大阪府民じゃなくて良かったよw

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今朝、久々にテレビのニュースを見てたら、このニュースの映像が出てました。
橋下知事が若手職員を対象に初の朝礼 女性職員が知事に反論」
http://sankei.jp.msn.com/politics/local/080313/lcl0803131157002-n1.htm

大阪府橋下徹知事は13日、30歳以下の若手職員を対象に初めて朝礼を開いた。知事は、予定時間の倍の30分にわたって財政再建や水辺を生かしたまちづくりについて熱弁。「本当は始業前に朝礼をしたかったが、超過勤務になると言われてできなかった」と不満を口にすると、女性職員が「どれだけサービス残業をしているか知っているのか」と反論するなど、初回からヒートアップした。
朝礼は府庁新別館で午前9時15分から行われ、本庁勤務の30歳以下の職員約330人が出席した。
橋下知事は、府庁をプロ野球チームに例え「5位、6位のチームがAクラスになるにも3、4年かかる。5年、10年後を見据えて大阪が変わるための基礎作り、種まきをしていきたい」と改革への決意を表明。「現場の第一線のみなさんが変わらないと、府庁の職員も変わらない」と変化を促し、「大阪を変えるため、府民のために一緒に頑張ろう」と呼びかけた。
さらに、橋下知事は「始業前に朝礼をしたかったが、超過勤務になるのでできなかった。たかだか15分の朝礼ができないというなら、勤務時間中のたばこや私語も一切認めない」と発言。
これに対し、後方で聞いていた女性職員(30)が突然立ち上がり、「どれだけサービス残業をやっていると思っているんですか。知事は不満があればメールを送れといって、職場を分断している」と反論した。
橋下知事は「ありがたい意見。どんどんいってほしい」と余裕の表情で応じたあと、「サービス残業に感謝している」とも述べた。

ツッコミどころが満載で面白すぎるw。ホント、大阪府民じゃなくて良かったですわ。大阪府民にお悔やみ申し上げたい。
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まず、知事から行きましょか。

サービス残業に感謝している」とも述べた。

あのさ、これはあかんやろ。弁護士だろ、知事さんって。感謝しちゃいかんでしょうが。知事が会社の社長に当たるかどうかは微妙なところでしょうけど、組織管理のトップということであれば、
「残業の実態を把握し、正しく給与に反映します」
と言うべきところでしょ。
民間企業の給与体系には、営業職や研究職を中心に「見なし残業」という制度を採っているところが多数あります。概ね、例えば月に30時間とか40時間とかは残業するだろうから、それを込みで給与に入れてますよと。ただし、時間管理は各社員の裁量に任せますよ、という制度ですね。これはこれで、労務管理のあり方で問題になる部分も含んではいますが、この制度の適用対象だと、上手く仕事をやれば、残業しなくても残業代分の給料はもらえることになるわけだし、仕事が十分にこなせなかったら、見なし時間以上の時間、働く必要も出てきますね。
しかし、恐らくですよ、公務員の非管理職には、この制度は恐らく適用されていないと思います。もし、適用されてるのなら、そもそもサービス残業という概念は出てきませんからね。ということは、この反論した女性職員は、時間管理労働者ですから、労務管理側としては、サービス残業をしている、と本人が主張しているのですから、労働実態を調べ、正しく給与に反映させなければなりません。
その辺、法のプロなんだから、しっかりして欲しいですな。
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んで、この15分の朝礼に文句を言う職員がいるという、大阪府庁の実態がすごい。
なかなな組織のトップの話を直接聞く機会なんて、大阪府くらい肥大化してる組織ではあり得ないと思いますがね。この15分を、自分にどう生かすか、ということを考えられないほど、大阪府の職員さんは頭がカチコチなのかしらん。
言い方悪いけど、15分ほど、話を聞く振りして、今日の仕事の段取りを考えておこうとかでもいいわけでしょ。何でもかんでもマジメに対応する必要なんか、ないと思いますけどね。サボり方もイマイチ下手なんだよなw。
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で、まあ、最後にこの女性職員にも。

これに対し、後方で聞いていた女性職員(30)が突然立ち上がり、「どれだけサービス残業をやっていると思っているんですか。知事は不満があればメールを送れといって、職場を分断している」と反論した。

まあ、前者はいいと思いますよ。いいとは思うけど、大阪府の財政状況を見ると、当事者意識があれば、なかなか勇気のある発言だと思います。大阪府労組は大変だろうなと思います。
というのも、労組と使用者が闘っているなんていうのは、民間の場合、ほとんどありません。マスコミは「春闘」というけれど、民間企業と労組はみんな「春季交渉」と言っている。今の労組で左派的な闘争運動をやろうとしたら、まず組合員がついてこない。今、労組の民間企業における役割というのは、労働の「現場の代表」だということです。労働の実態、士気、安全管理など、現場の目で見た情報を元に、会社に伝えるのが役割です。会社が現場を見ようとすれば、その分、新たにその役割の社員を雇う必要がある。しかし、労組がきちんと機能していたら、社員がわずかな自腹を切ることで、自分たちの仲間から労組の役員を出し、代表者として使用者側と協議できる。この方が、実は安上がりなんですよ。今まで、私も「社会的コスト」と「信用」という観点で書いてきたけれど、労組と会社(使用者)の関係もまさにこれ。労組と使用者、労組と組合員の信用が築かれていることによって、会社のコストが結果として下がるわけです。
つまり、この女性職員が突発的にサビ残の実態を主張したということは、大阪府職員労組が全然機能していないことを、曝露したということです。官公労は選挙では大量の組織票を動かして来ましたが、肝心要の職員のためには働いていない、ということなんですね。
ま、もしかすると、この女性職員は、労組には入っていないかも知れません。民間企業の労組の多くは、社員であること=労組の組合員であること、という労働協約を会社と交わしているので、管理職でない社員は組合員ということなんですが、これが官公庁に当てはまっているのか、そこは私はよく知りません。
だとしても、普通、労組というのは組織維持、拡大をするために、非組合員のことも考えるのが当たり前といえば当たり前ですけどね。
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このニュース、そういう意味では実に興味深い。これを機に、大阪府労組を徹底的に調べ上げるとよいと思いますよ。私は、以前にも書いてますが、そもそも公務員においては、労使関係は成り立たないので、官公労の存在は認められないという立場にいますのでね。
まあ、官公労ってところは、郵政改革もそうだったし、大阪市日教組ヤミ専従問題とか、いろいろありますからね。そもそも、民間労組でこの手の問題が起きても、自分たちのカネの範疇だから、まあ、何とかよろしくやってくれ、としか思いませんけど、官公労ってところは、どっちにしても、我々の税金から原資が出てるんですからね。その意識が、今の官公労にあるとは思えませんからね。
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