調査力が足りない

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防衛大臣の失言の件です。
まあ、防衛大臣個人がそういう見解をお持ちなのは別に構いませんし、それを発言すること自体は何の問題もないと思います。ただ、言論の自由が認められている我が国では、その発言によって生じる政治的な責任は負う、ということですね。久間氏は内閣の一員だから、任免権は首相にある。だから、首相がその責任を負うか、久間氏個人が判断して責任を負うか、あるいは、問題ないと判断してその職に留まるか、ということも、それぞれの立場の人が考えればいいことですね。結果、国民の声を判断して、久間氏が辞職したということは、結果的に日本社会が健全な自由社会であるということの証左だと、私は判断しています。
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それにしても、久間氏も何というか、調査力が足りませんな。例えば、「原爆によって戦争終結が早まったという理解で仕方ないと思っている」という発言、私は最初、こういうことだと思ったのです。括弧内を加えてみて下さい。
「（アメリカ人が）原爆によって戦争終結が早まったという理解（をしていること）で、（これを日本人がとやかく言うこともできないので）仕方ないと思っている」
そう思いましたよ。アメリカ人が、そのように教育されていることは事実でしょうから、アメリカ人がそう考えるのは勝手だと、私は思います。もちろん、アメリカ人と議論になれば、そりゃ違う、日本の立場ではそうは考えない、と言い返しますけどね。調査力が足りない、というのは、戦争終結をなぜアメリカが急ぐ必要があったのか、ということであったり、実は当時のアメリカのトルーマン政権に共産主義者のスパイが入っていたなど、そういう指摘もあるということを調べておかなくちゃダメだってことなんです。国防担当大臣なんだから、別に平和主義がどうたらこうたら、とは思いませんよ。でも、国防ってのはその裏側の政治・外交・謀略もあってのものでしょ。久間氏の発言は、そういうことを考えているように見えないから、私としては国防担当者として不適格ですよ、と言いたいんです。マスコミが言っているように、被爆国の大臣たる者、という理由じゃありません。
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もしね、私が久間氏のようなことで発言するとすれば、アメリカに多少、皮肉を込めてこう言いたい。
「戦争終結を急ぎたい理由もいろいろあったんでしょう。日本としては、とんでもない迷惑な話で、ドイツやイタリアに原爆を使わなかった理由をお聞きしたいところですな。また、それ以後、アメリカが核兵器を持ちながら、現実には使っていない理由も、まあわかりますな。日本は原爆以外にも、非戦闘員まで巻き込んだ都市爆撃の被害を最も多く受けている。それが戦争だと言えばそうなのかも知れませんが、以後、アメリカが特に近年、ピンポイント爆撃だの精度の高い攻撃方法を模索しているところを見ると、流石にアメリカと言えども、対日戦争をそれなりに反省していると思いますね。」
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で、調査力が足りないのは、安倍首相も同じ。
前任者の小泉氏での5年間、こういう不祥事が極めて少なかった。これの意味するところは一体何なのか。私は、首相とその側近の調査力の差だと思うのですよ。小泉サン、首相になったとき「大臣をしょっちゅう変えない」と名言してたでしょ。これ、裏を返すと、それだけ自民党の大臣候補とされる人物は、不祥事を起こしそうな人が多いってことだったのかも知れませんね。失言については、自分との力関係がはっきりできている人しか起用しないので、失言も当然できませんわな。そもそも、小泉内閣の大臣に選ばれるということは、自分の所属組織と距離を置かざるを得なくなる。諾とした時点で、小泉サンと心中する以外にない状況なんですね。
小泉サンは、閣僚の人選については、よく「一本釣り」なんて言われてるけど、電話でポンなんてもんじゃなかったと思います。候補の身辺を徹底的に調査して、不祥事の出ない人間を選んだのだと思います。言っておきますけど、不祥事の出ない人＝クリーンな人じゃありませんからね。多分、その辺のブレーン集団をまとめていたのは、武部氏なんでしょうな。小泉サン、情の人じゃないから、武部サンのそういう「能力」を買ったんじゃないですかね。だから、幹事長にも抜擢して、あのバクチ（郵政選挙）に勝った。小泉・武部コンビから見たら、勝てると踏んでたんでしょうね。まあ、全て後付なんで、私も何とでも言えますけど。で、能力を買っていた証拠に、小泉サン、首相を辞めたら、武部サンとの距離を空けている。必要がないときには、使わない。
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安倍サンは「脱・小泉」を信条にしているためか、せっかくの「小泉情報網」まで捨てちゃったんでしょう。自分自身が小泉内閣にいたんだけど、その価値に気が付いてなかったのかも知れません。あるいは、小泉サンにとっては武部サンのような人が近付いてきたのかも知れません。で、その人物が実はパチモンだったという可能性は、十分にあるんじゃないかと思います。
安倍サンの売り物は、恐らく「常識人」ということだったと思うんですが、首相になってからは、その「常識」に陰りが見えてる。常識だけではやっていけない、政治とは非常識な世界もある、というところかも知れません。しかし、もともと「非常識の人」だった小泉サンとは違うんですよ。安倍サンは「常識の人」なんですよね。もともとは、世間・社会の常識の分かる人、ということだったんですが、今じゃ安倍サンも永田町の「常識人」になってしまっている。そこが、あまり信用したくないんですが、世論調査の結果になっているんだと思います。
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