党内手続きはしっかり取れ

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さて、日銀人事は迷走中。しかし、それでも困らない日本のシステムはしっかりしてると思います。アメリカなんか、FRB議長が何か言うたびに株価が上下するんだから、私から見ると、日本が正常でアメリカが異常だと思います。
ともあれ、ここまで肩を持ってきた民主党についても、これはおかしいなと思います。
「「渡辺副総裁案」参院民主から賛成3、棄権・欠席4」
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20080409-OYT1T00309.htm

渡辺秀央氏は本会議後、記者団に「政局がらみの判断をしたことは国民の信を得ることはできない。いかなる処分も受ける」と述べた。大江氏は「(渡辺氏就任を容認する)党内世論の多数に反することはおかしい。党の決定に納得できないので信念を通した」と語った。同党会派では、国民新党の4人が「渡辺副総裁」案に賛成し、無所属の森田高氏は欠席した。

太字にした部分、実際にはどうなのかよくわかりませんが、新聞報道を読む限り、大江氏の言い分は正しいと思います。ただ、実際、この対応を執行部一任にしてしまったことがダメだと言えばダメですが。
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小沢サンが党首を務める政党の名前は、確か「民主党」だったと思います。民主主義では、本質的に多数決が原則ですので、こういう党内で議論が起きている問題は、基本的には議員の多数決による採決を行うべきだと、私は考えます。自民党も先祖返りしてるみたいなので、最近はどうかわかりませんが、小泉政権時には、それまで満場一致、総務一任のような慣例を民主的な多数決にしていました。小泉政権の高支持率の背景には、こうした「分かりやすさ」にあったわけですが、今じゃ、自民も民主もこうした「民主的」な手法を取らないわけですよ。当たり前ですが、両方とも支持率が上がらなくて当然ですわな。
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実は、ここは本当に大事なところだと思うのですよ。政治不信の根本は、ここにあると私は思います。
国会議員は基本的に、我々選挙民の代表者です。要するに、我々の意見を代弁者でしょ。その代弁者の意見が通るか通らないか、というプロセスが不明瞭、不可解だとすると、そりゃ選挙民から見たら、選挙なんかやったって無駄じゃないか、と思いますわな。例えば、あるスーパーでお客様の声を集める「目安箱」を置いたとする。で、何件か苦情が寄せられたとして、それが改善されてなかったら、少なくとも苦情を言った人は、そのスーパーには行きませんわな。何のための「目安箱」やねん。
で、今日の民主党のように、党内大勢は容認なのに、代表が反対だから、みんなが反対するというのは、一体どういうことなのか。確かに、代表には代表選挙で選ばれて就いているとは思いますが、代表の言うことにすべて従え、なんて話じゃないはずです。
そもそも、小沢氏が代表に就任したとき、あるいは冬場に辞める→辞めないで慰留されたときに、この問題、すなわち日銀総裁人事の話は念頭にあったのか、ということです。断言してもいいですが、全くなかったでしょ。慰留した人も慰留された人も、この問題は考えてなかったことじゃないですか。それなら、民主的な手続きを踏むのが筋です。まず、この問題を執行部に一任してもらって良いか、と聞く。それで異議なしか、あるいは意義があっても多数決で執行部一任が認められれば、それで良いわけです。無論、一任された執行部は、基本的に党内世論を鑑みることが必要ですがね。まず、今回の問題で、民主党はこういう手続きを一切踏んでいませんわな。執行部が勝手に、執行部に一任されたと思ってて、しかも代表に至っては、オレの独断で決めていいと思ってる。
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正直なところね、日銀人事なんか誰がやったっていい話だと思います。だから、その結論はどうでもいい。だけど、こういうところで与野党とも有権者、選挙民の意志が通じるような仕組を全然持っていないことが露呈されちゃってることが、私は問題だと思うんですよ。これで、民主国家だと言えるのかと。
自民党民主党も、どっちも「民主」を名乗ってるんですから、その意味をきちんと理解してもらいたい。だから、民主党の議員さんは執行部にこう要求して欲しい。
「次回の人事案に対しては、国会議員全員の採決で党議拘束を決めましょう」
とね。まず、これに対し、反対が出るとしたら、自由投票にすべき、という意見か、執行部に一任すべきだ、という意見でしょう。三すくみになるんなら、上位2案で決戦投票すればいい。そんなの、小学校の児童会の執行部ですらやっとると思うんですけどね。
もう少しマシな民主主義をよろしくお願いします。自分たちの意見が反映され得る仕組がきちんと運用されてるんなら、みんなもう少しマジメに政治のことを考えますよ。
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