中川昭一大臣、仕事が回ってくる人ですな

ボンクラ大臣だったら危ないところ。小泉首相は運がいい、と言う人がいますが、まさにそんな感じです。
「農相、国務副長官に再発防止徹底求める BSE危険部位混入」
http://www.sankei.co.jp/news/060122/sei050.htm

輸入された米国産牛肉に牛海綿状脳症(BSE)の特定危険部位が混入していた問題で、中川昭一農相は22日、来日中のゼーリック米国務副長官と東京都内の米大使館で会談し、再発防止と原因究明の徹底を求めた。副長官は「真摯(しんし)に対応する」と、安全管理態勢の強化などを急ぐ考えを示した。

新聞報道によれば、中川農相、報告を受けて即刻「全面禁止」を指示。その旨、首相に連絡したとのこと。つまり、首相に伺いを立てたわけじゃないというところは、担当大臣として面目躍如かと。まさか、こういう問題が起きそうだ、と思って農相に起用したわけじゃないと思いますが(多分、対中宥和の一環でしょう)、運が良かったとしか言いようがない。
さて、食の安全性、という意味の分からない言葉がまかり通っていますが、この問題も実際、アメリカ人はその部分を食べるわけでして、そりゃアメリカから見れば、何で全面禁輸なんだ、と言いたいところでしょう。アメリカ人は平気で食うておるじゃないか、とね。
しかし、一番の問題はアメリカが日本との間に交わしたルールを守らなかった、というところなんですね。法治国家の最前線にいる国が、ルールを守らなかった。これが一番の問題です。多分、これで禁輸措置を解除したところで、米国産牛肉は信頼度が相当落ちるわけで、この問題で困るのはすべてはアメリカなんですね。
で、日本政府はなめられている、だとか、政府の判断は間違っていたという意見がありますが、それは本質的に違うと言えます。インチキをしたのはアメリカであって、日本政府は一切インチキをしていません。また、インチキを見破る機関が、きちんと対応していたわけで、本来、日本の行政機構の働きが褒められるべきです。まあ、行政機関を褒めることを「悪」と考える日本マスコミにできるはずのない話ですけど。そのあたりは、「泥酔論説委員の日経の読み方」で丁寧に解説されています。
「米産牛肉の輸入停止・危険部位が混入」
http://www3.diary.ne.jp/logdisp.cgi?user=329372&log=20060121

実際、日本はアメリカ産牛にとってお得意様なんですね。
02年はBSEによって量こそ減りましたが、それでも輸出先としてはトップシェアです。
今回のような事態で困るのはアメリカの方であって、農務長官が早速陳謝したのもこういう事情があったからです。
報道によれば米国内用との混在があったとのことですが、ならば一層のこと日本用にラインを分けたってペイできるはずです。
BSEに対して日本の措置は世界一厳しいと言われていますが、ならば日本に輸出できるということ自体が牛肉にとってアドバンテージになります。
「ウチは日本の基準を楽々満たしていますよ」、こういう建設的な業者でしたら誰だって安心して牛肉を買えるのです。

早いところ、アメリカにも発想を転換してもらいたいものですね。

こういう論点でモノを見られないのが、日本のマスコミ連中なんですね(そのマスコミに担ぎ上げられている民主党もそう)。
インチキを見破る機関は行政機構ですが、その行政機構を動かすためのルールと費用を与えるのは、他ならぬ立法府の仕事です。昨今、マンション強度偽装やライブドア騒動などのインチキ事件がよく起きていますが、このマンションとライブドアについては、ここまで立法府が見逃してきた、あるいは対応不備だったケースです。今回の米国産牛肉ルール違反を水際で摘発した農水省のケースは、成功例。成功例を参考に、失敗を正していくことが、必要なのだと思います。