ロシアにさえ言論の自由はある

「さえ」なんて書いたり、特亜諸国と比較すること自体、失礼だとは思うんですが。
「「露と日本は同盟関係を」国営TVで北方4島返還論 中国専門家・ワシリエフ氏」(産経新聞5.31付朝刊 国際面 時事通信配信)

28日夜放映されたロシア国営「文化チャンネル」の討論番組で、「日本はロシアの死活的パートナーだ」として、北方四島の日本への返還を主張する意見が表明された。メディア統制の進むロシアで、政府方針に反する四島返還論が展開されたのは近年では異例。
ロシアのアジア政策をめぐる学者らの討論で、ベテランの中国専門家、ワシリエフ高騰経済研究所研究部長が語った。同部長は「日本は十年後にロシアにとって地政学的かつ戦略的に極めて重要な存在となる。小さな四島の返還にこだわらず、返還すべきだ。日本が同盟国となることがロシアの国益につながる」と力説した。日本との同盟によって中国の脅威を抑えることを狙った発言。
番組では、保守派のコンキン戦略策定センター研究員が「四島の漁獲量は年間十五億ドル(約1650億円)。世論調査では82%が四島返還に反対している」などと反論した。
ワシリエフ部長は放映後、時事通信に対し、「強力な大国になりつつある中国との関係強化には毒があるが、日本との関係強化は無毒だ。今は少数派でも、やがて賛成派が増えると思う」と話した。

実は、ロシアにとっては、今も昔も、シナ共産党政府は脅威の対象なんですね。まず、昔の話からしてみましょう。
まず、モンゴル共和国(かつてはモンゴル人民共和国)は何故、旧ソ連の一共和国ではなかったのか、ということを考えてみる必要があります。島国で地続きの国境線がない我々日本人には理解しにくいのですが、国境線の警備というのは、実にコストがかかります。旧ソ連(ロシア)は、あれだけの長大な国境線を持つ国ですので、そのコストは今でもバカになりません。まして、シナ人居住地域との国境線の警備は、大変です。極東の地図を思い浮かべてみて下さい。シナ人居住地域とロシアとの国境線で、極端に違うものがあります。それは人口密度です。ただでさえ人口密度の低いロシアの中でも、極東地区は最も人口密度が小さい地域です。実は、彼らはシナ人が移住してくることを極端に警戒しているのです。要するに、国の乗っ取り。そのために、今でもロシアは多大なコストを払って、シナとの国境線を警備しているのですね。で、モンゴルは何かというと、シナとの緩衝地域という意味を持たせている。あえてソ連に組み込まなかった(モンゴルは歴史上、シナ人を最も嫌い、共産党政権時代もソ連と同盟し、シナ共産党とは一切の関係を絶っていたにもかかわらず)のは、国境警備コストを負担したくない、ということでもあったわけですね。
シベリア地区は、資源の宝庫と言われています。しかし、今のロシアには、それを活用するための資本が足りない。だから、日本との関係を良好なものにし、かつ戦略的な同盟関係を持ちたい、とワシリエフ氏は言っているわけです。無論、現在のプーチン政権は、この逆をやっているんです。
ワシリエフ氏が「十年後」を指摘した点も、興味深いと思います。十年後に、果たしてシナ共産党政権はあるのか、ということでしょう。現プーチン政権はシナ共産党政府との関係を、対日関係より重視している。しかし、十年後、シナ共産党政権がなくなったとき、誰に頼るのだと。そのときのことを考えると、十年後にもなくなっているはずのない日本との関係を強化しておく方が得だということでしょう。しかも、ロシアには一気に日本の対露感情を好転させる材料として、北方領土を持っている。本来、不法占拠なので、返すのが当然ですが、日本が東シナ海竹島で特亜諸国と抱えている問題を考慮すれば、ロシアはもともと日本のものを返すだけで、得をすることになる。
ワシリエフ氏は、決して、親日派というわけではなく、冷徹に情勢分析をした上での判断だと思います。もちろん、ロシアがそう簡単に動くとは思いませんが、統制がきつい国とは言え、言論の自由はあるわけで、こういう国との交渉の方が意味があると、私は思いますね。