何故、日本の国会でできないのか

情けない思いがします。ライブドア騒動のときには、拉致問題を扱う委員会を民主党は確か欠席していたはずです。ふざけるんじゃねぇ、と言いたい。
以下、今朝の産経新聞紙面に掲載されていた、横田早紀江さんの米議会での陳述書の全文です。今朝、これを通勤中に読み、涙が止まりませんでした。

本日はこのような貴重な機会を与えてくださったリーチ委員長、スミス委員長をはじめとする米議会の議員先生方に感謝いたします。
私は、今から二十九年前、昭和五十二(一九七七)年十一月に十三歳で北朝鮮に拉致された横田めぐみの母、横田早紀江でございます。
めぐみが中学校からの下校途中に行方不明になってから、どうしていなくなったのか分からない長い長い二十年間の苦悩の日々を過ごしてまいりました。めぐみが北朝鮮工作員によって拉致され、北朝鮮平壌郊外の工作員養成学校「金正日政治軍事大学」で工作員の日本人化教員をしている、という情報が入ったのが、二十年たった平成九(一九九七)年のことでした。
こんなに長い間、このような大変なことがどうして分からなかったのだろうと感じつつも、私たちは、それでもめぐみが生きていたのだ、すぐにでも会えるという思い出大変喜びました。けれども、北朝鮮にいると分かってから、今日まで九年以上がすぎたのに、まだ救出できないままです。なぜ、助けられないのか、口惜しくて、悲しくてたまりません。
一貫して「日本人拉致」を否定してきた金正日は、十四(二〇〇二)ねん九月の日朝首脳会談で、一転して十三人だけの拉致を認めました。北朝鮮が拉致した日本人は十三人どころではありませんが、彼らは数多くの被害者について、いまだに拉致したことさえ認めていません。拉致の疑いがあるとして家族などが調査を依頼しているケースが四百五十人以上あります。日本政府はそのうち三十人以上について北朝鮮との外交交渉で名前を挙げて追求しました。
「めぐみ」と、本日家族がこの席に来ています田口八重子さん、増元るみ子さん、市川修一さんら八人は、死亡と通告されましたが、北朝鮮が八人の死亡の根拠として提出した医師の署名入りの死亡診断書、病院死亡台帳、警察作成とされる交通事故調書などは、日本政府の精査の結果「すべて信じるに値しない」ものでした。一昨年十一月「めぐみの骨」とされるものが、日本政府によって持ち帰られましたが、日本の高度なDNS鑑定により全く他人で年齢も違う二人の骨であることが証明されました。松本薫さんのものとされる遺骨も本人のものではないという鑑定結果が出ています。
これは一昨年十一月、偽遺書とともに日本政府に提供された、拉致直後のめぐみの写真です。この寂しそうな顔を見て、私は思わず写真をなでながら「めぐみちゃんこんなところにいたの。どれほど不安だったでしょう。まだ助けてあげられなくてごめんなさい」と話しかけました。本日、一緒にこちらに参っていますめぐみの弟、拓也ももう一人の弟とともに、この写真を見て男泣きに泣きました。
十四(二〇〇二)年九月の日朝首脳会談後、めぐみの娘、私たちの孫であるキム・ヘギョンさんの存在が明らかになりました。今月十一日にはめぐみの夫、そして私たちの孫の父が、実は「韓国の拉致被害者」である金英男さんであることが、DNA鑑定で証明されました。金英男さんは、めぐみが拉致された一年後の昭和五十三(一九七八)年、十六歳高校生で拉致されています。英男さんをはじめ五人の韓国の高校生が拉致されたことが分かっています。ところが、北朝鮮はいまだに英男さんら韓国人を拉致したことを一切認めていません。
あまりにも数々のうそ、偽りを言い続けながら、開き直っている北朝鮮に憤りを覚えます。つみなく、このような理不尽な国家テロの犠牲によって、今も長期にわたり監禁され助けを求めている世界の十二カ国に及ぶ多くの被害者を助け出さなければなりません。ひどい人権侵害に苦しんでいる北朝鮮の人々も助けなければなりません。亡命工作員の証言によると、娘は工作船の暗い船底に閉じ込められ「お母さん、助けてお母さん」と壁をかきむしって、絶叫し続けて、暗い海を運ばれたといいます。それから四半世紀を超え、既にどの親も老齢のため、残された時間は多くありません。
めぐみたちはまだ元気であちらにいるのです。そして、あの国がいかに凶暴であり、人の命を何とも思っていないようなところであることはもう世界中が知っています。貴国のブッシュ大統領が、「悪の枢軸」と言われるとおりです。たくさんの日本の、韓国の、また多くの国の罪のない若者たちが数十年も抑留され、向こうの思ったように動かなければ強制収用所や銃殺刑になるかもしれない中で、一刻一刻助けを待っているのです。まだおぼれたままでいるのです。おぼれた人がいれば、私たちはすぐにでも手を差し伸べるのではないでしょうか。ほかのいろんな用事をまずおいて、飛び込んで助けるのが人の心ではないのでしょうか。
渡した氏は、本当にもう心身疲れ果てておりますけれども、子供たちが助けを求めている間はどんなことがあっても倒れることができません。日本の国民、全世界の自由を愛する国民の総意で、「怒っている」と北朝鮮に態度を示していただきたいと私は願っています。「拉致は許せない。全被害者をすぐに返しなさい。それがないなら経済制裁を発動します」とはっきり言っていただきたいのです。
先月には、トーマス・シーファー駐日米国大使がわざわざ新潟の「めぐみ拉致現場」をご視察下さり、拉致のむごさを身をもって感じ「私の人生の中でもっとも悲しい話の一つだ」とお語りくださいました。子供たちの失われた年月は取り戻せませんが、世界各国から拉致されたすべての被害者を助け出し、これからの人生を自由の地で過ごさせてやりたい、それが私たち家族の心からの願いでございます。何とぞ、米国議会、政府、国民の皆さまのお力添えをお願いいたします。
ありがとうございました。