とりあえず各紙の反応だけ見ておきます

昨日のエントリで最後にする、と申し上げました。が、とりあえず、今朝の新聞各紙の反応だけはまとめておこうと思います。
まず、読売、日経は社説で扱わず。私のように議論をすべきでない、という判断からかどうか。最近の読売の「斜傾化」を見ると、ちょっと微妙かも知れません。日経はカネの話じゃないからでしょうか。まあ、扱わないことは批判しませんので。
次に、女系継承反対を公言してきた産経新聞
「■【主張】紀子さまご懐妊 静かにご誕生を待ちたい」
http://www.sankei.co.jp/news/060208/morning/editoria.htm

紀子さまにとって、ご出産まで健やかに過ごされるべきことは言うまでもない。その意味でも、国論を二分するような議論は避けるべきである。ご出産後に、改めて改正の是非を含め議論しても遅くはない。

と、産経らしい社説でした。
次に毎日新聞
紀子さま懐妊 無事な出産をお祈りします」
http://www.mainichi-msn.co.jp/eye/shasetsu/news/20060208k0000m070155000c.html

天皇制のありようは、国の形にかかわる重要な問題である。特に、女性・女系天皇を認めるのかどうか、という点は制度のあり方に直結するため、有識者会議の議論や最終報告をきっかけに、国民の関心も強まった。国会議員の発言も比較的活発だ。象徴天皇のあり方を考えるテーマとして、さらに国民の総意形成の努力を続けるべきである。国会の場での議論は必要だが、今後、一層の慎重さ、ていねいさが求められることは言うまでもない。

結論は産経と同意見です。
次に朝日を見てみましょう。
紀子さま懐妊 静かに見守りたい」
http://www.asahi.com/paper/editorial20060208.html

いまの皇室典範によれば、秋篠宮さまの第3子が男の子だった場合、皇位継承順位は皇太子さま、秋篠宮さまに継ぐ3番目となる。皇太子さまの次の世代にも男子が存在することになり、皇位継承は当面、現行法のままでも続けられる。
小泉首相有識者会議の報告書に基づいて、今国会に皇室典範の改正案を提出すると述べてきた。しかし、紀子さまの懐妊という新しい事態は、改正案提出への慎重論をいっそう広げることになるだろう。
一方で、将来とも皇位継承を安定的なものにするには、女性・女系天皇を認める皇室典範改正に踏み切るべきだとの意見もある。あらためて議論を深めていく必要がある。

本日の社説には、朝日の主張が全く見られませんでした。社説というよりも「秋篠宮紀子様ご懐妊ニュースのまとめ」みたいな感じです。朝日が「まとめ記事」的な社説を書くときは、だいたい自説にとって不利な状況を示していると考えて間違いないと思います。
さて、地方紙ながら正論を堂々と掲げる北国新聞の社説も紹介しておきます。
皇室典範改正 今国会の成立を急ぐなかれ」
http://www.hokkoku.co.jp/_syasetu/syasetu.htm

秋篠宮紀子さまが懐妊されたことにより、秋篠宮家に第三子が誕生する見通しとなった。仮に第三子が男子であれば、現行の皇室典範では皇位継承順位は、皇太子さま、秋篠宮さまに次ぐ第三位となる。
政府は、今国会に女性・女系天皇を容認する皇室典範改正案を提出する予定だが、これは皇室には秋篠宮さま以来四十年にわたって男子が生まれておらず、皇位継承者を男系・男子に限るとした現行の皇室典範では、将来にわたって安定的な皇位継承ができなくなる恐れが生じたからである。
紀子さまの懐妊で、その前提条件が崩れる可能性が出てきた以上、拙速を避けて、今国会での改正を見送るべきである。
小泉純一郎首相の私的諮問機関「皇室典範に関する有識者会議」が昨年十一月にまとめた報告書は、継承順位を「長子優先」とし、女性・女系天皇を容認する内容だった。
典範が報告書通り改正されれば、皇太子さまの次の皇位継承者は、敬宮愛子さまになる。将来にわたって父方が天皇につながる男系を維持するのが難しいため、万世一系の伝統を大きく変えてでも皇室の永続性と皇位継承の安定性を優先しようとしたのである。
しかし、秋篠宮家の第三子が男子であったなら、状況はがらりと変わってくる。現行の皇室典範のままでも「男系」の皇位継承は維持される可能性が高まるからである。これまでも自民党民主党内では、女性天皇女系天皇に道を開く皇室典範改正に、反対論や慎重論があった。皇位継承に問題がないということになれば、わざわざ典範を改正し、皇室の伝統を変えなくてもよいとする主張が勢いを増すのは間違いないだろう。
日本世論調査会が昨年十月に行った全国世論調査では、「女性が天皇になってもよい」とする意見が84%を占めた。わたしたちも、皇位継承の安定性を最優先して、女性天皇女系天皇を認めるのが自然と受け止めてきたが、紀子さまの懐妊によって、今国会で成立を急ぐ必要はなくなったと考える。紀子さまのご出産を心静かに待ち、後に改めて論議をし直しても少しも遅くはないと思うのである。

北国新聞の素晴らしいところは、かつて自らが「女性・女系」を支持してきたけれど、その前提条件が崩れたのだから、まずはご出産をお待ちするのが筋である、というところですね。マスコミは無謬の存在ではないのだから、北国新聞のように素直な言説を取ればいいと思います。そして、その方がより信頼されると、私は思うのですけれど。