダイエーの商品で固めていたと思います。また、阪神大震災では政府よりも早い支援を行ったこともあり、被災者の一人として、私は中内氏は偉人の一人と思っています。
では、記事から少し引用を。

事業の多角化にも意欲的で、コンビニや百貨店、ホテルなどにも進出。88年にプロ野球南海ホークス(当時)、92年にリクルートを相次いで傘下に収めた。しかしバブル経済の崩壊と阪神大震災大規模小売店舗立地法の緩和による競争激化に直面。経営が一挙に悪化した。

薄利多売という商法は、今でも私は一定の支持を得ていると思います。それよりも、中内氏の失敗は、バブル期に不動産に過大投資をしてしまったことではないかと思います。そもそも不動産、特に土地というのは、それ自体には生産力はありません。その土地に、農作物を栽培する、牧畜をする、工場を建てる、事務所ビルを建てる、などして始めて、生産力が生まれるわけです。ですが、バブル期には、その生産力を無視した法外な価格の土地取引が行われたわけです。土地を右から左に動かしただけで、利ざやが稼げる、というのは、16世紀以降本格化した資本主義の歴史上、なかった現象です。中内氏およびダイエーグループも、こうした「安直な」利益獲得法に走ったがために、そのツケを払わされたというところではないでしょうか。
土地にももちろん資産としての価値は認めるべきです。しかし、投機対象として再びバブル期のような土地取引は、厳しく戒めるべきでしょう。これは法の問題と言うよりは、資本主義社会のモラルだと、私は思います。
中内氏死去のニュースに接し、そんなことを考えました。