脱テレビ論

例年、正月は私の実家である広島で過ごすのですが、今年は次男がまだ2ヶ月ということで、遠出を避け、自宅での正月でした。カミサンの実家は、クルマで10分ですので、年末と年始にそれぞれ1日ずつほど遊びに行った次第です。基本的に、寝正月。昨年末は、風邪・腰痛(尿管結石の疑いあり)など体調を崩し気味だったのですが、この正月でかなり回復しました。連休は本当にありがたい。
この年末年始の間、ほとんどテレビを見ませんでした。例年なら、スポーツ中継くらい見るものなんですが、それすら見なかった。見たのは、CS放送ゴルフネットワークのレッスン番組くらい。まして、年末年始の特別番組は全く見ませんでした。何か、紅白歌合戦でいろいろ問題があったらしいですが、別に見なければ苦情も何もありません。最近、テレビというものは、人を不快にさせるものである、と自分では認識しているので、見ないことをデフォルトにしているのですが、それは正しいようですな。
テレビを見なければ何をしているのか。まずは、子供の相手です。テレビよりも子供の方が面白い。当たり前ですな。3歳の長男は、それなりに物分かりをしますから、こっちの都合は何とか伝わる。でも、2ヶ月の次男にはそんなの通用しませんからね。こっちが何で泣いてるかもわからない時だってあります。そういうときは、ひたすら抱っこするしかない。でも、テレビよりは断然面白い。というか、不快にはならない。テレビは、こっちのアクションに全く無反応ですが、2ヶ月児は必ず何かの反応をしますからね。
それから、料理。まあ、趣味が料理だからなんですが、休みになればひたすら料理です。料理なんか、少し手の込んだものを作ろうと思ったら、昼飯を食べて片付けたら、すぐに準備しないといけませんからね。テレビなんて見てる場合じゃない。
長男次男が寝て、カミサンも育児・掃除・洗濯で疲れ果てて寝てしまってからが、私がようやくテレビの見られる時間ですな。こうなってから、わざわざ不快な番組を見る必要もない。それで、録画しておいたゴルフのレッスン番組を見たり、年末にヒストリーチャンネルで放送された分を録画しておいた「映像の世紀」を1集ずつ見たりする程度。あと、長男が見ていたアンパンマンのビデオくらいですかな。確かにアンパンマンは見ていて不快になりませんな。作者が立派なんですな、きっと。最近、私はカツブシマンらしいですよ、長男に言わせると。確かに、年末に蕎麦は作ったんだけど(カツブシマンは蕎麦を上手に作るらしい)。
拙宅では、もともと食事中にはテレビを見ないことにしているんです。実家はそうじゃありませんでした。父はテレビが大好きですから、食事中も見ていた。でも、私は結婚してからずっとそうしている。今じゃ、カミサンの実家でも、私の実家でも、少なくとも私が出向いた日には食事中はテレビを消してくれるようになりました。理由はあるんです。結婚するまで、つまり独身時代は自分で飯を作ってました。でも、結婚してからは、飯はカミサンが作ってくれるわけですよ。それをきちんと味わおうと。テレビを見ながら飯を食って、それで上手いだの不味いだの言えるわけがない。私は自分でも料理をしますからね。自分が作った料理を、テレビを見ながら食べられて、しかも無感想だったら、怒りますよ。だから、拙宅では食事中にテレビを見ない。長男はそれが板に付いているから、休日に一緒に食事をしようとして、直前までテレビを見ていても、わざわざ消します。たまにカミサンの実家に預けることがあるんですが、義父がテレビを見たまま食事しようとしてたら、長男がテレビを消して「お食事中はテレビはダメ!」と言うそうですよ。親バカながら良い子ですよ、長男は。拙宅の食事のルールは、テレビを見ないこと、そして「美味しいときはきちんと美味しい、という。不味いときは黙って食べる」です。まあ、その話はまた別ですが。でも、食事の感想を言うためには、それなりに食事に集中しないとわからないと私は思うんですよ。今じゃ、長男は黙っていても、美味しい、と言うようになってきましたが、それまでは必ずカミサンが長男に「美味しい?」と聞いてました。そうじゃないと、感想なんか言いませんわな。まだ、不味いものは黙って食べる、というのが出来ませんけどね。それは大人になっていけばわかることです。でも、美味しいものは美味しい、ということは大事ですよ。それだけで、作った人は報われるんですから。こういう会話をするためにも、食事中にテレビは不要なんですな。
今の日常生活から、テレビそのものを排除するのは難しいと思います。テレビの全てが悪いわけではありません。私が不快だと思うものでも、不快に思わない人が多いんでしょ。だから、そうやってスポンサーが付いて放送されていると私は信じたい。でも、食事の時だけはテレビを消してみてはどうでしょうかね。今は教育、育児なんかで問題が多いけど、大人の問題でもあるんですよ。テレビに依存しているのは、子供じゃなくて大人。まずは大人が食事中のテレビを我慢する。野球中継をやっていても、サッカーの日本代表が試合をしていても、食事中には見ない。そういうのが、何になるんですか。ただの痩せ我慢じゃないですか。そうですよ。ただの痩せ我慢です。でも、その痩せ我慢が今の日本に欠けているんじゃないでしょうかね。痩せ我慢が、実は国家のためにも大事だよ、と言ったのは福沢諭吉。今の日本人は、みんな「今の自分」が大事。痩せ我慢どころか、我慢はキライ。でも、まずは食事中のテレビを見ないことから、痩せ我慢を始めてみたらどうかと思います。それで何が変わりますかって? そんなのやってみなくちゃわかりませんって。私の場合は、結婚してからずっと食事中にテレビを見ていないから、そのせいなのかどうかわからないけど、夫婦喧嘩は滅多にしませんよ。夫婦間の会話も多いと思う。それは、私がお喋りだからだけではないと思う。御宅の場合は拙宅とは違うから、同じような結果になるとは限りません。何だ、結果がわからないことならやらないよ。そういう考え方が、典型的な都市の人間で、そういう考え方が世界を滅ぼすよって警告してるのが養老孟司じゃないですか。「バカの壁」って本は、話してもわからないヤツがいるっていう本じゃないんですよ。そういうことも書いてあるけど、大事なのは「ああすればこうなる」という考え方こそが「バカの壁」なんですって。
お節介だと思うけど、まず、私からの提案。食事中はテレビを消す。長くても1時間の痩せ我慢。やってみる価値はあると思いますよ。