結論を急ぐな

女系天皇容認の方向だそうです。いくつかの新聞報道を追ってみましょう。
まず、朝日。
「女性・女系天皇容認で一致 皇室典範改正案を提出へ」
http://www.asahi.com/politics/update/1025/018.html

小泉首相の私的諮問機関「皇室典範に関する有識者会議」は25日、女性が天皇になることや、母方だけに天皇の血筋を引く女系天皇を容認することを全会一致で決めた。皇位継承順位は男女を問わない「第1子優先」の方向で集約し、11月末に報告書を首相に答申する。小泉首相は25日、天皇を「男系男子」に限る皇室典範の改正案を来年の通常国会に提出する考えを表明した。女性・女系天皇が認められれば、皇太子さまの長女の敬宮愛子さまも皇位継承資格を得ることになる。

次に、毎日。
皇室典範会議:女性・女系天皇を容認で一致」
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20051026k0000m010081000c.html

小泉純一郎首相の私的諮問機関「皇室典範に関する有識者会議」(座長・吉川弘之東京大学長)は25日、首相官邸で第14回会合を開き、皇位継承資格を女性皇族に拡大し、女性・女系天皇を認めることを全会一致で正式決定した。11月末にまとめる最終報告に明記する。これを受け、小泉首相は同日夜、皇室典範改正案を来年の通常国会に提出する考えを表明。父方が天皇家の血を引く「男系」によって受け継がれてきた天皇制は歴史的な転換点を迎える。

そして読売。
「女性・女系天皇を容認…有識者会議が一致」
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20051025it13.htm

小泉首相の私的諮問機関「皇室典範に関する有識者会議」(座長=吉川弘之・元東大学長)は25日の第14回会合で、安定的な皇位継承を維持するため、男系男子に限っている皇位継承資格者を女性皇族に拡大することで一致した。

この記事を見ると「有識者」が議論して、女性・女系天皇を容認することで一致したことがわかります。しかし、有識者会議とはどういうものかは、よくわかりません。
産経を見ると、この「有識者会議」について次のように書かれています。
皇室典範会議 女性・女系を容認 政府、通常国会に改正案」
http://www.sankei.co.jp/news/morning/26iti003.htm

しかし、有識者会議の議論には疑問点も多い。十人のメンバーに皇室専門家がほとんどおらず、発足当初から「はじめに女性天皇容認の結論ありき」(皇室研究者)といわれた。
皇室典範改正の当事者である皇族方の意見も「聴いてはいけないという政府の判断だった」(吉川座長)という。
ここへきて「男系継承維持派」の懸念の声も強まっており、有識者会議で十分な検討がなされなかった旧皇族皇籍復帰論などが再び浮上する可能性もある。

有識者会議のメンバーに皇室専門家がいないこと、当事者の皇族方の意見は「聴いていない」こと、男系継承を維持すべきという意見も強く存在すること、の3点が他紙の記事にはすっぽり抜け落ちています。特に皇族(および旧皇族)の方々の意見を聴いていないという点で、一体何が「有識者」なんでしょうか。
小泉首相に申し上げたいことは、この記事を書いた阿比留瑠比記者が代弁下さっていますので、引用させて頂きます。

政府は来年の通常国会への皇室典範改正案提出を目指しているが、拙速は避けるべきだろう。

今上陛下には今のところご健康に不安もありませんし、また皇位継承者も皇太子殿下、秋篠宮様と二人おられます。現行の典範のままでも、あと30年は議論をする余裕があるわけです。ここは、皇室および旧皇族の方々のお話をよく伺った上で、皇族の方々の望まれる方向で改正(もしくは廃止)すべきです。