NHKのこと、みんな好きなのね

さて、昨日の朝日の社説にもツッコミを入れたかったんですね。それじゃ麻生大臣の質問に答えてないじゃんって。まあ、答えるわけもないか、とも思ってましたけど。
さて、本日は何故か、朝日・読売・産経の三紙がNHK改革の社説を持ってきました。そんなにNHKのこと好きなの?と思う次第ですが、ちょっと読み比べてみました。
まず、去年のNHKとの泥仕合の結末はどうなったのか、さっぱりわからない朝日から。
「NHK改革 あるべき姿が見えない」
http://www.asahi.com/paper/editorial20060126.html
タイトル見た瞬間に、またトリビュートを作ろうかと思いましたが、止めときました。

それは悪いことではない。しかし、こうした目先の改革だけで、民営化論まで出るような逆風をはねのけられるとはとても思えない。視聴者の信頼を取り戻すこともむずかしいだろう。

「こうした改革」というのは、NHK外からの役員を起用する、ということなんですが、これを「目先の改革」と言うのは、なかなかどうして。残念ながら、朝日新聞にこういわれてもちょっとね、と思います。
ただ、変なことばかり書いているわけじゃない。

そもそも公共放送とは何なのか。いまNHKが手がけている放送はすべて公共放送にふさわしいのか。放送と通信の境目があいまいな時代に、NHKが果たすべき役割は何なのか。そうした根本的な問いに答えようという姿勢が、今回の経営計画には乏しい。

こういうところは議論して欲しいところです。
次に産経に行きましょう。
「■【主張】NHK経営計画 これでスリム化できるか」
http://www.sankei.co.jp/news/060126/morning/editoria.htm
NHK改革ってスリム化の話だけなんでしょうか。最近、ライブドア騒動で浮かれまくりの産経、タイトルだけ見てもピンボケです。

竹中総務相を中心に政府・与党には「通信と放送の融合論議に絡め、NHKの経営形態そのものを見直そうとする動きもある。「公共放送としての役割をしっかり果たす」としている以上、NHKはまず、視聴者の納得を得られるプランを提示してほしい。

引用すべき点を見つけることすら難しいほど、社説とは思えない「事実」の羅列でした。で、主張するのは「提示してほしい」だそうです。ダメだ、こりゃ。
最後に読売。
「[NHK改革]「小幅手直しで危機は乗り切れぬ」」
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20060125ig91.htm
おお、タイトルを見ると、ここまでの二紙より期待できそうです。

不払いについて経営計画は、この4月から民事手続きによる支払い督促を申し立てる、とするのにとどまった。未契約に対してもまだ、「民事訴訟の準備を検討する」段階だ。受信料を払わなくても罰せられない、との事実が広く知れ渡った今、罰則導入の検討も必要だろう。

あれ? それでも提案らしいことは、ここだけでした。読売も最後は

経営計画は「責任ある情報や多様性のある番組を分け隔てなく届ける」ことが公共放送の使命だと強調している。古典芸能など上質な文化の継承でもNHKの役割が期待されている。そのためには、経営の安定を一刻も早く回復しなければならない。

と他人事。憲法では独自の改正案を出すほど、主義主張の強い新聞社の割には拍子抜けです。
まあ、確かに同業者のことをとやかく言いたくないのは、よくわかります。それにしても、社説という論説にしては、どうも内容がなさ過ぎます。三紙の中で、具体的な「提案」は、読売の書いた「罰則導入」程度です。これでは「批判したいだけちゃうんか」と言われても仕方ありません。特に、産経新聞は社説に「主張」と銘打っているのだから、NHK改革案についても「産経案」があるはずです。(ま、朝日が改革案を提示しにくいのは、よくわかります。お前はどないやねん、と言われかねないので)
で、他所様で書かれているところとだいぶカブることは承知の上で、私のNHK改革案を考えてみたいと思います。
まず、スリム化だとか、経営改善の前に、NHKは必要かどうか、という議論があるはずです。
私の考えでは、NHKは必要だと思います。しかし、公共放送というあいまいな存在にはしない。国営放送として存続させることにする。だから地上波の受信料は全廃します。その代わり、これは国税として徴収する。税金なら不払いは、即法律違反ですからね。
では、税金投入するのだから、それに見合った番組を提供する必要があります。で、ここでははっきりとチャンネルによる区別を行うことにします。BS-1は、ひたすら1時間枠でニュースを続けるのが望ましいと思います。本来は、地上波総合でやって欲しいところですが、民放がCS放送でニュース専門チャンネルを持っていることを考えると、無料でのニュースチャンネルは公平とは思えませんので。今、BS-1でやっているスポーツ中継は、BS-2に移行。BS-2は、スポーツ・文化・映画だけのカテゴリで形成。次にNHK総合は、歌謡曲だのドラマだのを全面的に削除。基本的には、ニュース、ドキュメンタリー、討論番組で構成します。ドラマや歌謡曲ショーは、NHK教育のチャンネルに移行。教育じゃなくてNHK文化でもいいでしょう(文化放送が怒るかも)。NHK教育から外国語講座は、全面撤退。はっきり言って不要です。幼児教育系の番組は、それなりに需要がありそうですので、これは存続でいい。それから、NHKがたびたび放送する、全日本選手権系のスポーツや大相撲も、基本的にNHK文化が担当すべきだと思います。ラジオの第一放送、第二放送も同じように変更。FMと短波は撤退してもいいんじゃないかと思います。
で、NHKが恐らく民放の真似してやっていると思う、お笑い番組や若者向け歌謡ショーも当然廃止。NHKでやる意味がない。昼間にだらだらやっている情報提供番組も不要だと思いますね。
このようにソフト面である番組編成をきちんと考えなければ、なかなかNHKの改革は見えてこないと思います。もちろん、NHKも組織ですから、抵抗勢力ってのもいるんでしょうし、一筋縄では行かないこともよくわかっていますけどね。
結局、各紙が社説で具体的な提案をしない理由っていうのは、新聞社とテレビ局が一体になっているからなんですね(これって日本独自の形態だと思うんですが)。NHKが国民から本当に欲されている形になってしまったら、自社お抱えのテレビ局が困るわけですね。しかも、新聞社からはお抱えの局に解説員が派遣されているわけで、NHKがニュース特化チャンネルを作ってしまうと、そのニュースショーの視聴率が下がるわけで。
まあ、マスコミこそ既得権益を守ろうとする最大の勢力だってことが、新聞各紙の社説を見ていてもわかるような気がしてきます。