政権交代が起こるためには

さて、イタリアでは総選挙が行われました。
「辛勝のイタリア野党党首「イラク駐留軍を撤退」」
http://www.sankei.co.jp/news/060412/kok033.htm

イタリア内務省は11日夜(日本時間12日未明)、9、10日に実施された上院(定数315)、下院(定数630)の最終の開票結果を発表した。それによると、プローディ元首相(前欧州委員長)率いる野党・中道左派「団結」が上院では158議席、下院では342の過半数議席を獲得して辛勝した。
これを受けて、プローディ氏は同夜、フランスの民放ラジオとの会見で、「新政府が発足と同時」にイラクからイタリア軍(2900人)を「撤退させる」と明言した。伊軍撤退に関してはベルルスコーニ首相は年末までに全撤退を決めており、6月までに1000人が撤退するため、選挙中は争点にはならなかった。

あくまで引用記事は枕です。
さて、このイタリアでの政権交代(実はまだ紆余曲折ありそうですが)のニュースから、巷では日本ではこのような政権交代が起きない、と嘆いたり、あるいはその分、日本は遅れている国だ、とか、結局日本は一党独裁なのではないか、という話まで出てきます。
はっきり言ってそういう意見は見当違いも甚だしいと、私は考えます。
イタリアでは左右の対決という格好になっていますが、日本の「左右」に比べればはるかに振幅が小さいのです。ベルルスコーニ(サッカーファンならお馴染みの名前なんですが)政権はアメリカ寄り、プローディ氏はヨーロッパ寄りということになるわけですが、アメリカに寄ろうが大陸に寄ろうが、根本的な外交姿勢に隔たりがあるわけではありません。プローディ氏率いる左派連合が、アメリカとの同盟を捨て、ロシアと協商するという政策を掲げていたら、間違いなく選挙で大敗したでしょう。イタリア左派が示すヨーロッパとは、旧西側を中心にしたEUであるというだけのことなんですね。
以上を述べれば、日本で民主党政権が誕生しない理由がよくわかると思います。
一番の課題は、根本的に外交方針がまとまっていない、というところです。また、その中で出てくる議論に、アメリカとの同盟よりもシナ共産党政府と同盟すべし、という意見が出てきます。これでは、他の国内向けの政策が確かだとしても、その政策を行うために必要な安全保障が困難でしょう。つまり、民主党の中にはイデオロギーとしての「反米」を持っている議員が多く(下手したら過半数か?)、それを現実の政策に反映させようとしているところが、民主党支持が増えない原因になっていると思います。
イタリア左派と民主党の違い。本来は民主党自身が分析すべきことだと思います。でも、民主党や支持者の連中は、今頃、こういって喜び、また近々行われる補選でも、こういうと思います。
「イタリアでは政権交代が起きた。日本でも政権交代を!」
こういうのを、通称・バカ、というのではないかと思います。