総選挙で解決しようぜ

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皆さん、混乱してますか〜?(猪木風に)
とりあえず、私の勤務先界隈では大して混乱していないように思いますが、どうなんでしょう。まあ、ガソリン小売、卸売りの業者さんなど直接関係のある民間人には、影響はあるでしょうけどね。
さて、新聞の社説を見てみたら、みんな似たり寄ったり。
「立ちすくむ政治―この機能不全をどうする」(朝日)
http://www.asahi.com/paper/editorial20080401.html

世論調査では、ガソリン税をめぐる混乱の責任は与野党のどちらにあると思うかとの設問に対し、「政府・与党にある」は22%、「野党にある」が13%だった。59%の人々が「両方同じぐらい」と答えた。
政治に対する不満は、与野党双方に向けられている。しゃにむに暫定税率の廃止に突き進み、ガソリン値下げを実現させた民主党なのに、その支持率は低迷したままだ。
いまの2大政党は、ともに機能を失っている。国民の多くはそう感じているのではないか。

「4月混乱 まともな政治取り戻せ」(産経)
http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/080401/fnc0804010301002-n1.htm

重要な政策決定がまったくできない異常事態を招いた原因は、ねじれ国会下の不毛な与野党対立で陥った政治の機能不全にある。その責めを負うべきは、理念なき政局至上主義の小沢一郎代表率いる民主党である。

「「暫定」期限切れ 「再可決」をためらうな」(読売)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20080331-OYT1T00817.htm

首相は、年度末の暫定税率期限切れを避けようと、大幅な修正案を示した。2009年度から道路特定財源制度を廃止し、一般財源化するというのが柱だ。
だが、民主党は、08年度からの一般財源化を譲ろうとしない。大人げない態度だ。
暫定税率も即時廃止と言う。だが、すでに予算は成立し、現在の国の財政事情を考えても、減税するのは困難だ。

いや、こりゃ民主党に厳しいですなw。朝日が辛うじて「喧嘩両成敗」なんだけど、それでも普段の朝日の論調からは程遠い。
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マスコミが力み返って民主党を批判する気持ちはわかります。政治不信、という言葉をマスコミは多用しますけど、そもそも国民として政治を信頼してた時代なんか最近あったかなと。
私は、案外違うんじゃないかと。
実は、国民、こういう言い方は好きじゃないので、納税者ってことにしておきましょうか。納税者から見ると、政治家も役人も一緒くたに見えるんですよ。つまり、どっちも税金を食う害虫だと思ってる。害虫は徹底的に駆除したいところですが、その反動が大きいことも事実でしょ。それは過去に農薬問題でコリゴリ。だから、ある程度、害虫がいるのは仕方ないとして、共存を考える。それが、政治家・役人との距離感だと、納税者の側からはそう考えているんじゃないですかね。国民の義務だと憲法にも書いてあるし、まあ必要なことであることはわかる。だから、税金は払う。だけど、こう思っている。
俺 の 邪 魔 を す る ん じゃ ね ぇ
言ってみれば、政治家・役人に対する手切れのようなもんですよ、税金ってのは。税金払ったんだから、とりあえずこっちにかまってくれるな。余計なことすんな、とね。
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もちろん、これが正しい姿勢じゃないとは思います。だけど、数年前の小泉政権のときには圧倒的な支持率があり、今の福田政権は支持率が低いと言いますが、この原因は何か。私は、小泉政権は役人とは違ってた(あるいは違うように見えた)、ということに尽きると思います。
本質論から言えば、議院内閣制は立法府が行政府をコントロールする仕組です。極論すれば、三権は平等じゃない。だから、議院内閣制の日本では国会が国権の最高機関なんですよ。だけど、今の、というか小泉政権以外の自民党政権ってのは、行政府に立法府がコントロールされてるでしょ。屋山太郎氏に言わせると「官僚内閣制」ですね。官僚が政策を作って、それを立法府が承認する。行政府が国権の最高機関になってるわけですが、日本が大統領制であれば、まあこれもありかも知れませんが、日本の行政府には選挙の洗礼を受けている人がいませんわな。
だから、官僚は好き勝手やる。「税収足りません。減税できません」と言い続ける。当たり前で、自分たちの存在意義は「事業」があるかないかでしょ。ってことは、税金使って事業をして、あえていつまで経っても終わらないようなグルグル回る仕組にする。回ってる間に、どんどんお金を巻き込んで肥大化するわけですよ。
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まあね、小沢代表率いる民主党には「理念」はないかも知れません。私もないと思う。でも、役人や与党側にも「理念」があるようには思えませんわな。そもそも、政治家に「理念」なんか必要ないとも私は思う。そんなことより、実益でしょってことです。
民主党は、そういう意味では今回、支持団体の利益にかなう行動を取ってるんですよ。民主党の大口支持団体は、連合でしょ。つまりは労働組合で、サラリーマンじゃないですか。サラリーマンから見たら、何がともあれ減税が一番ですよ。で、目に見えて分かるガソリン税の税率削減は、サラリーマンの利益と合致する。今回の民主党の行動は、ある意味では実に分かりやすいわけで、政府与党側が環境だの地方自治だのという、サラリーマンの実益と遠い「理念」を語ったから、結局、支持率が上がらなかったんですよ。
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暫定税率が期限切れになると国民生活が混乱する。福田サンは最後はこの一点張りでしたが、どういう混乱なのかが全くわからない。あくまで、役所が混乱するということであって、実生活のどの部分が困るなんてことはわからなかったでしょ。これでは、マスコミも同調してる民主党が悪いという論理には、とてもじゃないけど少なくともサラリーマンは納得しませんわ。
いつも書いてるけど、民間企業は「ないものはない」という中で、企業活動をしてるんです。作ったモノが売れなくて、収入がない場合にも「買ってくれないお客さんが悪いんです」と言ったところで、解決にならない。今、政府与党と役人さんが言ってるのは、これと同じなんだと私は感じてる。ないならないで、考えろよ、とね。
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じゃ、解決策はないのかと。
ま、ありていに言うと、総選挙しかないでしょ、ここは。で、選挙の前にきちんと政党間で約束をしよう。この総選挙の結果が、直近の民意であるとね。参院とで捩じれた場合には、基本的には衆院の優越を確認しましょうと。だから、再議決をしてもいいし、参院はそれには従う。民主党が勝って捩じれなければ、粛々と進めればよい。
もちろん、ここでも現与党が過半数を取ってしまうと、参院の地位は極めて落ちることになりますけどね。でも、それはそれで、今の「強すぎる参議院」の位置付けを見直す一つのキッカケにすればいいんです。
常にモノは考え様です。ホントなら期限切れで歳入足りないから、何とか工面しましょうかって役人が考えてくれりゃそれでオシマイだったんですけどね。
ま、マスコミは道路財源で儲けてる人たちからの広告収入で成り立っている商売ですからね。その辺は、常に割り引かなくちゃいかんと思いますよ。
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