マスコミってすごい権力者だよね

社会

だって全政党が尻尾を振るんですから。
「自民・高市氏ら新聞の特殊指定維持へ改正案」
http://www.sankei.co.jp/news/060517/sei102.htm

自民党有志議員でつくる新聞販売懇話会の下に設置された「新聞の特殊指定に関する議員立法検討チーム」（高市早苗座長）は１７日までに、新聞の宅配制度や同一紙の全国一律価格を支えている「特殊指定」維持に向けた独占禁止法改正案をまとめた。公正取引委員会だけの判断による特殊指定廃止や変更に歯止めをかけるのが狙い。

さらには、こんな記事もございまして。
「特殊指定堅持の声相次ぐ　新聞協会と超党派議懇」
http://www.sankei.co.jp/news/060419/sei096.htm

日本新聞協会は１９日、新聞の宅配制度や同一紙で全国一律の価格を支えている「特殊指定」の見直し問題について、「活字文化議員連盟」など超党派の国会議員２５０人と東京都内で懇談会を開いた。

ちょ、それ権力者との癒着じゃないのかとｗ。
要するに、新聞協会は特殊指定から外されると、次のようなことが起こると懸念しているそうですけどね。
「コストがかかる過疎地への宅配ができなくなる」
「乱売競争によって倒産する新聞社が出てくる」
「その結果、多様な言論の自由が維持できなくなる」
ちょっと頭がおかしいとしか思えない議論です。ウチは過疎地には宅配しません、という新聞社が出てきたとしたら、それならウチは過疎地にも宅配します、という新聞社になればいいだけじゃないの。そもそも営利目的で宅配やめます、なんていう新聞社って「言論の自由」より営利じゃん。普段言ってることと逆じゃないですか。んで、乱売によって倒産する？　今でも何か月分無料だとか、景品とか配ってますやん。ある意味、乱売じゃないですか（ちなみに拙宅では、両方ともお断りしています。私個人のプライドの問題）。しかも、特殊指定を外されたら、我々はこれをやりますよと言ってるわけです。いや、表向きは新興他社にそれをされたら困る、という言い分だと思いますが、もし、それをした新聞社が十分ペイできていたとすると、今までの新聞業界の方が暴利を貪っていたということでしょ。自分たちの価格設定が自由競争の観点から見ても、正当なものならば、こんな議論にならんわけで。
で、多様な言論の自由の維持？　それなら何で、休刊日はいつも同じなんですか？　休刊日に他紙を読まれたら、何か都合の悪いことでもあるわけ？　何で値上げ時期まで同じなの？　それって普通、マスコミの皆さんが糾弾する「談合」なんじゃないんですかね。んで、解説者とかの形で、系列テレビ局に「天下り」ですか。笑っちゃいますわ。
まあ、国会議員が恐れるのは選挙民じゃないですからね。新聞を筆頭としたマスコミに悪くかかれないことが大事。だから、ここでは立法権の行使者がみんなマスコミに迎合してる。で、立法権は、他の二権を優越しますから（行政権を行使するためのルールを作るのが立法権で、行政の行使が正しいかどうかをチェックするのが司法権。一応、司法権には違憲審査権はあるけど、憲法の枠内に対しては当然チェック機能はない）、その立法権の行使者を手懐ける新聞協会こそ、最大の権力者という構図ですね。
私は、公取委の判断を支持します。
ちなみに、毎日新聞が公取委の竹島委員長にインタビューした記事があります。毎日新聞が、見事に撃沈する様子が伺えます。また、このシリーズのインタビューでは、他の識者にも意見を求めていますが、全員が「特殊指定維持派」です。何なんでしょう、これ。
「インタビュー・新聞「特殊指定」を考える：公正取引委員会委員長・竹島一彦さん」
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/shinbun/archive/news/20060425ddm012040140000c.html
で、新聞に独自の社論があるのはそれでいいと思います。特殊指定を維持して欲しい、というのも、それは一つの意見として構わない。新聞が「言論の自由」を担うものと自覚するなら、この件なら公取委委員長以外の特殊指定解除派の意見を掲載しなければなりません。
これは、私の愛読紙である産経新聞にも言いたい。現在、産経は特集企画「首相を選ぶのは誰か」をやっておりますが、昨日も今日も「靖国参拝は当然」派の意見でした。まだシリーズは続くと思いますが、私は産経にも靖国参拝反対派の意見をきちんと、しかも複数紹介するべきだと考えます。それが品格ある新聞の姿勢ってものです。
ネット言論は、すでにいろいろな意見が世にあることを知っている。その中で、自説を補強する有利な材料しか掲載しない新聞社の姿勢は、笑い者になっているわけです。その現実を知らないのは、新聞社をはじめとしたマスコミだけという状況なんですね。裸の王様から抜け出せるのは、どこの新聞社か。楽しみに見てみようと思います。