さすが養老先生

「散歩道」さんの以下のエントリで知った養老孟司先生の「靖国問題」に関するコメントです。これ以上の正論がありましょうかね。
週刊文春靖国月間」
http://kuyou.exblog.jp/4040598/

養老孟司…解剖学者
天皇の中立性を侵した日経こそ問題
小泉首相靖国に関して「心の問題」といいますが、その通りで、本人の問題だと思います。行きたいのであれば行けばいい。そのことでメディアに叩かれることもない。 それが「信教の自由」だと思います。
首相が参拝すると様々な問題がある、といわれますが、問題が「ある」のではなくて、メディアが問題を「作って」いるんですよ。「経済に影響する」というのもメディアですが、本当に影響があるのか。
今回も、日経新聞がスクープによって新たな「問題」を作り出した。「天皇の中立性」というものを日経の記者はどう考えているのか。昭和天皇ご自身は、自らの政治的中立性を、強く守っておられたはずです。今の天皇陛下も、色々とおっしゃりたいことはあるでしょうが我慢している。天皇の中立性」とは、天皇陛下が我慢しさえすれば守られる、というものではなく、皆がそういう意識を持つことで守られるものです。
「これは特ダネなんだから、天皇の中立性なんて潰してもいい」と考えたのでしょうか。メディアは今一度自らの倫理基準を問い直すべきです。「天皇の政治的中立性なんて、ウチの会社は認めませんよ」というのなら、現在の天皇制のあり方自体を考えなくてはいけなくなる。天皇陛下のプライベートな発言を、今度は別の社が「こういうことも言っている」と使うかもしれない。そういう天皇制の根幹に関わることを、勝手に一社が、スクープのためにやらないでくれ、といいたい。
新聞は「談合を許すな」と書きますが、自分たちにも職業倫理がないなら、そういうことを書く資格はない。
私は、今回の騒動の中で本当に国益を考えて行動したのは、福田康夫さんと小泉首相だと思っています。福田さんは、日経の記事が出た翌日には不出馬を表明した。「国論を二分することになりかねない」というのは明らかに中国を意識した発言です。富田メモで、参拝反対派に追い風が吹き、世論が安倍、福田でまっぷたつに割れる、ということを恐れたのでしょう。小泉さんが「心の問題」といって、大事(おおごと)にしないのも、極めて正しい対応だと思いますよ。
今、戦争で亡くなった方のためにお参りしようと思ったら、靖国神社以外にはありません。そして、戦犯もある意味では戦争の犠牲者です。戦争とはそういう犠牲者を生む行為だということを、あそこに参拝することで示してもいる。靖国をなくしてしまったら、日本人の記憶から戦争自体が消えちゃいますよ。
ソース:週刊文春8月3日号 24ページ

養老先生はこの問題について、ずいぶん前から著作で上のように述べておられるのですが、何が妙かというと、あれだけ「バカの壁」を取り上げて、ベストセラーだと言っていたマスコミ(テレビ、新聞)が、この問題に関しては全く養老先生の意見を聞いていないんですね。つまり、養老発言は反小泉、親シナ親朝鮮のマスコミにとって都合が悪いってことなんでしょうな。
ちなみに、養老先生と同世代のマスコミ出身のオジサマは、この問題についてこんなエントリを立てておられました。比較して読まれるのも一興だと思いますw。
「■昭和天皇の「発言メモ」と福田康夫氏の総裁選断念」(「800字コラム【僕の伝言板】さまより)
ttp://d.hatena.ne.jp/katchan/20060727#p1 ← 私からのTBは不快でらっしゃるらしいので、先頭のhは抜いております。