Y型染色体議論の盲点

いや、立花隆って人は、私はどうも毛嫌いしてるところがあって、何か偉い人らしいけど、著作も全く読んだこともないし、テレビに出ていたら即刻チャンネル変えちゃうんです。ただ、偉い人なんだろうな、と思ってたら、そうでもないらしいw。マッコイ博士の次のエントリが実に面白かった。
「■[政治] 皇位継承Y染色体の話」
http://d.hatena.ne.jp/drmccoy/20051201/p1

立花氏は生物関係のノンフィクションも書いているから「ミトコンドリアは女性から女性にしか伝わらない」ってのは、いくらなんでも「母親からしか子に伝わらない」の書き間違いじゃないかと思う。そうでなければ男にはミトコンドリアが無いって事になるし、彼がそれすら知らないとは・・・。
でももしかしたら「Y染色体が男性から男性にしか伝わらない(ゆえにY染色体は女性には無い)」のと同じように「ミトコンドリアは女性から女性にしか伝わらない(ゆえにミトコンドリアは男性には無い)」と勘違いしている細胞生物学の知識が無い人なのかもしれない。

ああああw。この後、立花氏の「生物」に関する著作が並べられているんですけど、マッコイ博士、それ「晒し上げ」ですねw。
とはいえ、私は「Y型染色体」を皇位継承者の何らかの資格にするというのには、実は賛成ではないんです。もともと、そんな科学的な議論をここで持ち出すこと自体が、実は日本社会のおかしなところだと、私は考えています。
前にも書いたのですけど、何で宗教的な側面をみんな無視しているのかなと。あるいは、歴史的な側面を無視しているのかと。
宗教的な側面で言うと、天皇家の祖先神は天照大神であって、天皇家が日本の支配者である理由は天孫降臨伝説に基づく、ということですね。今でも、天皇陛下天照大神を祀る祭祀者の筆頭であられるわけですから、今でもこの伝説を継承されている家系だということなのですね。そこがまず一番大事なんじゃないかと。ですから、この伝説を継承する家系においては、実は神武帝以来の血統というよりも、天照大神以来の血統が重要なのかも知れません。女系では何故ダメなのか、ということは、結局、この天皇家の宗教的姿勢に関わるものですから、外野がとやかく言う問題ではないわけですが、それにしても、女系天皇賛否両論者ともに宗教の話を一切しないのは何故なんでしょうかね。
それは靖国問題なんかにも出てくるように、日本では「宗教」=「悪」「古」みたいな雰囲気があるからじゃないでしょうか。無宗教ということが一番尊いと思ってる人が、圧倒的に多いように思うんですね。無宗教といえば、本来マルクス主義がご本家ですが、日本の左翼イデオロギスト集団・日教組も、社会構造を共産主義にすることはできなかったけど、精神的にはマルキストに育てることには成功したのかも知れません。しかしね、何らかの宗教を信じている人から見れば、無宗教の人は「無宗教」っていう宗教を信じているようにしか見えないわけでして、無宗教=近代的、ということは全然違うと思います。だから、もっと堂々と宗教的な側面から、皇位継承議論をすべきだと思います。
私は以前のエントリに書いたように、天照大神(女神)を祭祀する立場から天皇家を見た場合、女系としての存在は、アマテラスとその息子・アメノオシホミミだけであり、しかもここまでが「天空」にいた、いわば特別の存在なのですね。ニニギ以降、地上に降りて(天孫降臨)「実在」の存在になったわけです。だから、天皇家において女系とは「天」と「始祖」を意味するものだから、以後、女系継承は「天」「始祖」に対する不敬として、拒絶されてきたのだろうと、私は予想しています。
ただね、当の天皇家が「いや、女系継承を禁じるようなことは一切なかった。だから、今後は女系継承もします」と仰るのであれば、それはそれで文句は言いませんけどね。でも、2,600年といわれる皇室の歴史で、女系継承が一度もない、というのには、何らかの宗教的な理由があると思います。
さて、歴史的な理由については、明日、エントリを起こそうと思います。